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第一章/葉月瑠衣
Episode007/男女の性差(中)
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(19.)
それから朝は一人で登校し始めた。
昼休みには瑠璃に連れられ三人で集まり昼休みを過ごし、放課後は疲れてそのまま帰る。
ーーという流れを二日ほど繰り返した。
下着については、あの日、帰り道に買おうとしてすぐに恥ずかしくなり断念してしまい、裕希姉に頼んで何着か買ってきてもらった。
その中にはブラジャーも含まれていたけど、それに関しては、まあ、やっぱりというか……着けたままでいるだけで蒸れてきて気になってしまう為、相も変わらずノーブラ生活を送っている。
ノーパン生活よりはマシだから大丈夫だろう。買ってきてくれた裕希姉には使っていないなんて言えないが……。
そして、ついに週末ーー九月十三日金曜日の朝。
この身体になって初めて休日が訪れる、と感極まりそうになる。
そんなふうに考えながら普段どおり登校して、いつものように終わるーーそう考えていた。
が、今日は朝からなにかがおかしい。
「……いったい、何に対する感情なんだろう?」
教室に入り席に着いたあと、僕は理由なきイライラに襲われていた。
べつに、怒りの矛先はどこにも見当たらない。
怒るあてはないのに、無性に腹が立つだけという、勘弁してほしいタイプの胸糞の悪さ。
「どした豊花ちゃん、元気なさそうだな?」
「宮下……杉井でいいって言ったのに、みんな呼び始めてきちゃってるからやめてっていってるだろ?」
「そりゃいい、杉井と呼ばれたいなら杉井に戻ることだな」
そう、宮下が僕のことを「豊花ちゃん豊花ちゃん」と言いつづけたせいで、その呼称が広まりつつあるのだ。
最初は宮下の友達が影響を受けて使い始めただけだったけど、それを見ていたクラスメートの一部までふざけて使いはじめてしまった。
今なんて会話もしたことのない女子からさえ、おちょくるように豊花ちゃん豊花ちゃん豊花ちゃん豊花ちゃん……ウンザリだ。
ゲシュタルト崩壊ではないけど、似たような感覚になりそうじゃないか。
「そういやきょうは制服なんだな?」
「ああ、うん。先生が渡してくれたから着てきた。女子用の制服だけど、もう着るのに抵抗がなくなってるからね」
昨日の放課後、雪見先生がおもむろに制服を渡してくれたのだ。
僕でも着れるサイズがあることにも驚きだったけど、そもそも制服を貸してくれるだなんて思ってもいなかった。
女子用の制服ではあるものの、既に女の子用のキュートなブラジャーやパンティーなんかを経験している身の上、制服ごときなら、もう着ることに対してなにも動じなくなってきているから抵抗感は皆無。素直にありがたい。
それに、自分ではあるものの自分ではないこの身体は、僕からしたらかなり好きなタイプの容姿をしている。
だからこそ着替えて、鏡で自分を見ているだけでも案外楽しい。
着せ替え人形のような理屈かもしれない。
女子があんなにも化粧や服に気をかける理由が、少しだけわかった気がした。
この身体の生活に慣れてきたのかもしれない。
とはいえ、未だに女子トイレじゃなく男子トイレに入りそうになったり……自分でパンツを買いに行くのは無理だったりするけ……ど?
あれ?
なんだかきょうの朝も眠い。昨日も眠かったけど、こんなに眠くはなかったはず。
それに……なぜか怠い?
「おーい、豊花ちゃーん聞いてるかー。おまえ顔色悪いぜ、大丈夫か?」
「う、うん、なんか、風邪ひいたのかも。少し怠い。ちょっと授業始まるまで寝てる……」
僕は宮下に告げて、いつもの瑠衣みたいに机に顔を伏せた。
やっぱりこの身体、明らかなレベルで弱い。
男から女に、しかも、“16歳男子高校生”から“14歳小柄の弱々しい女の子”に、“身体だけ”が突如変わったからだよなぁきっと。
それに反して精神は変わっていないもんだから、男のときみたく動こうとして身体が悲鳴をあげているのかもしれない。
それを無視したのが祟ったんだろう。
そう考えながら、ほんの少しのあいだ眠りに落ちていった。
(20.)
