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Ep.4-4《負けられない戦い》
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<お詫び>
前回投稿したEp.4-3ですが、間違って少し先の内容を投稿してしまっていました。
本当に申し訳ありませんでした。
今はもう本来のEp.4-3の内容に書き換えたので、前回の内容を見て何か話が飛んでいる気がする……と思った方はもう一度見て下さるとありがたいです。
2022/04/30
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「君って痛みへの耐性が強いのかな? それとも単に我慢強いだけ? 前に戦ったリアルでプロボクサーやってる兄ちゃんは最初の三連撃でゲロ吐いて倒れてたのにね」
まるでカフェで雑談をしているかのように語りながら、レオはアーニャへの攻撃を続ける。
弾丸のような連撃が、肩や腕を掠める。
そんなレオの猛攻に対して、アーニャは少し体を反らしてクリーンヒットを避けることしかできない。
(く、そ……)
アーニャはまだ戦意喪失こそしてないものの、一方的に追い詰められていく今の状況に焦りを感じていた。
今までの戦いは正々堂々戦えば自分の実力の方が上だと感じる相手だったが、このレオという少年に限っては別だ。
自分より小さい背の丈でありながら、実力に関しては明らかに自分より数段格上だと認めざるを得ない。
だからこそ、アーニャも正面切っての戦いには挑めない。
アーニャはチラリと背後に視線を送る。
あと数歩足を進めれば、まだ開封されていないアイテムボックスに手が届く。
そこに入っている新たな武器に託すしかない。
運頼りの戦い方ではあるものの、それでも今のアーニャにはそれしか勝機はなかった。
「ほら、どこ見てんのッ!」
「――ッ!?」
レオの拳がアーニャの頬を掠める。
そのままアーニャは体勢を崩し、体を半回転させて地面に手をつく。
『アーニャ選手、倒れました! もはやこれまでか~!?』
(いや……やるなら今だッ!)
不意の一撃を受けたにも関わらず、アーニャの意識は鮮明だった。
頭の中で描いた次に取るべき行動を、最速の動きで実行する。
体勢を崩したふりをして、アーニャはクラウチングスタートのように地面を蹴る。
『なッ!? アーニャ選手、倒れたかと思いきや急に背を向けて走り出しました! 一旦距離を取るのでしょうか!?』
『いやアーニャ選手の狙いは恐らく、アイテムボックスでしょうね』
ジューンの言う通り、アーニャは一番近くにあるアイテムボックスに向けて全力で駆ける。
それは賭けに近い行動だった。
もう背後を振り返る余裕はなく、アイテムボックスに手が届くより先にレオの一撃が視界の外から迫るかもしれない。
だがレオの攻撃を受けながらゆっくり後退しアイテムボックスに近づいたところで、レオがやすやすとアイテムを取得する隙を与えてくれるとは思えない。
追い詰められたこの状況ではこれが最善策だと確信し、アーニャは全力で走る。
――アイテムボックスまであと3歩。
背後からレオが追いかけてくる様子はない。
――あと2歩。
アーニャはアイテムボックスに向けて手を伸ばす。
――あと1歩。
その瞬間、視界がグニャリと揺れた。
「……え?」
理由は分からないが急に体の自由が効かなくなり、バランスを崩したアーニャは地面を転がる。
そして気づけば天井を見上げていた。
『な、何が起きたのでしょう!? アーニャ選手、アイテムボックスを目の前にして倒れてしまいました! つ、つまずいて転倒でもしたんでしょうか……?』
『い、いや……一瞬ですが、レオ選手がアーニャ選手に何かを投げたように見えました』
『え、そうなんですか? 私には何も見えませんでしたけど……?』
『おそらく、何か、細くて、小さい物を……』
実況席も観客席も混乱していた。
当のアーニャですら何が起きたのかを理解できていない。
だがチクリとした痛みを太ももから感じ、アーニャはゆっくりと顔を上げて自分の体を確かめる。
「これ、は……?」
右の太ももには、小さな縫い針のような物が刺さっていた。
「それは麻痺針。君がちょろちょろ逃げ回っている間に俺もこっそりアイテムを集めてたんだよね。気づいてた?」
余裕そうな表情で、レオがアーニャに近づいてくる。
「くっ……なっ、足が……ッ!」
すぐさま立ち上がって距離を取ろうとしたアーニャだったが、針が刺さった右足が思うように動かない。
「この針は刺さったところを一定時間、ピンポイントで麻痺させる毒針なんだよ。ほら、もう一本ッ!」
レオが新たな針を投擲する。
真っ直ぐに胸を目掛けて飛んでくるその針を、その場から動けないアーニャは両腕で防御する。
「……いッ!」
2本目の針はアーニャの左腕に突き刺さった。
その瞬間、左腕は力を失いだらんと垂れる。
(左腕も……まずい、防御を……い、いや……っ!)
