【完結】無意識 悪役公爵令嬢は成長途中でございます!幼女篇

愚者 (フール)

文字の大きさ
44 / 91
第3章  学園生活

第3話 ランチのお誘い

しおりを挟む
 よっこいしょうと。
お腹が空きましたことよー!

食堂は食べる人が多いし、中庭のベンチに行きましょう!

食べたら、そのまま刺繍ししゅうでもして過ごそう。

ゴソゴソ用意するプリムローズを、数人の女の子たちがソワソワ見ていた。

「あの~、モンペザ子爵の3女のフローラと申します。
プリムローズ様、私たち3人と昼をご一緒しても構いませんか?!」

栗毛の茶色の目をした子が、ビビりながら声をかけてきた。

周りはスゲーっと、勇気ある行動を眺めていた。

ジーっ見るプリムローズは、まさにアンティークドールのような美少女。
先ほどの苛烈かれつな態度を知り、少女たちは喉をゴックンと鳴らした。

嘘~!友達1号?!

あらっ、栗毛の髪にピンクのリボンで目がクリクリで可愛いじゃない!
連れもれてなさそう。

「私とランチしてくれますの?とても嬉しいですわー!
でも、お弁当を持参しましたの。
食堂のことを詳しく存じませんから、それでも宜しいかしら?!」

ニコリと笑うと、天使のように見える。
少女たちは、首をコクコクと縦に振った。

「勿論ですわぁ!!
食堂でお弁当を食べる方もいらっしゃいますよ。
是非ぜひとも、ご一緒して下さいませ!
ねぇ、皆さんー!!」

振り向いた先の少女たちは、赤い顔して返事をした。

ランチが入った手提げを持って、自分より背の高いお姉様たちの後ろをついていく。

プリムローズを人々は何故かけている。

今朝の事件が、伝染病のように中等部全体に知れ渡ったようだ。

気づいていないプリムローズは、初日にしては上出来だわと胸の中で呟いていた。

友人3人出来るかなぁと、ルンルン気分を顔には出さず歩いて行く。

3人はお待ち下さいと席を探すと、何故かそれを見た方々がこちらにと席を譲る。

その席は、庭を眺める特等席であった。

良いのかしらと首を傾げてその光景を見守るプリムローズを、周りにいる者たちは恐々こわごわ見ている。

「プリムローズ様、こちらにどうぞ!」

椅子まで引くと、おとなしく座る。
見ているものは可愛いと思うが、赤毛の問題児を叩きのめした少女に警戒する人々。

「えっーと…。
譲ってくれて有り難う!」

御礼を言うプリムローズに、周りもホッコリ。
噂は嘘じゃないと、コソコソ声が聞こえた。

「プリムローズ様、私たちはランチを買って参ります。
良かったら、お先に召し上がって下さいませね?!」

行っちゃった、戻って来るかなぁと弱気なプリムローズ。
ランチの準備をちょこまかする姿は、庇護ひごよくがわく。
しっかりものの彼女は、綺麗に準備して待っていた。

「くそーっ!何で!
俺が先生に怒られるんだよ。
あの小娘が悪いんだぁ~!!」 

怒鳴り声が遠くから聞こえた。

「やめろよ!
あの方に聞こえたら、お前先が無いぞ!」

世話をやく友人の彼と、近づいてくるではないか。

ちょっとこっち来んなよ!

