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第3章 きっと、これしかなかった
わたしの名前を呼ばなかったあなた
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最後に、彼がわたしの名前を呼んだのは、
いつだっただろう。
思い出そうとしても、
声が浮かばない。
口の動きも、
音のかたちも、
なにもかも曖昧だった。
隣にいるのに、
彼の視線はどこか遠くを見ている。
わたしのほうを見ていない。
でも、彼は優しい。
わたしの肩にそっと触れて、
何も言わずにただそばにいた。
それが余計につらかった。
やさしさが、
選ばなかった証明になる。
“ちゃんと好きだったよ”
という言い訳みたいで。
ミオの名前は、覚えている。
だって、
彼が何度も呼んでいたから。
わたしは、
一度もその名前を口に出したことがない。
出せなかった。
出してしまったら、
終わってしまう気がしていた。
だけど、もう終わっている。
彼の手を、自分から離した。
何も言わずに。
そして、彼も何も言わなかった。
わたしの名前を、呼ばなかった。
最後の最後まで。
それで、いい。
それしか、なかったのだと思う。
きっと、これしかなかった。
いつだっただろう。
思い出そうとしても、
声が浮かばない。
口の動きも、
音のかたちも、
なにもかも曖昧だった。
隣にいるのに、
彼の視線はどこか遠くを見ている。
わたしのほうを見ていない。
でも、彼は優しい。
わたしの肩にそっと触れて、
何も言わずにただそばにいた。
それが余計につらかった。
やさしさが、
選ばなかった証明になる。
“ちゃんと好きだったよ”
という言い訳みたいで。
ミオの名前は、覚えている。
だって、
彼が何度も呼んでいたから。
わたしは、
一度もその名前を口に出したことがない。
出せなかった。
出してしまったら、
終わってしまう気がしていた。
だけど、もう終わっている。
彼の手を、自分から離した。
何も言わずに。
そして、彼も何も言わなかった。
わたしの名前を、呼ばなかった。
最後の最後まで。
それで、いい。
それしか、なかったのだと思う。
きっと、これしかなかった。
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