すかさず次の攻撃に備えて残った右腕で防御の体勢を取ろうとするアーニャだったが、そこで迷いが生じる。
ここで右手の自由まで失ったら、攻めの手を完全に失うことになる。
右手を残すか、防御に使うか、そんな迷いで思考が停止している間に、想定外の追撃がやってきた。
「そーりゃ!」
思考の隙を突き、一気に距離を縮めたレオはアーニャの胸元目掛けて蹴りを入れる。
反応が一瞬遅れたアーニャは防御することも回避することもできずに、その一撃を正面から受けてしまう。
「しまっ――――ひぎゅぅううっ!?」
その瞬間電流のような衝撃が、胸から全身へ駆け巡った。
アーニャはまた地面を転がり、体を痙攣させながら自身の胸をぎゅっと抱き寄せる。
「んっ……くぅ、あっ、は……っ」
「ん? 急に変な声出すじゃん」
急に甘い吐息を漏らしながら悶えるアーニャを見て、レオは一瞬頭を傾げる。
だがその理由をすぐに理解する。
「ああ呪いか、そういえば胸が弱いんだっけ……ッ!」
嗜虐的に笑みを浮かべながら、レオは横たわるアーニャの胸を勢いよく踏みつけた。
「――ひッ!? ンぁああああッ!?」
嬌声混じりの甲高い悲鳴が上がる。
(胸、だめぇ……っ、早く立ち上がらなきゃ……)
そうは思うものの、右足と左足は麻痺針の影響で自由に動かすことができず、右手の力だけでは踏みつけるレオの足をどかすことはできない。
それに加え、レオは容赦という言葉を知らない。
レオはそのままアーニャの胸をグリグリと踏みつけ続ける。
「んんッ、ンぁあううううッ!?」
もはや声を抑えることもできない。
両胸に打たれた感度上昇の呪いのせいで、些細な刺激さえも強い刺激として感じてしまう。
鼓動が早くなり、体が熱くなる。
『ああっ、女の子の胸を…………ひどいッ! レオ君そんなんだから嫌われるんですよ!』
『レオ選手、呪いを受けたアーニャ選手の胸を執拗に狙っていますね。今のアーニャ選手に耐えられるかどうか……』
痛みなのか快楽なのか分からない強い感覚に、アーニャは体をピクンピクンとさせながら悶える。
頬を紅潮させ、涙を流しながら必死に抵抗するその姿をレオは不思議そうに眺めていた。
「へぇ、痛みの感覚に対しては結構我慢強く耐えてたのに、快楽に関してはてんで弱いみたいだね。そっか、じゃあそういう方向で遊ぼうか」
新しいイタズラを思いついた子供のような表情で、レオは懐から何かを取り出す。
ギラリと輝くそれは、ベータの世界にやってきてから幾度も目にした注射器だった。
「本当は悪趣味であんまり好きになれないんだけどさ、一個気になる呪いがあって……ちょっと実験台になってくれない?」
「――ひっ、い、いやぁああッ!!」
それを目にした途端、アーニャの顔が青ざめる。
もはやその注射器が視界に入るだけで恐怖を感じる体になってしまっていた。
胸を踏み潰すレオの足を取り払おうと、アーニャは唯一動く右手で必死にもがく。
「動くなよっ!」
だがレオは抵抗するアーニャの右腕を強引に掴み上げ、そしてその手を引き上げながら右肩を勢いよく踏みつけた。
――パキンッ!
