ある夏の初め

森下久美子

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ある夏の初め

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ある夏の初め、1人で湖へドライブした。人気の無い浜辺で、こっそりハイレグの水着を着て肌を焼いた。火照った体で、帰りにショッピングセンターに寄り、黒いスリップドレスを買った。店の女性に試着してみますかと聞かれ、慌てて「いいです。」と断る。アパートに帰ってどきどきしながら着てみたら黒いスリップドレスは僕にぴったりだった。シャワーを浴びて、脱毛クリームで体を綺麗にし、興奮を抑えて夜が来るのを待つ。夜、女装サロンへ行く。小麦色の肌に黒のブラとパンティを着け、化粧をする。ブルーのアイシャドウは焼けた肌によく似合う。香水を吹いてスリップドレスを着て、ショートのウイッグを付け、爪先に真っ赤なペティキュアを塗る。今夜はストッキングを付けないで生足にチャレンジ。化粧部屋に様子を見に来ていたマスターが「やっぱり久美ちゃんは綺麗やな」と褒めてくれて、「ありがとうございます」と、鏡に映った久美子に微笑んでみる。「ちょっと出かけてきます」「ああ、行っといで」カーディガンを羽織り、肩から麦わらのバッグを下げ、黒いサンダルを履いて外に出る。夜風が素足に気持ちよい。黒いサンダルの、真っ赤なペティキュアに自分自身が感じてしまう。まるで爪先が触覚になったみたい。そして、軽いスリップドレスの生地はふわふわと頼りなくて、パンストも穿いていないので、薄いショーツ1枚で歩いているみたい。ちょっと無防備で不安。ビルの鏡面に映っている自分の姿を見る。かなりミニ丈の裾から細い素足が伸びて、やっぱりとっても無防備に見える。薄いストッキングが一枚無いだけなのに、いつもと全然違う。何だか下半身裸で歩いているみたい。横を通り過ぎる車の視線を感じながら、スリップドレスの裾を靡かせ、腰を振って歩いて行く。もう既にあそこが湿っているのが分かる。目的のバーに着いたら顔見知りの男が居た。バーカウンターの高いストールの上でディープキッスされる。他の客の視線を感じる。裸の脚にクーラーの冷気がヒンヤリとあたる。ウイスキーソーダを飲み始めると別の男性が近づいてきて、「お嬢さん踊ってくれませんか」と誘われる。顔見知りの方に「踊ってあげたら」と自分の女みたいに言われ、ストールから下りてフロアでチークダンスを踊る。スリップドレスの裾がくすぐったい。曲が終わって席に戻る。「久美ちゃん、もてるね」「からかわないでください。」「ホテル、行こか?」「うん。」ホテルで脱がされた。部屋の照明を消すと熱帯魚の泳ぐ水槽が青白く光った。水着の跡はとっても白く、とっても卑猥に見えた。エアコンから冷気が勢い良く吹き出す。日に焼けた背中に白いシーツがヒンヤリと冷たい。男はいつもより欲情して、僕を激しく犯した。僕はベッドの上で情熱的な夏の女になって男を何度も逝かせた。






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