Anothermemory

桜羽 奏

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夏風

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新緑が綺麗な季節、日差しは少し強くなり風が芽を揺らしていた。風に靡かれ葉が揺れる度にサーッと葉の揺れる音が耳を心地よくした。そんな季節にカメラを持つ一人の男性、小さな草花から青空などの自然風景を写真に収めていた。

 自然公園に足を運ぶ男性は子供たちの姿を見た。裸足で駆け、笑い声がこだましている公園で男性は静かに笑みを零し写真に収める。すると男性は隣で絵画をしていたおじいさんに話しかけられた。

「いい写真は撮れたかのぉ?」

 話しかけられると笑顔で男性は頷き今度はチェキでその風景を写真に取ればおじいさんに手渡した。

「素敵な風景でしょう?おじいさんも素敵な絵を描かれますね」

おじいさんの絵は風景画であるが色彩が変わっていた。きっとこのおじいさんの見る世界はこのように写っているのだろう。赤色のチューリップは紫色に描かれ、空は水色でなく暗い青、眩しいほどに白い太陽、男性はとても素敵だと思った。おじいさんと絵画を写真に収める。それをおじいさんに渡す。

「私の絵は色が可笑しいらしいのぉ」

「そんな事ありません。あなたの絵はとても素晴らしいです。貴方の世界はとても美しい」

 男性がそう言うとおじいさんは涙して喜ぶ。そして夕日が赤く緑を染め上げる頃お互いに笑顔で別れた。人と触れ合うというのはお互いの世界を知ること。明日はどんな世界が見られるのだろうかと男性は心弾ませ帰宅した。
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みんなの感想(1件)

沙羅
2019.08.22 沙羅

すべて読ませていただきました!
一話一話の描写がとても綺麗で、穏やかで、とても引き込まれました。
「夏の手紙」は読み手側の解釈が広がって素敵ですね。少年は手紙に何を書いたのかなといろいろ考えたくなります。
「時」は個人的にとても好きなお話でした。
一時期魔女集会のタグが流行りましたが、こちらの作品もいろんな人に読んでほしいです。
「雨音」や「夏風」も世界観や見方がとても好きです。水溜まりの向こうの世界、おじいさんの見え方、こんな視点があるのかと驚かされました。
素敵な作品をありがとうございます!

解除

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