昼休みになると、もはや恒例のように瑠璃と共に一年の教室に向かうようになっていた。
教室に瑠璃がやって来ると、最初の言葉が「顔色悪っ!」だった。
「え、え? そんなに悪い?」
「見ただけで体調悪いのわかるでしょ、それ。どうしたの、落ちてる物拾い食いしちゃったの?」
「いやいや……いつもどおり過ごしてるよ、なーんか眠い気がするし、怠いような気もするけど」
そもそも拾い食いなんかしていたら、すぐさまそれが原因だとわかるだけマシかもしれない。
思えば昨日も、ちょっとだけ疲れやすかった気がする。
そうすると、次第に病状が悪化しているのか?
「が、癌とかだったりしないかな?」
「……どうして癌に繋がったのかは聞かないわ。でも、そんなんで『癌かもしれない』言ってたら、なんだって『癌かもしれない』になるんじゃないの?」
癌でがーんとならなくて一安心。
……こんなくだらないオヤジギャグを空想してしまうのは、やっぱりおかしいかもしれない。
「とりあえず大丈夫。瑠衣ちゃんのとこ行こうよ」
僕は席を立ち上がるーーと、なぜか裕璃が席の近くに居た。
「た、体調が悪いなら、その、教室にいるか、保健室行くかしたほうがさ、い、いいんじゃないかな?」
裕璃からなんだか溌剌とした雰囲気がなくなっていた。
言いにくい相手に向かって頑張って意見具申をしているような、そんなぎこちなさを感じてしまう。
そもそも、僕ではなく瑠璃を見ながら言っていた。
それじゃ瑠璃に言っているみたいじゃないか。
「あなたが裕璃ね?」
あれ、やっぱ瑠璃に言っていたの?
二人の会話が始まるのを見るとそのようだ。
「え……そ、そうだよ……でも、どうして私の名前を?」
名前も知らない相手が自分の名前を知っているとは思わなかったのだろう。
裕璃はそれだけで動揺している。
「だって、すごいわかりやすいじゃない。彼氏いるのに、どうして豊花を連れていく私を恨めしそうに睨んでいるの?」
「え、裕璃が睨む?」
睨んでいるようには見えなかったけど、瑠璃からしてみれば違ったらしい。
「違っ、睨んでなんかない。そもそもなんで彼氏がいるって……」
ごめんなさい、僕が言っちゃいました……。
心中で懺悔した。
「実は私、動きや表情を見たりするだけで、そのひとがどういう感情を抱いているのかわかったり、軽いテストでどんな状態かとかわかったりするの。“バイト”のお陰でね」
バイトとは、つまり異能力特殊捜査官として働いているから、そういう技術が身に付いたと言っているのだろう。
「特にあなたは本当にわかりやすい。でも自分ではわかってないんでしょ? もう一度聞くよ。彼氏もいるし他の友達もいるのに、どうして豊花が取られそうになるだけでそんなに慌てるの? いいじゃない、彼氏さんや友達と仲良くしていれば」
「う、あ……か、彼氏も友達も大切だし、幼馴染みの豊花だって大切っ! ど、どうして彼氏ができたら豊花と離れなきゃいけないの? 私にはわからないよ」
裕璃はわがままを言う子供のように言い放つ。
だが、瑠璃は平然としたまま、知らない子供に物事を教えるかのように。
「それはあなたの考えでしょ? みんながみんな同じ考えかたはしていないの、わかる? 自分の主張を他人にまで強要するのはいけないと思わない? 特に男女の考えかたなんてもっと違う。その行為であなたが傷つけているひとがいるって、理解できていないの?」
「傷つくひとがいる……?」
「はぁ、言ってももう遅いけど、終わったあとだから教えてあげるわ。その様子じゃ自分の本心がわかっていないんだろうけどさ、あなたって豊花が好きなの。もちろん、友達としてじゃなくって、異性としてね」
「……え?」
……はい?
なにを言うのか、急に瑠璃が変なことを言い出したぞ?
