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第三章 答えていないのに、伝わってしまう
応えてくれると、思ってしまう
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彼女のからだが、
わたしの手を受け入れている。
声はないし、目も合っていない。
でも、それでも――いや、それだからこそ、
わたしは“応えてくれている”と、
勝手に思ってしまう。
言葉がないまま、
いまの距離ができあがっている。
押してはいない。
無理に進んでいるつもりもない。
ただ、この空気が自然に導いてくれる気がしていた。
静けさが、
やさしさで満たされているように錯覚していた。
彼女の呼吸が、
わたしの動きに合わせて少しずつ変わっていく。
その変化に希望を見つけるように、
わたしはふれる場所をすこしだけ変えた。
彼女は、動かない。
拒んでいない。
それが、
すべての答えのように見えた。
……ほんとうは、そんなはずはないと、
どこかで思っていた。
なにかが足りていないことも、
沈黙が必ずしも肯定ではないことも、
分かっていなかったわけじゃない。
けれど、ふれてしまったあとでは、もう、
伝わっていなかったかもしれない
と思うことの方が、ずっと怖かった。
わたしの手を受け入れている。
声はないし、目も合っていない。
でも、それでも――いや、それだからこそ、
わたしは“応えてくれている”と、
勝手に思ってしまう。
言葉がないまま、
いまの距離ができあがっている。
押してはいない。
無理に進んでいるつもりもない。
ただ、この空気が自然に導いてくれる気がしていた。
静けさが、
やさしさで満たされているように錯覚していた。
彼女の呼吸が、
わたしの動きに合わせて少しずつ変わっていく。
その変化に希望を見つけるように、
わたしはふれる場所をすこしだけ変えた。
彼女は、動かない。
拒んでいない。
それが、
すべての答えのように見えた。
……ほんとうは、そんなはずはないと、
どこかで思っていた。
なにかが足りていないことも、
沈黙が必ずしも肯定ではないことも、
分かっていなかったわけじゃない。
けれど、ふれてしまったあとでは、もう、
伝わっていなかったかもしれない
と思うことの方が、ずっと怖かった。
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