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五歳記念パーティ
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一頻り話し合いが終わったのか、ナリスとアルフォードが書斎から出てきた。
「あら旦那様、アルフォード様。もうよろしいのですか?」
「あぁ。イル、良い子にしてたか?」
ユミナに返事を返すと、ナリスは俺を軽々と持ち上げ抱えた。
「えぇ、イルはとても良い子にしてましたよ」
「そうか」
ナリスは俺を見ると優しく微笑んだ。
「おやおや、家族の時間に部外者はお邪魔だな。俺はそろそろ帰るよ」
「分かった、馬車を門に付けよう」
そう言うとナリスは近くにいた使用人に馬車の手配を頼んだ。
恐らくアルフォードの乗ってきた馬車の馬は屋敷内にある厩舎で待機させていたのだろう。
「助かる。そうだユミナ夫人、ラナがまたお茶会に誘いたいと言っていた」
「まぁ!ラナさんが?アルフォードさま、ラナさんに喜んでとお伝えいただけますか」
「必ず伝えておこう」
ユミナはアルフォードの言葉に嬉しそうに声を弾ませていた。
「旦那様、馬車の用意が出来ました」
「そうか、助かった」
報告をした使用人に礼を言うと、玄関の扉を開けた。
「馬車の用意ができたようだ」
「見れば分かるぞ。そういうのは扉を開ける前に言うものだろ?なぜこれ見よがしに扉を開けて馬車を見せつける?」
アルフォードは本日何回目かの苦笑いを浮かべ、ナリスに聞く。
ナリスはその問いには無表情な顔をして答えない。
恐らくナリスはアルフォードがユミナと仲良く話していたのが気に入らなかったんだと思う。
こいつは子どもかっ!
「ったく。まぁ、なんとなく理由は分かるがな。ユミナ夫人、イルくん、また今度。ナリスの機嫌がこれ以上悪化しないように帰るとするよ」
そう言うと馬車の方へ向かい、馬車に乗り込んだ。
♦︎♦︎♦︎♦︎
アルフォードが来てから数日が経った。
今日は五歳の記念パーティが魔王城で行われる。
このパーティには四天王の子であろうと平民の子であろうと絶対参加する義務があり、その家の当主にも参加義務があり、神への感謝を伝えるものだ。
前世ではあまり良い思い出ではないな。
今、俺は俺の世話係のイラリスやユミナの着せ替え人形になっている。
「奥様、こちらはどうでしょう?」
「良いわね。イルの碧髪にはとても映えるわ」
ようやく決まったらしく、イラリスとユミナは満足そうにお互いを見て頷いた。
俺の服は結局、俺の髪色に近い碧色のタキシードに蝶ネクタイの格好になった。
「母上、疲れました」
流石に五歳の体は二人の着せ替え人形になるのは堪える。
眠くなってきた。
「あら、ごめんなさい」
ユミナは俺の頭を撫でながら微笑むと、来るように腕を大きく広げた。
最初はこの行動に恥ずかしさもあったが、今は慣れた。
「少し寝ると良いわ」
ユミナの腕の中で眠りに落ちると、それを確認したようにユミナは俺の頭を軽く撫でて、自分の準備をするためにイラリスに託した。
俺は微睡の中、なんとなくその様子がわかった。
《眠れ、眠れ良い子よ。さすれば我が愛しき魔王が夢に現れん。眠れ、眠れ良い子よ。我が愛しき魔王が去らぬうちに。眠れ、眠れ。魔王は良い子に微笑むだろう。我が愛しき魔王はいつでも側に寄り添う》
イラリスは寝ている俺を抱きながらよく子守唄を歌う。
俺が魔王としていた頃には無かった子守唄だ。
子守唄に出てくる魔王とは一体だろなんだろう。
夢に現れるなら、会ってみたいものだ。
♦︎♦︎♦︎♦︎
「うぅん?」
「あら、起きたわね」
「よく寝ていたな」
次に目を覚ました時には俺はユミナの腕の中で馬車に揺られていた。
寝起きで頭がいまいちスッキリしない。
「今はね、魔王城に向かってるのよ」
寝ぼけている俺を見てクスッと笑いながら目的を教える。
「五歳のお祝いをしに行くの。同じ年頃の子たちがくるから、お友達ができると良いわね」
「いや、きっとイルには沢山の友達が出来る」
ナリスとユミナ、二人とも俺の頭を撫でながら言う。
というかこいつら俺の頭を撫で過ぎじゃないか?