今は1人だし友情の彼とあっち行けよと念を送ったが、願いむなしく側にきた。

「あっち行こぜー!」と、赤毛をひっぱる彼。

いきなり赤毛は、プリムローズにランチの飲み水をかけた。

周りに悲鳴があがった。
その瞬間に、プリムローズは立ち上がった。

今度はお返しに、自分のお茶を赤毛に向けてかける。

「2度はないと言ったわよね、赤毛!
私のドレスに水をかけるとは!許せぬ!!」

プリムローズは持っていたハンカチで、ドレスをすぐに拭いた。

急いで少女たちが戻ると、トレーをテーブルに置く。

「まぁ~、プリムローズ様!
ドレスが濡れておりますわ。
お可哀想にー!!」

代わる代わるに、ドレスをふきふき。

「お前も濡れている。
席を取って拭かないと、風邪を引くぞ!」

黒髪の黒毛は上手に逃げようとしたが、赤毛は見知らぬ人の席にトレーを置いてプリムローズに言い放った。

「お前、初日のくせに先輩に逆らうのかよ!
くそガキー!!」と、叫ぶ。

周りの生徒たちは、先生を呼べと大騒ぎになってしまった。

「宜しい!剣で決めましょう!私が負ければ、学園を去ろう!貴様が負けたらどうする!?」

「俺は負けんが、もし負けたらこの学園を辞めてやる!」

売り言葉に買い言葉、学園生活をかけた戦いとなる。

「そこの者、介添かいぞえをせよ!」

ちょうど心配して先生に許可を貰ってやって来た、プリムローズの兄ブライアン。

「えーっ、私が?プリムローズ、大丈夫か?」

わない会話になっていた。

 
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

【完結済】破棄とか面倒じゃないですか、ですので婚約拒否でお願いします

恋愛
水不足に喘ぐ貧困侯爵家の次女エリルシアは、父親からの手紙で王都に向かう。 王子の婚約者選定に関して、白羽の矢が立ったのだが、どうやらその王子には恋人がいる…らしい? つまりエリルシアが悪役令嬢ポジなのか!? そんな役どころなんて御免被りたいが、王サマからの提案が魅力的過ぎて、王宮滞在を了承してしまう。 報酬に目が眩んだエリルシアだが、無事王宮を脱出出来るのか。 王子サマと恋人(もしかしてヒロイン?)の未来はどうなるのか。 2025年10月06日、初HOTランキング入りです! 本当にありがとうございます!!(2位だなんて……いやいや、ありえないと言うか…本気で夢でも見ているのではないでしょーか……) ∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽ ※小説家になろう様にも掲載させていただいています。 ※作者創作の世界観です。史実等とは合致しない部分、異なる部分が多数あります。 ※この物語はフィクションです。実在の人物・団体等とは一切関係がありません。 ※実際に用いられる事のない表現や造語が出てきますが、御容赦ください。 ※リアル都合等により不定期、且つまったり進行となっております。 ※上記同理由で、予告等なしに更新停滞する事もあります。 ※まだまだ至らなかったり稚拙だったりしますが、生暖かくお許しいただければ幸いです。 ※御都合主義がそこかしに顔出しします。設定が掌ドリルにならないように気を付けていますが、もし大ボケしてたらお許しください。 ※誤字脱字等々、標準てんこ盛り搭載となっている作者です。気づけば適宜修正等していきます…御迷惑おかけしますが、お許しください。

断罪される前に市井で暮らそうとした悪役令嬢は幸せに酔いしれる

葉柚
恋愛
侯爵令嬢であるアマリアは、男爵家の養女であるアンナライラに婚約者のユースフェリア王子を盗られそうになる。 アンナライラに呪いをかけたのはアマリアだと言いアマリアを追い詰める。 アマリアは断罪される前に市井に溶け込み侯爵令嬢ではなく一市民として生きようとする。 市井ではどこかの王子が呪いにより猫になってしまったという噂がまことしやかに流れており……。

婚約破棄に、承知いたしました。と返したら爆笑されました。

パリパリかぷちーの
恋愛
公爵令嬢カルルは、ある夜会で王太子ジェラールから婚約破棄を言い渡される。しかし、カルルは泣くどころか、これまで立て替えていた経費や労働対価の「莫大な請求書」をその場で叩きつけた。

【完結】婚約破棄を3時間で撤回された足枷令嬢は、恋とお菓子を味わいます。

青波鳩子
恋愛
ヴェルーデ王国の第一王子アルフレッドと婚約していている公爵令嬢のアリシアは、お妃教育の最中にアルフレッドから婚約破棄を告げられた。 その僅か三時間後に失意のアリシアの元を訪れたアルフレッドから、婚約破棄は冗談だったと謝罪を受ける。 あの時のアルフレッドの目は冗談などではなかったと思いながら、アリシアは婚約破棄を撤回したいアルフレッドにとりあえず流されておくことにした。 一方のアルフレッドは、誰にも何にも特に興味がなく王に決められた婚約者という存在を自分の足枷と思っていた。 婚約破棄をして自由を得たと思った直後に父である王からの命を受け、婚約破棄を撤回する必要に迫られる。 婚約破棄の撤回からの公爵令嬢アリシアと第一王子アルフレッドの不器用な恋。 アリシアとアルフレッドのハッピーエンドです。 「小説家になろう」でも連載中です。 修正が入っている箇所もあります。 タグはこの先ふえる場合があります。

謹んで、婚約破棄をお受けいたします。

パリパリかぷちーの
恋愛
きつい目つきと素直でない性格から『悪役令嬢』と噂される公爵令嬢マーブル。彼女は、王太子ジュリアンの婚約者であったが、王子の新たな恋人である男爵令嬢クララの策略により、夜会の場で大勢の貴族たちの前で婚約を破棄されてしまう。

宮廷外交官の天才令嬢、王子に愛想をつかれて婚約破棄されたあげく、実家まで追放されてケダモノ男爵に読み書きを教えることになりました

悠木真帆
恋愛
子爵令嬢のシャルティナ・ルーリックは宮廷外交官として日々忙しくはたらく毎日。 クールな見た目と頭の回転の速さからついたあだ名は氷の令嬢。 婚約者である王子カイル・ドルトラードを長らくほったらかしてしまうほど仕事に没頭していた。 そんなある日の夜会でシャルティナは王子から婚約破棄を宣言されてしまう。 そしてそのとなりには見知らぬ令嬢が⋯⋯ 王子の婚約者ではなくなった途端、シャルティナは宮廷外交官の立場まで失い、見かねた父の強引な勧めで冒険者あがりの男爵のところへ行くことになる。 シャルティナは宮廷外交官の実績を活かして辣腕を振るおうと張り切るが、男爵から命じられた任務は男爵に文字の読み書きを教えることだった⋯⋯

転生令嬢、シスコンになる ~お姉様を悪役令嬢になんかさせません!~

浅海 景
恋愛
物心ついた時から前世の記憶を持つ平民の子供、アネットは平凡な生活を送っていた。だが侯爵家に引き取られ母親違いの姉クロエと出会いアネットの人生は一変する。 (え、天使?!妖精?!もしかしてこの超絶美少女が私のお姉様に?!) その容姿や雰囲気にクロエを「推し」認定したアネットは、クロエの冷たい態度も意に介さず推しへの好意を隠さない。やがてクロエの背景を知ったアネットは、悪役令嬢のような振る舞いのクロエを素敵な令嬢として育て上げようとアネットは心に誓う。 お姉様至上主義の転生令嬢、そんな妹に絆されたクーデレ完璧令嬢の成長物語。 恋愛要素は後半あたりから出てきます。

処理中です...