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138:皆で。
しおりを挟む待ちに待ったパジャマパーティーの朝、パーティー会場の貴賓室を見回し、不備がないかの確認をします。
「ミラベル様、皆様が来られるのは夕方ですよ?」
朝から張り切っていましたら、リジーに落ち着くように言われてしまいました。
今からやる気満々で動きすぎて、早々に疲れて一人グースカなパターンになるのも嫌なので、ある程度大丈夫だと確認して部屋に戻る事にしました。
夜に備えてお昼寝をたっぷりとして、皆様をお出迎え、案内いたしました。
「まぁ、ここって他国の王族用の貴賓室じゃない」
「ええ、どこかお借りできないかと王妃殿下にお伺いしましたら、ノリノリでここを使いなさい、と仰っていただきました」
「きゃぁ! ベッドが二つ並べてあるわ!」
ベリンダ様が勢い良くベッドにダイブされて、付き添いの侍女に怒られていました。
「さて。取り敢えず、お風呂に入って、パーティーの正装にお着替えしましょう!」
「え、本当に一緒に入る気だったの⁉」
「あ……嫌、でした?」
アシュリー様が心底驚いたような顔をされていたので心配になりましたが、どうやら冗談か何かだと思われていたようです。
こちらの世界では、温泉に『皆で』入る、という習慣は無かったのですが、侍女たちは部屋付きの小さなお風呂より、使用人用の大浴場に入る方が好きだと言う人も多かったので、「一緒に入る」と言ったら、「楽しそうですね」と返って来ていたのでした。
「え、一緒に入るの楽しみにしていたのですが……」
「私もです」
ベリンダ様、ヘレナ様は平気なようでした。
話を聞いてみると、お二人は保養地の浴場で妹だったり、母親とだったり、一緒に入ったことがあり、とても楽しいものだったと言われました。
どうやら、家や家族構成でも色々と違うのかもしれません。
それを聞いたアシュリー様がちょっと恥ずかしそうに「じゃあ、一緒に入るわ」と頬を染めて言ったことで、何故か私たちの鼻息が荒くなってしまいました。
――――やだわ、テオ様じゃあるまいし。
「わっ、ひろぉい!」
「ここのお風呂が一番大きいそうですわ」
体を洗い、全員で湯船に浸かりました。
四人で一度に入ってもまだまだ余裕のある大きさなのです。前世で友達と行った温泉旅行を思い出してとてもウキウキしています。
「…………ミラベル様のお胸、大きすぎません?」
「「思いました!」」
アシュリー様はジットリとこちらを睨んで、ベリンダ様とヘレナ様はニヤニヤと見てきます。
「ちょ、そんなに見ないで下さいよ! 皆様も……」
言い掛けたところで、アシュリー様のお胸に視線が行き、言葉が途切れてしまいました。
「人の胸を見て無言にならないでよ!」
「ブフフッ」
「「あははは!」」
ヘレナ様が我慢しきれずに吹き出して、全員が笑って、チャプチャプと湯船を揺らしました。
その後も、先日のパーティーに参加して下さった方々のドレスや食べっぷりや恋の行方などを話し、大笑いしたり悶えたりして、『皆でお風呂』を堪能しました。
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