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第四章/杉井豊花(破)
Episode055/愛のある我が家(後)
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(92.)
いつもより瑠璃と瑠衣を監視しながら過ごした放課後、急いで僕は愛のある我が家に出向いていた。
瑠衣と瑠璃を連れて……。
既に室内には、沙鳥、舞香、朱音、翠月、瑠奈、赤羽さん、大海さん、ありす、刀子、それにゆきと、大勢が揃っていた。そこに瑠衣と腑に落ちない表情を顔に浮かべながらもついてきた瑠璃が集まる。
「緊急事態です。ここ最近、なにやら真実の愛なる組織をつくられたことがわかりました」
緊急事態……普段なら別の組織ができたくらいでは驚かない。
けれど、瑠衣と瑠璃も狙われていることになって、致し方なく二人を安全と思わしき愛のある我が家のアジトに出向いたのだ。
「ちょっと豊花? あんたどうしてこんな場所に私を連れてくるのよ?」
瑠璃は襲われた側なんだからいちいち口を挟まないでほしい。
「それは貴女がよくご存知ではないでしょうか?」
「うっ……」
瑠璃は危うく命を落とすところだった。それを、たまたま居合わせたありすが撃退したことにより九死に一生を得られた。文句が言える立場ではないだろう。
「第一、どうして私の命を狙われなければいけないのよ?」
瑠璃は疑問を口にした。
「言いにくいんだけどよ、金沢弟を殺害した裕璃。それを救いだしたのは豊花ちゃんと愛のある我が家メンバーだ。そして、金沢弟を殺害するトリガーになった豊花ちゃんには個人的な恨みがある」さらに、と赤羽さんは付け足す。「それをわざわざ助け出して保護している愛のある我が家にも敵対心を燃やしているんだ。瑠璃ちゃんは一見無関係に見えて、瑠衣ちゃんの姉ということでターゲットになっちまったんだろ」
たしか……金沢叶多だったか。弟をそこまで溺愛していたのだろうか?
いやいや、普通に考えれば親族を殺した奴は皆恨めしいだろう。だけど、相手だって犯罪をしているというのに。
「厄介なのは善河だ。どうしてあいつが新成の組織に属すことになったのかも不明だ」
「……もしかしたら、利害が一致したのかもしれません」
沙鳥は口を挟む。
「あいつと何の利害が一致すれば同じ組織に属するのかわからん」
思考しろーー。
瑠衣たちや裕璃に恨みがあるのは金沢叶多。金沢のお姉さんだ。弟に危害を加えた抱けで大空静夜に依頼して、殺害を試みた人間。
おそらく姉である瑠璃も纏めて始末しようと考えているのだろう。
なにより、せっかく教育部併設異能力者研究所に隔離させたのを救出した愛のある我が家にも恨みがある。さらにいえば利害の一致……たしか善河という男は刀子さんや沙鳥の殺害を命じられた。
叶多も愛のある我が家に恨みがある。
そこで、叶多は愛のある我が家もろとも僕たちを消すかもしれないということだ。
「たしかに……金沢紅一を裕璃がバラバラにした経緯は瑠衣が発端で、恨まれても仕方ないかもしれない。けど、実際に殺したのは裕璃じゃない! どうして私や瑠衣たちの命まで狙われなければならないのよ?」
瑠璃は至極真っ当な問いかけをする。
「それだけじゃねぇ」大海さんが口を開く。「相手は最神一家の枝の竜宮会だ。俺が聞き集めた情報だから間違いねぇ」
「これでは抗争になりますね」
沙鳥は神妙そうに頷く。
「くそっ、実の娘を強姦しておいて、逆恨みもいいとこだぜ」
赤羽さんはギリギリと歯を噛み締めている。
「こうなったら全面戦争に持ち込むしかありませんね」
「赤羽、とりあえずしらみつぶしに相手の情報を探すぞ」
相変わらず、大海さんは舞香の言うことに弱い。
「では、しばらく安全であるここに瑠衣さんと瑠璃さんは隠れていてもらいます」
「隠れてって、私がそんなに非力に見えるわけ?」
瑠璃は文句を言うが、体は震えていた。
叶多とは面識があるだろうけど、ヤクザがバックについているとなると話は別だろう。
「瑠璃さんと瑠衣さん、あと私と朱音さんは愛のある我が家で待機。護衛として、刀子さん、舞香さんは残っていてください」
「どうして私まで……」
瑠璃はごちゃごちゃ言っているが仕方ないだろう。
「大海組は叶多の居場所を特定するため人員を割く。翠月はこっちに協力しろ」
「はいはーい」
翠月は案外素直に従ってくれた。
「大海さんと赤羽さんは情報収集をお願いします。で、豊花さんと瑠奈さん、ゆきさん、ありすさんは敵対組織『竜宮会』の戦力を削いできてください」
「え……戦力を削ぐ?」
思わず聞き返してしまった。
「ええ、最神一家の枝の竜宮会は、いわば叶多さんが雇っている連中です」沙鳥は目をギラリとさせる。「こちらの戦力を削らないで、相手の戦力を軒並み潰しておくのです」
おっかない。
こういう思考をする人だからリーダーが勤まるんだろうか?