体の内側から響く、何かが外れた音。
同時にアーニャの右肩に激痛が走る。
「――あ”あ”ッ、う”ぁ”あ”あ”あ”あ”ッ!」
全面コンクリートの会場に悲痛な絶叫が響く。
右肩に熱と激痛を感じる一方で、指先の感覚はなくなっていく。
脳から送られる動けという意思が、右手に届かなくなる。
『ううっ、すごく痛そうな音が響きました! おそらく関節が外れた音でしょうか?』
『アーニャ選手、これで両腕とも動かなくなってしまいましたね……』
「あ”ッ、い”あ”あ”……っ」
アーニャが痛みに悶えている中、レオは問答無用で動かなくなったアーニャの腕に注射針を突き刺す。
関節が外れてもチクリとした痛みは腕から感じ、そこから熱い何かが注入されていく感覚がやってくる。
「や……め……な、なんの呪い……を……」
「さあ、なんだろね!」
レオはニヤリと微笑むと、空になった注射器を引き抜いて放り投げる。
そして仰向けに倒れるアーニャの腹部を強く踏みつけた。
「ンぁあ”あ”ッ!? ――あっ、んぎゅううッ!?」
両腕が動かないアーニャは、その攻撃を一方的に受ける他ない。
腹部を圧迫され、強い痛みがやってくる――――はずだった。
「あッ、はっ……ひぎ……ッ!?」
アーニャは無意識に足を閉じて、漏れそうになる声を必死に押さえる。
やってきたのは痛みとは違う感覚だった。
(なに、これ……この感覚、まさか……)
「その表情、気づいたみたいだね…………これは痛みや苦痛の感覚を快楽に変える呪い。さぁ、もっといい悲鳴を聞かせてね」
そう言ってレオは踏みつけていた足をまた高く上げる。
もう一度あの強い刺激が来たら……そう考えただけで、アーニャの体が委縮する。
何より今のアーニャは体が動かず抵抗の手段がない。
(だ、めぇ……っ! これ以上は、耐えきれな――)
そんな怯えるアーニャの顔を見て、レオはさぞ楽しそうな表情を浮かべる。
そして高く掲げた足を一気に下ろし、再びアーニャの腹部を踏み抜いた。
「――イけよぉッ!」
――ドォンッ!
衝撃とともに、アーニャは大きく目を見開く。
「イッ……ぎッ!? ひぐぁあ”あ”あ”あ”あ”あ”ッ!!」
会場全体に響くアーニャの絶叫が響き渡る。
――プシッ、プシャアアアッ!
高く腰を突き上げ、ショーツ越しに噴水のように潮が溢れ出る。
強い絶頂の波が何度も何度も訪れて、その度に体がビクビクと痙攣する。
そんなモニター越しに映る悲痛な少女の姿に、観客は皆、見入っていた。
前回投稿したEp.4-3ですが、間違って少し先の内容を投稿してしまっていました。
本当に申し訳ありませんでした。
今はもう本来のEp.4-3の内容に書き換えたので、前回の内容を見て何か話が飛んでいる気がする……と思った方はもう一度見て下さるとありがたいです。
2022/04/30
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「君って痛みへの耐性が強いのかな? それとも単に我慢強いだけ? 前に戦ったリアルでプロボクサーやってる兄ちゃんは最初の三連撃でゲロ吐いて倒れてたのにね」
まるでカフェで雑談をしているかのように語りながら、レオはアーニャへの攻撃を続ける。
弾丸のような連撃が、肩や腕を掠める。
そんなレオの猛攻に対して、アーニャは少し体を反らしてクリーンヒットを避けることしかできない。
(く、そ……)
アーニャはまだ戦意喪失こそしてないものの、一方的に追い詰められていく今の状況に焦りを感じていた。
今までの戦いは正々堂々戦えば自分の実力の方が上だと感じる相手だったが、このレオという少年に限っては別だ。
自分より小さい背の丈でありながら、実力に関しては明らかに自分より数段格上だと認めざるを得ない。
だからこそ、アーニャも正面切っての戦いには挑めない。
アーニャはチラリと背後に視線を送る。
あと数歩足を進めれば、まだ開封されていないアイテムボックスに手が届く。
そこに入っている新たな武器に託すしかない。
運頼りの戦い方ではあるものの、それでも今のアーニャにはそれしか勝機はなかった。
「ほら、どこ見てんのッ!」
「――ッ!?」
レオの拳がアーニャの頬を掠める。
そのままアーニャは体勢を崩し、体を半回転させて地面に手をつく。
『アーニャ選手、倒れました! もはやこれまでか~!?』
(いや……やるなら今だッ!)