「バイトで培ったこの技術にかけて断言できるわ」まあ、と瑠璃はつづける。「豊花の心はとっくにあなたから離れてるからね。残念だったわね、早く自覚すればこんな結果にならなかったのに。とはいってもーー告白されて格好いいからってだけで知らないヤツと付き合えるうえ、すぐにセックスできるその軽い頭と股だし、豊花は助かった側じゃない?」
「ぶっ!?」
いきなりの下ネタ発言に、思わず噴き出してしまった。
あといいそうだから謝っとく、それも僕が言っちゃいました。すみません……。
「セッーー!? な、ななな、なんで知ってるの!? べ、べつに、格好いいだけじゃなくてやさしくしてくれたし、嫌いじゃないから付き合ってみただけであって、その、そんな先輩がどうしてもって、だから、その、え、エッチなことをしたから、軽いわけじゃーー」
「いやいや、まさしく軽い女を体現してるじゃない。ねえ、少しは頭をつかってみて? よく考えみて? 彼女にセックスしたいと頼み込む歳上の先輩なんて、やさしいといえるの? 高校生なのに妊娠したかったの? 私、そういうこと嫌いだから詳しく知らないけど、避妊具だって絶対じゃないんだからね?」
「それはその、先輩、大丈夫って、言うから……」
「はぁ……もういい、面倒。仕事でもないのになにやってんだろ私。とにかく豊花はこれからも連れていくけど、文句ある? 瑠衣の復帰の鍵があんたなんかのせいで使えなくなったらと思うとイライラするのよね。べつにあんたは彼氏とセックスしてればいいんじゃない?」
「ちょっ、いくらなんでもそれは言いすぎだって!」
まえまえから気になっていたけど、やっぱり瑠璃は裕璃に対して敵対心のようなものを抱いているようだ。
僕や瑠衣と話すときや、他のクラスメートと談笑するときと明らかに違う。
言葉に遠慮が感じられない。
「ーーっ!」
裕璃は顔を赤くして歯を食いしばる。
よく見ると、泣きそうな表情をしていた。
そんな裕璃を見て、瑠璃は後頭部を掻きながらため息をした。
「悪いけど、妹の社会復帰を妨害する因子になりかねないあなたは、豊花に近づけたくないの。ごめんね。だけどまあ、あなたの人生がお先真っ暗にならないための忠告くらいなら、してあげるわ」
瑠璃はそう言うとつづけた。
「妊娠検査キットを買って調べるとか、そのくらいしなさいよね。少し聞いてまわれば金沢って男がどんな人間かくらいわかるから調べてもみなさい」
「え、裕璃の彼氏が金沢だなんて、さすがに僕も言ってないから」
つい弁明してしまった。
「あいつは金持ちで一見やさしくみえるけど、過去に二人の女の子を妊娠させてる。堕胎費用は出さないわ名前も書かないわ、相当酷い事しているらしいわ。泣き寝入りしたくなかったら、なにかあるまえにさっさと別れなさい。これ以上はなにも言わないから、よく考えてみて」
瑠璃は言い終えると、僕の腕を掴んで教室の外へと出るよう促した。
裕璃が気になりつつも、三人で昼休みを過ごす時間がなくなってしまうのはなんだか嫌だーーそう考え、瑠璃に促されるまま椅子から立ち上がる。
「ねえ、豊花? まだあいつに未練はあるのか、聞いてみてもいい?」
教室の外へ出ると、瑠璃は聞いてきた。
一年の教室に向かいながら、僕は少し考えて口を開く。
「とりあえず、恋人になりたいとか、そういった未練はもうないかな」
瑠璃がどこまで真実を言い当てられているのかはわからないけど、聞いていたかぎりじゃ、裕璃は僕が苦手なタイプにすら思えてきたのだ。
格好いい先輩に告白されたからと、あまり知らない相手と試しに付き合う。
付き合った理由が試しになのに、一ヶ月経たずに身体を許す貞操観念。
……裕璃は、もっときちっとしている印象を抱いていたけど、どうやら思い違いも甚だしかったようだ。
たとえ身体が男に戻ったとしても、好き好んで裕璃と付き合いたいとはもう思えない。
「そう、安心した。豊花には瑠衣がいるから頑張ってね」
「へ? なんで、瑠衣?」
なんで瑠衣の名前が、この流れで出てくるのだろう?
そもそも女の身体の今の僕に対しても、瑠璃とのほうが会話している現状を踏まえても、わざわざ瑠衣を名指しで出す意味がまるでわからない。
だいたい、瑠璃とは二人だけで会話が成立するけど、瑠衣と二人じゃ会話が途絶えてしまいそうだし。
あいだに瑠璃が挟まってくれないとスムーズなやり取りができない。そのていどの仲。なのに……なぜ、瑠衣なんだろう?
そういえば、さっき妹のーーつまり、瑠衣の社会復帰を邪魔するなとかなんとか言っていたような。
「瑠衣の友達になってほしいって言ったじゃない」
「え、ああ、そういう意味?」
「もちろん、そうに決まっているじゃない。友達になってほしいの。……高校になって最初の友達に……裏切らない友達に……」
なんだか凄い重かった。
友達って言葉のなかに、胃もたれしそうななにかが込められていそうなんだけど。
だいたい、話があまり合わないし、スイッチが入ると笑いはじめるし、まだ友達にもなれていないと思う。
「豊花が来てくれるようになってから瑠衣、明るくなったのよ。やっぱり同じ立場だと親しみが湧くみたいね。その調子であの子を元気にさせてやってね」
「明るくなったんだ?」
元を知らないからなんとも言えない。
けど……まあ、こうやって毎日昼休みに集まるのは、なんだかつづけたい。そう思えた。
(21.)