とはいえ、ヤクザ集団。あまり関わりたくはない。
「豊花! やめておきなさいよ、そんな危ないこと!」
「あ……その……ほどほどにするよ」
それだけ返事をすると、僕は皆と一緒に玄関から外に出た。
いつもより瑠璃と瑠衣を監視しながら過ごした放課後、急いで僕は愛のある我が家に出向いていた。
瑠衣と瑠璃を連れて……。
既に室内には、沙鳥、舞香、朱音、翠月、瑠奈、赤羽さん、大海さん、ありす、刀子、それにゆきと、大勢が揃っていた。そこに瑠衣と腑に落ちない表情を顔に浮かべながらもついてきた瑠璃が集まる。
「緊急事態です。ここ最近、なにやら真実の愛なる組織をつくられたことがわかりました」
緊急事態……普段なら別の組織ができたくらいでは驚かない。
けれど、瑠衣と瑠璃も狙われていることになって、致し方なく二人を安全と思わしき愛のある我が家のアジトに出向いたのだ。
「ちょっと豊花? あんたどうしてこんな場所に私を連れてくるのよ?」
瑠璃は襲われた側なんだからいちいち口を挟まないでほしい。
「それは貴女がよくご存知ではないでしょうか?」
「うっ……」
瑠璃は危うく命を落とすところだった。それを、たまたま居合わせたありすが撃退したことにより九死に一生を得られた。文句が言える立場ではないだろう。
「第一、どうして私の命を狙われなければいけないのよ?」
瑠璃は疑問を口にした。
「言いにくいんだけどよ、金沢弟を殺害した裕璃。それを救いだしたのは豊花ちゃんと愛のある我が家メンバーだ。そして、金沢弟を殺害するトリガーになった豊花ちゃんには個人的な恨みがある」さらに、と赤羽さんは付け足す。「それをわざわざ助け出して保護している愛のある我が家にも敵対心を燃やしているんだ。瑠璃ちゃんは一見無関係に見えて、瑠衣ちゃんの姉ということでターゲットになっちまったんだろ」
たしか……金沢叶多だったか。弟をそこまで溺愛していたのだろうか?
いやいや、普通に考えれば親族を殺した奴は皆恨めしいだろう。だけど、相手だって犯罪をしているというのに。
「厄介なのは善河だ。どうしてあいつが新成の組織に属すことになったのかも不明だ」
「……もしかしたら、利害が一致したのかもしれません」
沙鳥は口を挟む。
「あいつと何の利害が一致すれば同じ組織に属するのかわからん」
思考しろーー。
瑠衣たちや裕璃に恨みがあるのは金沢叶多。金沢のお姉さんだ。弟に危害を加えた抱けで大空静夜に依頼して、殺害を試みた人間。
おそらく姉である瑠璃も纏めて始末しようと考えているのだろう。
なにより、せっかく教育部併設異能力者研究所に隔離させたのを救出した愛のある我が家にも恨みがある。さらにいえば利害の一致……たしか善河という男は刀子さんや沙鳥の殺害を命じられた。
叶多も愛のある我が家に恨みがある。
そこで、叶多は愛のある我が家もろとも僕たちを消すかもしれないということだ。
「たしかに……金沢紅一を裕璃がバラバラにした経緯は瑠衣が発端で、恨まれても仕方ないかもしれない。けど、実際に殺したのは裕璃じゃない! どうして私や瑠衣たちの命まで狙われなければならないのよ?」
瑠璃は至極真っ当な問いかけをする。
「それだけじゃねぇ」大海さんが口を開く。「相手は最神一家の枝の竜宮会だ。俺が聞き集めた情報だから間違いねぇ」
「これでは抗争になりますね」
沙鳥は神妙そうに頷く。
「くそっ、実の娘を強姦しておいて、逆恨みもいいとこだぜ」
赤羽さんはギリギリと歯を噛み締めている。
「こうなったら全面戦争に持ち込むしかありませんね」
「赤羽、とりあえずしらみつぶしに相手の情報を探すぞ」
相変わらず、大海さんは舞香の言うことに弱い。
「では、しばらく安全であるここに瑠衣さんと瑠璃さんは隠れていてもらいます」
「隠れてって、私がそんなに非力に見えるわけ?」
瑠璃は文句を言うが、体は震えていた。
叶多とは面識があるだろうけど、ヤクザがバックについているとなると話は別だろう。
「瑠璃さんと瑠衣さん、あと私と朱音さんは愛のある我が家で待機。護衛として、刀子さん、舞香さんは残っていてください」
「どうして私まで……」
瑠璃はごちゃごちゃ言っているが仕方ないだろう。
「大海組は叶多の居場所を特定するため人員を割く。翠月はこっちに協力しろ」
「はいはーい」
翠月は案外素直に従ってくれた。
「大海さんと赤羽さんは情報収集をお願いします。で、豊花さんと瑠奈さん、ゆきさん、ありすさんは敵対組織『竜宮会』の戦力を削いできてください」
「え……戦力を削ぐ?」
思わず聞き返してしまった。
「ええ、最神一家の枝の竜宮会は、いわば叶多さんが雇っている連中です」沙鳥は目をギラリとさせる。「こちらの戦力を削らないで、相手の戦力を軒並み潰しておくのです」
おっかない。
こういう思考をする人だからリーダーが勤まるんだろうか?
とはいえ、ヤクザ集団。あまり関わりたくはない。
「豊花! やめておきなさいよ、そんな危ないこと!」
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それだけ返事をすると、僕は皆と一緒に玄関から外に出た。
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