そんなに撫でたら髪セットした意味ないぞ?
「旦那さま、奥様。もう間も無く魔王城に到着いたします」
「分かった」
俺がツッコんでいると、御者が伝えた。
それから暫くして、魔王城の城門に着いた。
イルマークになってからはラズラリー家の屋敷の敷地から出ることが無く、遠くから見えていたのは外見だけだったが、やはり近くで見ても変わっていない。
前世の俺が死んで百年経つというのに全く変わっていない。
よく城門からこっそり城下に行こうとして四天王たちに怒られたな。
魔王がお供も無しに行かないでください、と。
懐かしい。
「イル、大きくて驚いているのか?」
「父上、ヴァロルートさまはどんな方だったんですか?」
正直自分の評価は気になる。
俺の質問にナリスは少し目を見開いた後、目を伏し、少し哀しそうな顔で微笑んだ。
その顔に俺は申し訳ないようななんとも言えない感情になった。
「旦那様もイルもどうなされたの?」
「いや。イル、ヴァロルート様はとても優しく、お強い方だったよ。ただ甘いところがあったが」
「そうねですね。あの方は誰にでも優しかったですね。あの方が今もいてくれたらって、何度も思いますもの」
懐かしむようにナリス、ユミナは言う。
「いまも‥‥‥‥」
言いたい俺が魔王ヴァロルートの生まれかわりだと、言いたいがそれは多分許されないことなんだろう。
「旦那様、到着致しました」
その声と同時に馬車の扉が開き、ナリスが先に降りるとユミナに手を差し出し降りるのを手助けした後、俺を抱っこしておろした。
過保護すぎやしないかな?
俺もう五歳なんだけどなぁ?
いや、ユミナの腕の中やメイドに子守唄を歌われたのは不可抗力だ。
眠かったんだから仕方ない。
「行こうか」
魔王城の城の中に入ると、その内部は俺が住んでいた頃と全く変わらない。
「ここはな父上たち、四天王が五年周期の当番制で管理しているんだ。今はアルフォードが担当している」
ナリスは誇らしげに言う。
「イル、旦那様はねとても凄い方なのよ」
「へぇ」
ユミナが俺に教えてくれるのに興味を持ったように返す。
実際、俺はナリスが凄い方なのを知っている。
四天王というのは魔王の次に権力を持つ。
その存在に魔王として長年関わってきているから恐らく誰よりも知っていると思う。
城内のパーティ会場に入ると、そこは豪華絢爛な内装に飾ってあった。
俺はそこまで派手好きでは無かったからここまで豪華絢爛にすることはなかったから目が眩む。
しかし、俺が魔王だった頃と会場が違う?
なぜ?
通常ならこの五歳の記念パーティは魔王が公式の場で使用する謁見の間で行われるはずだ。
「驚いているのね」
「仕方もない。こんなに豪華なの初めてだろうからな」
ナリスは抱っこしている俺を床に降ろすと、こちらを覗ってくる者たちに軽く会釈した。
先にも行ったように四天王は魔王の次に権力を持つ。
現在、魔王席は空いているため、実質四天王が魔王領の最高権力者ということになる。
入ってくるだけで注目されるのは仕方がない。
四天王を除く貴族たちはある程度、場慣れしているのかナリスが入ってきてもさほど動揺はしていないが、なかなかこういう所に来る機会のない平民たちはナリスの登場に慌てふためいている。
その様子に貴族たちは冷ややかな視線を浴びせる。
四天王の子から平民の子まで全ての五歳児が強制参加となるため、貴族たちは自分たちよりも身分の低い平民がこのような場所に参加することをよく思っていない。
前世の俺は平民、それもただの平民ではなく教会の施設で育った孤児だった。
そのため冷ややかな視線を浴びさせられてこのパーティには良い思い出は全くない。
あの人たちもそんな思い出にしかならないかもしれない。
「これはこれはラズラリー卿。御子息は今年で五歳だったのですね」
「あぁ。嬉しいことに元気に育っている」
声をかけてきたのは恰幅の良い熊種のように頭に少し丸く茶色の耳の生えた男性だった。
「私の娘も五歳とは思えないほど美しく育っていますよ。お互い子どもの成長が楽しみですな」
「そうだな」
ナリスは淡々と言葉を返し会話をするが、相手はどんどんと話を紡ぐ。
直接的には言っていないが、自分の娘売り込んでくる。
こういう時のナリスは冷酷だ。
俺が魔王だった頃一度だけ、妃になる者の選別が行われたがその時の妃候補だった者たちのやり方があまりに強引でナリスはその妃候補に対して途轍もなく冷酷に接していた。
まぁ、妃候補たちによってその選別は大混乱を極めたためそれ以来することは無かったが。
そう言えばこの熊種の人どこかで見たことがある。
服の素材から見るに貴族中でも上位に位置する爵位の者だろう。
熊、熊‥‥‥ん~?
