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ROKI

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EATER

味わう食卓

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  買い物をする時、つい二人分買い込んでしまう。弁当用と夕食用と。先ずは豚肉をニパックと、レタスを一玉。今夜は息子が好きだったカレーライスにしようと思い立って、買い物袋が重くなるのも考えずに材料を買い込んでしまった。
  いそいそと食卓の支度をする。早めに仕込んでいたおかげで抜群のカレールーが出来上がった。タオルを頭に被ったままの彼が風呂場から出てくる。濡れた髪を拭いてやるのも定番になってしまった。駅で待ち伏せていた彼と、買い物袋を半分持ち合って帰宅する。月命日の月一回の訪問は、いつの間にか週一回に増えていた。金曜日の夜に、彼は駅の入り口で私を待っている。食卓に上がったカレーライスを彼は思いっきり頬張る。まるで部活から帰ってきた息子のようだ。頬にパンパンに食べ物を詰めて、会話もなく黙々とかっ込む。あれ以来、彼は本当に良く飯を食う。今夜のカレーライスも、山盛り三杯も平らげた。食卓に毎回サラダは欠かせなくなった。あの後すぐに、立派なサラダボウルを手にして彼は私を待っていた。彼は、私のサラダに異様に固執している。彼にとって、自分の希望が叶った初めての手料理だったのだと言うのだ。私が作ったあのサラダの画像をスマートフォンの待ち受けにまでしているのだから、責任を感じてしまう。

  食器洗いの最中は、相変わらず彼が密着してくる。手元が塞がり無防備な私に彼が抱き着いて、下世話に弄ってくる。
  「いい加減それはやめないか…」
  呆れて言う私に、彼は大人びた冷めた笑いを鼻から零す。
  「…アンタに俺が抱けたら、アンタは俺のパパじゃ無くなるだろう?俺もアンタの息子じゃなくなる」
  誘いの口づけを頬に浴びながら私はサラダボウルを洗ってふきんで磨く。
  「そうしたらアンタの言うとおりに、客を取るのはやめる…」
  息子の顔をした彼は、後ろからまた私の首に手を掛けながら私の項に齧り付いた。まるで食い足りないと言わんばかりに、私の首の皮膚を、彼の歯列がゆっくりと挟み込んでいく。
  「アンタは、塩っぱい…」

EATER
END
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