不意の一撃を受けたにも関わらず、アーニャの意識は鮮明だった。
頭の中で描いた次に取るべき行動を、最速の動きで実行する。
体勢を崩したふりをして、アーニャはクラウチングスタートのように地面を蹴る。
『なッ!? アーニャ選手、倒れたかと思いきや急に背を向けて走り出しました! 一旦距離を取るのでしょうか!?』
『いやアーニャ選手の狙いは恐らく、アイテムボックスでしょうね』
ジューンの言う通り、アーニャは一番近くにあるアイテムボックスに向けて全力で駆ける。
それは賭けに近い行動だった。
もう背後を振り返る余裕はなく、アイテムボックスに手が届くより先にレオの一撃が視界の外から迫るかもしれない。
だがレオの攻撃を受けながらゆっくり後退しアイテムボックスに近づいたところで、レオがやすやすとアイテムを取得する隙を与えてくれるとは思えない。
追い詰められたこの状況ではこれが最善策だと確信し、アーニャは全力で走る。
――アイテムボックスまであと3歩。
背後からレオが追いかけてくる様子はない。
――あと2歩。
アーニャはアイテムボックスに向けて手を伸ばす。
――あと1歩。
その瞬間、視界がグニャリと揺れた。
「……え?」
理由は分からないが急に体の自由が効かなくなり、バランスを崩したアーニャは地面を転がる。
そして気づけば天井を見上げていた。
『な、何が起きたのでしょう!? アーニャ選手、アイテムボックスを目の前にして倒れてしまいました! つ、つまずいて転倒でもしたんでしょうか……?』
『い、いや……一瞬ですが、レオ選手がアーニャ選手に何かを投げたように見えました』
『え、そうなんですか? 私には何も見えませんでしたけど……?』
『おそらく、何か、細くて、小さい物を……』
実況席も観客席も混乱していた。
当のアーニャですら何が起きたのかを理解できていない。
だがチクリとした痛みを太ももから感じ、アーニャはゆっくりと顔を上げて自分の体を確かめる。
「これ、は……?」
右の太ももには、小さな縫い針のような物が刺さっていた。
「それは麻痺針。君がちょろちょろ逃げ回っている間に俺もこっそりアイテムを集めてたんだよね。気づいてた?」
余裕そうな表情で、レオがアーニャに近づいてくる。
「くっ……なっ、足が……ッ!」
すぐさま立ち上がって距離を取ろうとしたアーニャだったが、針が刺さった右足が思うように動かない。
「この針は刺さったところを一定時間、ピンポイントで麻痺させる毒針なんだよ。ほら、もう一本ッ!」
レオが新たな針を投擲する。
真っ直ぐに胸を目掛けて飛んでくるその針を、その場から動けないアーニャは両腕で防御する。
「……いッ!」
2本目の針はアーニャの左腕に突き刺さった。
その瞬間、左腕は力を失いだらんと垂れる。
(左腕も……まずい、防御を……い、いや……っ!)
すかさず次の攻撃に備えて残った右腕で防御の体勢を取ろうとするアーニャだったが、そこで迷いが生じる。
ここで右手の自由まで失ったら、攻めの手を完全に失うことになる。
右手を残すか、防御に使うか、そんな迷いで思考が停止している間に、想定外の追撃がやってきた。
「そーりゃ!」
思考の隙を突き、一気に距離を縮めたレオはアーニャの胸元目掛けて蹴りを入れる。
反応が一瞬遅れたアーニャは防御することも回避することもできずに、その一撃を正面から受けてしまう。
「しまっ――――ひぎゅぅううっ!?」
その瞬間電流のような衝撃が、胸から全身へ駆け巡った。
アーニャはまた地面を転がり、体を痙攣させながら自身の胸をぎゅっと抱き寄せる。
「んっ……くぅ、あっ、は……っ」
「ん? 急に変な声出すじゃん」
急に甘い吐息を漏らしながら悶えるアーニャを見て、レオは一瞬頭を傾げる。
だがその理由をすぐに理解する。
「ああ呪いか、そういえば胸が弱いんだっけ……ッ!」
嗜虐的に笑みを浮かべながら、レオは横たわるアーニャの胸を勢いよく踏みつけた。
「――ひッ!? ンぁああああッ!?」
嬌声混じりの甲高い悲鳴が上がる。
(胸、だめぇ……っ、早く立ち上がらなきゃ……)
そうは思うものの、右足と左足は麻痺針の影響で自由に動かすことができず、右手の力だけでは踏みつけるレオの足をどかすことはできない。
それに加え、レオは容赦という言葉を知らない。