ひとつの机に僕と瑠璃、そして瑠衣の三人が集まって昼休みを過ごすことには段々と慣れてきていた。
だけど、その日は調子が優れずあまり会話に参加できていなかった。
そして、下腹部辺りがいきなり痛みの悲鳴をあげた。
「ーーっ!? な、なんだこれ……味わったことのない感覚がする」
「ちょっと、なにか腐った物でも食べたの?」
あれ、さっき同レベルのことを言われた気がいつつつつ!
なんて表現するのが正しいだろうか。
あえて男で説明するなら、ゴールデンボールに手のひらを当てて奥のほうに押し込んでいるような痛みがしてきたのだ。
「……っ! 豊花、考えていなかったけど、そういえば女になるってことは、つまり、そういうことも着いてくるって意味よね?」
「え?」
お腹を擦りながら耐えようとするが、まったく意味がない。
なんだか股が湿っているような……。
瑠璃が瑠衣の鞄に勝手に手を入れたかと思うと、なにやら可愛らしいポーチを取り出して、その中からさらになにかを抜き取る。
「豊花、急いでトイレに行きなさい」
そう言いながら、瑠璃は瑠衣から奪ったなにかをひとつ投げ渡してきた。
「なにこれ?」
「わからない? ナプキンよ、生理用ナプキン。サイズは諦めなさい、無いよりマシでしょ」
「え、せ、生理……?」
普段、男の僕には関わりのない世界だから気にしていなかった。
けど、そういえば確かに、女性特有の生理機能があった。
どんなふうになるのかなんて知らないけど、漠然と大変らしいというイメージはある。
「早くトイレ行って、下着の上に敷いて。今始まったなら、これから酷くなるに連れて出血も増えるから、最悪下着から漏れちゃうのよ、わかる?」
「わ……わかった、行ってくる」
……出血。
そういえば血が出るらしいけど、やっぱり詳しくは知らなかった。
だが、これから酷くなるという点には驚きを禁じ得ない。
僕は嫌な予感を抱きつつ女子トイレへと向かい走った。
トイレに入り個室のドアを開け中へと入る。
最初はあれだけ緊張と興奮がさめやまなかったのに、今は女子トイレに入ってもあまり気にならなくなっていた。
個室に入ると、パンツを恐る恐る脱いでいく。
そこには……。
「げっ!?」
ーーピンク色のパンツが、一部赤色のパンツに変わっていた。
こんなに血が出るのかと、思わず意識が遠退きふらっとしてしまう。
どうにか耐えて、瑠璃から貰ったナプキンとやらを開封して中身を取り出した。
くそっ、焦っているせいか敷きかたがわからない。
こうか? いや多分こうだ!
既に血の臭いを充満させているパンツにナプキンを適当に置いて履きなおす。なんか間違っている気もするけど、使い方に文句は言っていられない!
血の臭いがしているような気がして、気になって気になってしょうがない。
いや、それより……。
なんだかこの痛みには慣れる気がしない。
誰かが子宮を鷲掴みにしているのかもしれない、とにかくこの痛みから早く逃げたかった。
それと、股が常に血で湿っているというのは、意外にもストレスになっている。
とはいえ、いつまでもここにいるわけにはいかない。
痛みに耐えつつ、僕は瑠璃たちの知識で助けてもらおうと教室に戻っていく。
教室に入ると、臭いが漏れていないか気にしながら瑠璃たちの元に向かい椅子に座った。
「どう? やっぱり生理?」
「うん、そうみたい……やたらとこの辺りが痛いんだけど、こんな痛いものなの?」
僕は腹を擦りながら愚痴るように訊いた。
「いや、人によるとしか言えない。だって私は軽いけど、瑠衣は重いもの。姉妹でこんなに違うから他人のなんてもっとわからないわ」
軽いとか重いとかの基準がわからない。
が、とにかく苦しいことだけは間違いない。
あれかな、異能力者だからさらに辛いとか?
女になった代償だったり?
ならいつでも自由に性別変更させてくれ!
