世界最強の俺が学園では目立たないように生きる!

魔法仕掛けのにゃんこ

文字の大きさ
1 / 1

俺は目立ちたくないんだ!

しおりを挟む
やぁ!俺は路傍 コイシろぼう こいしどこにでもいる転生者&前世最強の魔法使いさ。

前世で散々権力者に利用されて嫌な思いをした俺は、今世では目立たないようにしようとこれまで生きてきた。
そして10歳になり国一番の学園(一番家から近かったから)に通うため、今日は入学試験を受けにきたんだってばよ。

「はい、次ロボウさんの番です。100m先にある的に向かって得意な魔法を撃ってください。真ん中に当てるほど高得点になります。ちなみに学園No1魔法使いのオーレ=イチバ=ン君は的を破壊するほどの火炎魔法を使ったそうですよ。」

試験管の先生に説明を受け、俺はこの試験をどうこなすかをしばし沈思黙考する。

「いきます!」

俺は的に向かって手のひらを向けると初級の水魔法、ウォーターボールを放った。
中心から年輪のように広がる輪の真ん中から三番目の得点部分に命中させる、もちろん破壊なんてしない。

「お、そこそこ良い所にあたりましたね。試験はクリアです、学園は来週が入学式になるので今日は制服だけもってお帰りください。では合格おめでとう!」




家に帰った俺は早速配布された制服を着てみた。ん?よくみると制服にいくつか魔法がエンチャントされてるな……初級防御魔法のアマテクションに初級家庭魔法のジョーブがかかっているようだ。俺くらいの魔法使いになると初級魔法のエンチャントなんて普段はしない、たとえば上級防御魔法のプロテクションとか上級家庭魔法のイッツデ=モ=シンピンなんかを付与するだろうな。だけどこれを使うのは学生だ、この程度でいいだろう。
俺は手を加えたりはしなかった。



入学式を終えた俺はクラス分けの表にしたがって一年三組の教室に向かった、ちなみに一年は五組まである。
事前に新入生のトップ10は調べてあるのでなるべくさけて過ごせば目立たないはずだ。
昼ごはんは屋上はさけて普通に学食に行く……前世で屋上でお昼を食べてたら、美少女で学年一の魔力もちの伯爵令嬢なのに何故かコミュ症と言う子と知り合いになってしまい、ラブコメのような学園生活を送る羽目になったからだ。
ちなみにその子とはそのまま結婚して一男二女を設けたからそれはそれで幸せではあったんだけどね。権力者に気付かれる最短ルートだったから今世では回避しようと思う。




「あなた!私と勝負なさい!私が勝ったら私の従者になるのよ、いいわね!」

廊下の向こうでツンデレ風美少女に地味目な男の子が絡まれている。
一見いじめのようだが、アレはたぶん地味男君が勝負に勝ってツンデレちゃんに惚れられるイベントだ。
俺も前世では似たような事があった、俺の時はコテンパンにしちゃったらMっ気がでちゃったらしくて随分付きまとわれたんだよな。

「きゃあ!」

あ、やっぱり地味男君が勝ったようだ。ツンデレちゃんの頬が赤い……これは決まりだな!がんばれよ地味男君、それはしつこいぞ!

俺は逆方向へと悠々去ったのだった。



その後俺はイベントになりそうな事はことごとく回避し続けた。
真の最強魔術師の俺は手加減も平均点のリサーチも完璧にこなす事ができたからだ。卒業までの三年間クラスは常に三組、そして学内ランキングは300人中150位をキープした。



そして卒業式を終えた俺は学園長室に呼び出されていた。

「なぜ俺がここに呼ばれたんでしょう?特に身に覚えがないんですけど。」

目の前のエルフの学長さん(大変美人)はこうおっしゃった。

「ロボウ君、卒業おめでとう。ところで貴方は卒業後は王宮の隠密部隊に配属だから、来週からサボらずにいくのよ?」

「え?何でですか?俺は下町の魔道具屋に就職予定なんですけど……」

「あなたねぇ、入学試験から卒業試験まで全て平均点を取り続けてて偶然なんて言わせないわよ!明らかに目立たないようにしてたじゃないの!普通はね、どんなに平凡な生徒でも浮き沈みはあるものなのよ。あなたやりすぎたのよ、おわかり?」



目立たないって難しいやぁ……俺は足取りも重く学院を去った。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

わたし、不正なんて一切しておりませんけど!!

頭フェアリータイプ
ファンタジー
書類偽装の罪でヒーローに断罪されるはずの侍女に転生したことに就職初日に気がついた!断罪なんてされてたまるか!!!

神に逆らった人間が生きていける訳ないだろう?大地も空気も神の意のままだぞ?<聖女は神の愛し子>

ラララキヲ
ファンタジー
 フライアルド聖国は『聖女に護られた国』だ。『神が自分の愛し子の為に作った』のがこの国がある大地(島)である為に、聖女は王族よりも大切に扱われてきた。  それに不満を持ったのが当然『王侯貴族』だった。  彼らは遂に神に盾突き「人の尊厳を守る為に!」と神の信者たちを追い出そうとした。去らねば罪人として捕まえると言って。  そしてフライアルド聖国の歴史は動く。  『神の作り出した世界』で馬鹿な人間は現実を知る……  神「プンスコ(`3´)」 !!注!! この話に出てくる“神”は実態の無い超常的な存在です。万能神、創造神の部類です。刃物で刺したら死ぬ様な“自称神”ではありません。人間が神を名乗ってる様な謎の宗教の話ではありませんし、そんな口先だけの神(笑)を容認するものでもありませんので誤解無きよう宜しくお願いします。!!注!! ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇ご都合展開。矛盾もあるかも。 ◇ちょっと【恋愛】もあるよ! ◇なろうにも上げてます。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

なんか修羅場が始まってるんだけどwww

一樹
ファンタジー
とある学校の卒業パーティでの1幕。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

乙女ゲームの悪役令嬢、ですか

碧井 汐桜香
ファンタジー
王子様って、本当に平民のヒロインに惚れるのだろうか?

学園長からのお話です

ラララキヲ
ファンタジー
 学園長の声が学園に響く。 『昨日、平民の女生徒の食べていたお菓子を高位貴族の令息5人が取り囲んで奪うという事がありました』  昨日ピンク髪の女生徒からクッキーを貰った自覚のある王太子とその側近4人は項垂れながらその声を聴いていた。  学園長の話はまだまだ続く…… ◇テンプレ乙女ゲームになりそうな登場人物(しかし出てこない) ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇なろうにも上げています。

心が折れた日に神の声を聞く

木嶋うめ香
ファンタジー
ある日目を覚ましたアンカーは、自分が何度も何度も自分に生まれ変わり、父と義母と義妹に虐げられ冤罪で処刑された人生を送っていたと気が付く。 どうして何度も生まれ変わっているの、もう繰り返したくない、生まれ変わりたくなんてない。 何度生まれ変わりを繰り返しても、苦しい人生を送った末に処刑される。 絶望のあまり、アンカーは自ら命を断とうとした瞬間、神の声を聞く。 没ネタ供養、第二弾の短編です。

処理中です...