レオはそのままアーニャの胸をグリグリと踏みつけ続ける。
「んんッ、ンぁあううううッ!?」
もはや声を抑えることもできない。
両胸に打たれた感度上昇の呪いのせいで、些細な刺激さえも強い刺激として感じてしまう。
鼓動が早くなり、体が熱くなる。
『ああっ、女の子の胸を…………ひどいッ! レオ君そんなんだから嫌われるんですよ!』
『レオ選手、呪いを受けたアーニャ選手の胸を執拗に狙っていますね。今のアーニャ選手に耐えられるかどうか……』
痛みなのか快楽なのか分からない強い感覚に、アーニャは体をピクンピクンとさせながら悶える。
頬を紅潮させ、涙を流しながら必死に抵抗するその姿をレオは不思議そうに眺めていた。
「へぇ、痛みの感覚に対しては結構我慢強く耐えてたのに、快楽に関してはてんで弱いみたいだね。そっか、じゃあそういう方向で遊ぼうか」
新しいイタズラを思いついた子供のような表情で、レオは懐から何かを取り出す。
ギラリと輝くそれは、ベータの世界にやってきてから幾度も目にした注射器だった。
「本当は悪趣味であんまり好きになれないんだけどさ、一個気になる呪いがあって……ちょっと実験台になってくれない?」
「――ひっ、い、いやぁああッ!!」
それを目にした途端、アーニャの顔が青ざめる。
もはやその注射器が視界に入るだけで恐怖を感じる体になってしまっていた。
胸を踏み潰すレオの足を取り払おうと、アーニャは唯一動く右手で必死にもがく。
「動くなよっ!」
だがレオは抵抗するアーニャの右腕を強引に掴み上げ、そしてその手を引き上げながら右肩を勢いよく踏みつけた。
――パキンッ!
体の内側から響く、何かが外れた音。
同時にアーニャの右肩に激痛が走る。
「――あ”あ”ッ、う”ぁ”あ”あ”あ”あ”ッ!」
全面コンクリートの会場に悲痛な絶叫が響く。
右肩に熱と激痛を感じる一方で、指先の感覚はなくなっていく。
脳から送られる動けという意思が、右手に届かなくなる。
『ううっ、すごく痛そうな音が響きました! おそらく関節が外れた音でしょうか?』
『アーニャ選手、これで両腕とも動かなくなってしまいましたね……』
「あ”ッ、い”あ”あ”……っ」
アーニャが痛みに悶えている中、レオは問答無用で動かなくなったアーニャの腕に注射針を突き刺す。
関節が外れてもチクリとした痛みは腕から感じ、そこから熱い何かが注入されていく感覚がやってくる。
「や……め……な、なんの呪い……を……」
「さあ、なんだろね!」
レオはニヤリと微笑むと、空になった注射器を引き抜いて放り投げる。
そして仰向けに倒れるアーニャの腹部を強く踏みつけた。
「ンぁあ”あ”ッ!? ――あっ、んぎゅううッ!?」
両腕が動かないアーニャは、その攻撃を一方的に受ける他ない。
腹部を圧迫され、強い痛みがやってくる――――はずだった。
「あッ、はっ……ひぎ……ッ!?」
アーニャは無意識に足を閉じて、漏れそうになる声を必死に押さえる。
やってきたのは痛みとは違う感覚だった。
(なに、これ……この感覚、まさか……)
「その表情、気づいたみたいだね…………これは痛みや苦痛の感覚を快楽に変える呪い。さぁ、もっといい悲鳴を聞かせてね」
そう言ってレオは踏みつけていた足をまた高く上げる。
もう一度あの強い刺激が来たら……そう考えただけで、アーニャの体が委縮する。
何より今のアーニャは体が動かず抵抗の手段がない。
(だ、めぇ……っ! これ以上は、耐えきれな――)
そんな怯えるアーニャの顔を見て、レオはさぞ楽しそうな表情を浮かべる。
そして高く掲げた足を一気に下ろし、再びアーニャの腹部を踏み抜いた。
「――イけよぉッ!」
――ドォンッ!
衝撃とともに、アーニャは大きく目を見開く。
「イッ……ぎッ!? ひぐぁあ”あ”あ”あ”あ”あ”ッ!!」
会場全体に響くアーニャの絶叫が響き渡る。
――プシッ、プシャアアアッ!
高く腰を突き上げ、ショーツ越しに噴水のように潮が溢れ出る。
強い絶頂の波が何度も何度も訪れて、その度に体がビクビクと痙攣する。
そんなモニター越しに映る悲痛な少女の姿に、観客は皆、見入っていた。
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