「きょうの豊花はちょっとダメそうね。保健室行って鎮痛剤貰って飲んできなさい。そのまま腰を暖めながら帰りまで寝かせてもらったほうがいいよ?」
「鎮痛剤! その手があった! ごめん! 保健室行ってくる!」
「はいはい、行ってらっしゃい」
「豊花、さよなら」
「うん!」
二人に頭を下げ、僕は保健室へと向かって走るのであった。
それから朝は一人で登校し始めた。
昼休みには瑠璃に連れられ三人で集まり昼休みを過ごし、放課後は疲れてそのまま帰る。
ーーという流れを二日ほど繰り返した。
下着については、あの日、帰り道に買おうとしてすぐに恥ずかしくなり断念してしまい、裕希姉に頼んで何着か買ってきてもらった。
その中にはブラジャーも含まれていたけど、それに関しては、まあ、やっぱりというか……着けたままでいるだけで蒸れてきて気になってしまう為、相も変わらずノーブラ生活を送っている。
ノーパン生活よりはマシだから大丈夫だろう。買ってきてくれた裕希姉には使っていないなんて言えないが……。
そして、ついに週末ーー九月十三日金曜日の朝。
この身体になって初めて休日が訪れる、と感極まりそうになる。
そんなふうに考えながら普段どおり登校して、いつものように終わるーーそう考えていた。
が、今日は朝からなにかがおかしい。
「……いったい、何に対する感情なんだろう?」
教室に入り席に着いたあと、僕は理由なきイライラに襲われていた。
べつに、怒りの矛先はどこにも見当たらない。
怒るあてはないのに、無性に腹が立つだけという、勘弁してほしいタイプの胸糞の悪さ。
「どした豊花ちゃん、元気なさそうだな?」
「宮下……杉井でいいって言ったのに、みんな呼び始めてきちゃってるからやめてっていってるだろ?」
「そりゃいい、杉井と呼ばれたいなら杉井に戻ることだな」
そう、宮下が僕のことを「豊花ちゃん豊花ちゃん」と言いつづけたせいで、その呼称が広まりつつあるのだ。
最初は宮下の友達が影響を受けて使い始めただけだったけど、それを見ていたクラスメートの一部までふざけて使いはじめてしまった。
今なんて会話もしたことのない女子からさえ、おちょくるように豊花ちゃん豊花ちゃん豊花ちゃん豊花ちゃん……ウンザリだ。
ゲシュタルト崩壊ではないけど、似たような感覚になりそうじゃないか。
「そういやきょうは制服なんだな?」
「ああ、うん。先生が渡してくれたから着てきた。女子用の制服だけど、もう着るのに抵抗がなくなってるからね」
昨日の放課後、雪見先生がおもむろに制服を渡してくれたのだ。
僕でも着れるサイズがあることにも驚きだったけど、そもそも制服を貸してくれるだなんて思ってもいなかった。
女子用の制服ではあるものの、既に女の子用のキュートなブラジャーやパンティーなんかを経験している身の上、制服ごときなら、もう着ることに対してなにも動じなくなってきているから抵抗感は皆無。素直にありがたい。
それに、自分ではあるものの自分ではないこの身体は、僕からしたらかなり好きなタイプの容姿をしている。
だからこそ着替えて、鏡で自分を見ているだけでも案外楽しい。
着せ替え人形のような理屈かもしれない。
女子があんなにも化粧や服に気をかける理由が、少しだけわかった気がした。
この身体の生活に慣れてきたのかもしれない。
とはいえ、未だに女子トイレじゃなく男子トイレに入りそうになったり……自分でパンツを買いに行くのは無理だったりするけ……ど?
あれ?
なんだかきょうの朝も眠い。昨日も眠かったけど、こんなに眠くはなかったはず。
それに……なぜか怠い?
「おーい、豊花ちゃーん聞いてるかー。おまえ顔色悪いぜ、大丈夫か?」
「う、うん、なんか、風邪ひいたのかも。少し怠い。ちょっと授業始まるまで寝てる……」
僕は宮下に告げて、いつもの瑠衣みたいに机に顔を伏せた。
やっぱりこの身体、明らかなレベルで弱い。
男から女に、しかも、“16歳男子高校生”から“14歳小柄の弱々しい女の子”に、“身体だけ”が突如変わったからだよなぁきっと。
それに反して精神は変わっていないもんだから、男のときみたく動こうとして身体が悲鳴をあげているのかもしれない。
それを無視したのが祟ったんだろう。
そう考えながら、ほんの少しのあいだ眠りに落ちていった。
(20.)
昼休みになると、もはや恒例のように瑠璃と共に一年の教室に向かうようになっていた。
教室に瑠璃がやって来ると、最初の言葉が「顔色悪っ!」だった。
「え、え? そんなに悪い?」
「見ただけで体調悪いのわかるでしょ、それ。どうしたの、落ちてる物拾い食いしちゃったの?」
「いやいや……いつもどおり過ごしてるよ、なーんか眠い気がするし、怠いような気もするけど」
そもそも拾い食いなんかしていたら、すぐさまそれが原因だとわかるだけマシかもしれない。
思えば昨日も、ちょっとだけ疲れやすかった気がする。
そうすると、次第に病状が悪化しているのか?
「が、癌とかだったりしないかな?」
「……どうして癌に繋がったのかは聞かないわ。でも、そんなんで『癌かもしれない』言ってたら、なんだって『癌かもしれない』になるんじゃないの?」
癌でがーんとならなくて一安心。
……こんなくだらないオヤジギャグを空想してしまうのは、やっぱりおかしいかもしれない。
「とりあえず大丈夫。瑠衣ちゃんのとこ行こうよ」
僕は席を立ち上がるーーと、なぜか裕璃が席の近くに居た。
「た、体調が悪いなら、その、教室にいるか、保健室行くかしたほうがさ、い、いいんじゃないかな?」
裕璃からなんだか溌剌とした雰囲気がなくなっていた。
言いにくい相手に向かって頑張って意見具申をしているような、そんなぎこちなさを感じてしまう。
そもそも、僕ではなく瑠璃を見ながら言っていた。
それじゃ瑠璃に言っているみたいじゃないか。
「あなたが裕璃ね?」
あれ、やっぱ瑠璃に言っていたの?
二人の会話が始まるのを見るとそのようだ。
「え……そ、そうだよ……でも、どうして私の名前を?」
名前も知らない相手が自分の名前を知っているとは思わなかったのだろう。
裕璃はそれだけで動揺している。
「だって、すごいわかりやすいじゃない。彼氏いるのに、どうして豊花を連れていく私を恨めしそうに睨んでいるの?」
「え、裕璃が睨む?」
睨んでいるようには見えなかったけど、瑠璃からしてみれば違ったらしい。
「違っ、睨んでなんかない。そもそもなんで彼氏がいるって……」
ごめんなさい、僕が言っちゃいました……。
心中で懺悔した。
「実は私、動きや表情を見たりするだけで、そのひとがどういう感情を抱いているのかわかったり、軽いテストでどんな状態かとかわかったりするの。“バイト”のお陰でね」
バイトとは、つまり異能力特殊捜査官として働いているから、そういう技術が身に付いたと言っているのだろう。
「特にあなたは本当にわかりやすい。でも自分ではわかってないんでしょ? もう一度聞くよ。彼氏もいるし他の友達もいるのに、どうして豊花が取られそうになるだけでそんなに慌てるの? いいじゃない、彼氏さんや友達と仲良くしていれば」
「う、あ……か、彼氏も友達も大切だし、幼馴染みの豊花だって大切っ! ど、どうして彼氏ができたら豊花と離れなきゃいけないの? 私にはわからないよ」
裕璃はわがままを言う子供のように言い放つ。
だが、瑠璃は平然としたまま、知らない子供に物事を教えるかのように。
「それはあなたの考えでしょ? みんながみんな同じ考えかたはしていないの、わかる? 自分の主張を他人にまで強要するのはいけないと思わない? 特に男女の考えかたなんてもっと違う。その行為であなたが傷つけているひとがいるって、理解できていないの?」
「傷つくひとがいる……?」
「はぁ、言ってももう遅いけど、終わったあとだから教えてあげるわ。その様子じゃ自分の本心がわかっていないんだろうけどさ、あなたって豊花が好きなの。もちろん、友達としてじゃなくって、異性としてね」
「……え?」
……はい?
なにを言うのか、急に瑠璃が変なことを言い出したぞ?
「バイトで培ったこの技術にかけて断言できるわ」まあ、と瑠璃はつづける。「豊花の心はとっくにあなたから離れてるからね。残念だったわね、早く自覚すればこんな結果にならなかったのに。とはいってもーー告白されて格好いいからってだけで知らないヤツと付き合えるうえ、すぐにセックスできるその軽い頭と股だし、豊花は助かった側じゃない?」
「ぶっ!?」
いきなりの下ネタ発言に、思わず噴き出してしまった。
あといいそうだから謝っとく、それも僕が言っちゃいました。すみません……。
「セッーー!? な、ななな、なんで知ってるの!? べ、べつに、格好いいだけじゃなくてやさしくしてくれたし、嫌いじゃないから付き合ってみただけであって、その、そんな先輩がどうしてもって、だから、その、え、エッチなことをしたから、軽いわけじゃーー」
「いやいや、まさしく軽い女を体現してるじゃない。ねえ、少しは頭をつかってみて? よく考えみて? 彼女にセックスしたいと頼み込む歳上の先輩なんて、やさしいといえるの? 高校生なのに妊娠したかったの? 私、そういうこと嫌いだから詳しく知らないけど、避妊具だって絶対じゃないんだからね?」
「それはその、先輩、大丈夫って、言うから……」
「はぁ……もういい、面倒。仕事でもないのになにやってんだろ私。とにかく豊花はこれからも連れていくけど、文句ある? 瑠衣の復帰の鍵があんたなんかのせいで使えなくなったらと思うとイライラするのよね。べつにあんたは彼氏とセックスしてればいいんじゃない?」
「ちょっ、いくらなんでもそれは言いすぎだって!」
まえまえから気になっていたけど、やっぱり瑠璃は裕璃に対して敵対心のようなものを抱いているようだ。
僕や瑠衣と話すときや、他のクラスメートと談笑するときと明らかに違う。
言葉に遠慮が感じられない。
「ーーっ!」
裕璃は顔を赤くして歯を食いしばる。
よく見ると、泣きそうな表情をしていた。
そんな裕璃を見て、瑠璃は後頭部を掻きながらため息をした。
「悪いけど、妹の社会復帰を妨害する因子になりかねないあなたは、豊花に近づけたくないの。ごめんね。だけどまあ、あなたの人生がお先真っ暗にならないための忠告くらいなら、してあげるわ」
瑠璃はそう言うとつづけた。
「妊娠検査キットを買って調べるとか、そのくらいしなさいよね。少し聞いてまわれば金沢って男がどんな人間かくらいわかるから調べてもみなさい」
「え、裕璃の彼氏が金沢だなんて、さすがに僕も言ってないから」
つい弁明してしまった。
「あいつは金持ちで一見やさしくみえるけど、過去に二人の女の子を妊娠させてる。堕胎費用は出さないわ名前も書かないわ、相当酷い事しているらしいわ。泣き寝入りしたくなかったら、なにかあるまえにさっさと別れなさい。これ以上はなにも言わないから、よく考えてみて」
瑠璃は言い終えると、僕の腕を掴んで教室の外へと出るよう促した。
裕璃が気になりつつも、三人で昼休みを過ごす時間がなくなってしまうのはなんだか嫌だーーそう考え、瑠璃に促されるまま椅子から立ち上がる。
「ねえ、豊花? まだあいつに未練はあるのか、聞いてみてもいい?」
教室の外へ出ると、瑠璃は聞いてきた。
一年の教室に向かいながら、僕は少し考えて口を開く。
「とりあえず、恋人になりたいとか、そういった未練はもうないかな」
瑠璃がどこまで真実を言い当てられているのかはわからないけど、聞いていたかぎりじゃ、裕璃は僕が苦手なタイプにすら思えてきたのだ。
格好いい先輩に告白されたからと、あまり知らない相手と試しに付き合う。
付き合った理由が試しになのに、一ヶ月経たずに身体を許す貞操観念。
……裕璃は、もっときちっとしている印象を抱いていたけど、どうやら思い違いも甚だしかったようだ。
たとえ身体が男に戻ったとしても、好き好んで裕璃と付き合いたいとはもう思えない。
「そう、安心した。豊花には瑠衣がいるから頑張ってね」
「へ? なんで、瑠衣?」
なんで瑠衣の名前が、この流れで出てくるのだろう?
そもそも女の身体の今の僕に対しても、瑠璃とのほうが会話している現状を踏まえても、わざわざ瑠衣を名指しで出す意味がまるでわからない。
だいたい、瑠璃とは二人だけで会話が成立するけど、瑠衣と二人じゃ会話が途絶えてしまいそうだし。
あいだに瑠璃が挟まってくれないとスムーズなやり取りができない。そのていどの仲。なのに……なぜ、瑠衣なんだろう?
そういえば、さっき妹のーーつまり、瑠衣の社会復帰を邪魔するなとかなんとか言っていたような。
「瑠衣の友達になってほしいって言ったじゃない」
「え、ああ、そういう意味?」
「もちろん、そうに決まっているじゃない。友達になってほしいの。……高校になって最初の友達に……裏切らない友達に……」
なんだか凄い重かった。
友達って言葉のなかに、胃もたれしそうななにかが込められていそうなんだけど。
だいたい、話があまり合わないし、スイッチが入ると笑いはじめるし、まだ友達にもなれていないと思う。
「豊花が来てくれるようになってから瑠衣、明るくなったのよ。やっぱり同じ立場だと親しみが湧くみたいね。その調子であの子を元気にさせてやってね」
「明るくなったんだ?」
元を知らないからなんとも言えない。
けど……まあ、こうやって毎日昼休みに集まるのは、なんだかつづけたい。そう思えた。
(21.)
ひとつの机に僕と瑠璃、そして瑠衣の三人が集まって昼休みを過ごすことには段々と慣れてきていた。
だけど、その日は調子が優れずあまり会話に参加できていなかった。
そして、下腹部辺りがいきなり痛みの悲鳴をあげた。
「ーーっ!? な、なんだこれ……味わったことのない感覚がする」
「ちょっと、なにか腐った物でも食べたの?」
あれ、さっき同レベルのことを言われた気がいつつつつ!
なんて表現するのが正しいだろうか。
あえて男で説明するなら、ゴールデンボールに手のひらを当てて奥のほうに押し込んでいるような痛みがしてきたのだ。
「……っ! 豊花、考えていなかったけど、そういえば女になるってことは、つまり、そういうことも着いてくるって意味よね?」
「え?」
お腹を擦りながら耐えようとするが、まったく意味がない。
なんだか股が湿っているような……。
瑠璃が瑠衣の鞄に勝手に手を入れたかと思うと、なにやら可愛らしいポーチを取り出して、その中からさらになにかを抜き取る。
「豊花、急いでトイレに行きなさい」
そう言いながら、瑠璃は瑠衣から奪ったなにかをひとつ投げ渡してきた。
「なにこれ?」
「わからない? ナプキンよ、生理用ナプキン。サイズは諦めなさい、無いよりマシでしょ」
「え、せ、生理……?」
普段、男の僕には関わりのない世界だから気にしていなかった。
けど、そういえば確かに、女性特有の生理機能があった。
どんなふうになるのかなんて知らないけど、漠然と大変らしいというイメージはある。
「早くトイレ行って、下着の上に敷いて。今始まったなら、これから酷くなるに連れて出血も増えるから、最悪下着から漏れちゃうのよ、わかる?」
「わ……わかった、行ってくる」
……出血。
そういえば血が出るらしいけど、やっぱり詳しくは知らなかった。
だが、これから酷くなるという点には驚きを禁じ得ない。
僕は嫌な予感を抱きつつ女子トイレへと向かい走った。
トイレに入り個室のドアを開け中へと入る。
最初はあれだけ緊張と興奮がさめやまなかったのに、今は女子トイレに入ってもあまり気にならなくなっていた。
個室に入ると、パンツを恐る恐る脱いでいく。
そこには……。
「げっ!?」
ーーピンク色のパンツが、一部赤色のパンツに変わっていた。
こんなに血が出るのかと、思わず意識が遠退きふらっとしてしまう。
どうにか耐えて、瑠璃から貰ったナプキンとやらを開封して中身を取り出した。
くそっ、焦っているせいか敷きかたがわからない。
こうか? いや多分こうだ!
既に血の臭いを充満させているパンツにナプキンを適当に置いて履きなおす。なんか間違っている気もするけど、使い方に文句は言っていられない!
血の臭いがしているような気がして、気になって気になってしょうがない。
いや、それより……。
なんだかこの痛みには慣れる気がしない。
誰かが子宮を鷲掴みにしているのかもしれない、とにかくこの痛みから早く逃げたかった。
それと、股が常に血で湿っているというのは、意外にもストレスになっている。
とはいえ、いつまでもここにいるわけにはいかない。
痛みに耐えつつ、僕は瑠璃たちの知識で助けてもらおうと教室に戻っていく。
教室に入ると、臭いが漏れていないか気にしながら瑠璃たちの元に向かい椅子に座った。
「どう? やっぱり生理?」
「うん、そうみたい……やたらとこの辺りが痛いんだけど、こんな痛いものなの?」
僕は腹を擦りながら愚痴るように訊いた。
「いや、人によるとしか言えない。だって私は軽いけど、瑠衣は重いもの。姉妹でこんなに違うから他人のなんてもっとわからないわ」
軽いとか重いとかの基準がわからない。
が、とにかく苦しいことだけは間違いない。
あれかな、異能力者だからさらに辛いとか?
女になった代償だったり?
ならいつでも自由に性別変更させてくれ!
「きょうの豊花はちょっとダメそうね。保健室行って鎮痛剤貰って飲んできなさい。そのまま腰を暖めながら帰りまで寝かせてもらったほうがいいよ?」
「鎮痛剤! その手があった! ごめん! 保健室行ってくる!」
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