「後日、我が邸宅に」
「そろそろ良いだろうか、ナズラージ卿。他の者にも挨拶をせねばならないかな」
「あぁ、これは気が回らず」
ナリスは熊種のナズラージが誘う言葉を途中で区切った。
ナズラージは顔をひきつりながら笑顔で言った。
あぁ、この人はたぬ、じゃ無かった、熊種のナズラージ伯爵家の当主のアリナト・ナズラージだ。
思い出してくるとなんか色々ムカついてきた。
こいつ、熊というより狸なんだよな。
俺に熊種の分家の娘を何人かを送り込んできたり、俺の平民のための政策を裏で邪魔したり‥‥‥!
俺からすれば、表では良い顔するくせに裏では忠誠心も何もないただの狸に過ぎない。
「イル?どうかしたの?」
俺が怒りに体を震わせていたのか、心配したようにユミナが声をかけてきた。
「大丈夫ですよ、母上。僕も挨拶してきても良いですか?」
ユミナの心配に返事をすると、俺はこのパーティで場違いで孤立している平民の子やその親に挨拶をするためにユミナに聞いた。
「あら旦那様、アルフォード様。もうよろしいのですか?」
「あぁ。イル、良い子にしてたか?」
ユミナに返事を返すと、ナリスは俺を軽々と持ち上げ抱えた。
「えぇ、イルはとても良い子にしてましたよ」
「そうか」
ナリスは俺を見ると優しく微笑んだ。
「おやおや、家族の時間に部外者はお邪魔だな。俺はそろそろ帰るよ」
「分かった、馬車を門に付けよう」
そう言うとナリスは近くにいた使用人に馬車の手配を頼んだ。
恐らくアルフォードの乗ってきた馬車の馬は屋敷内にある厩舎で待機させていたのだろう。
「助かる。そうだユミナ夫人、ラナがまたお茶会に誘いたいと言っていた」
「まぁ!ラナさんが?アルフォードさま、ラナさんに喜んでとお伝えいただけますか」
「必ず伝えておこう」
ユミナはアルフォードの言葉に嬉しそうに声を弾ませていた。
「旦那様、馬車の用意が出来ました」
「そうか、助かった」
報告をした使用人に礼を言うと、玄関の扉を開けた。
「馬車の用意ができたようだ」
「見れば分かるぞ。そういうのは扉を開ける前に言うものだろ?なぜこれ見よがしに扉を開けて馬車を見せつける?」
アルフォードは本日何回目かの苦笑いを浮かべ、ナリスに聞く。
ナリスはその問いには無表情な顔をして答えない。
恐らくナリスはアルフォードがユミナと仲良く話していたのが気に入らなかったんだと思う。
こいつは子どもかっ!
「ったく。まぁ、なんとなく理由は分かるがな。ユミナ夫人、イルくん、また今度。ナリスの機嫌がこれ以上悪化しないように帰るとするよ」
そう言うと馬車の方へ向かい、馬車に乗り込んだ。
♦︎♦︎♦︎♦︎
アルフォードが来てから数日が経った。
今日は五歳の記念パーティが魔王城で行われる。
このパーティには四天王の子であろうと平民の子であろうと絶対参加する義務があり、その家の当主にも参加義務があり、神への感謝を伝えるものだ。
前世ではあまり良い思い出ではないな。
今、俺は俺の世話係のイラリスやユミナの着せ替え人形になっている。
「奥様、こちらはどうでしょう?」
「良いわね。イルの碧髪にはとても映えるわ」
ようやく決まったらしく、イラリスとユミナは満足そうにお互いを見て頷いた。
俺の服は結局、俺の髪色に近い碧色のタキシードに蝶ネクタイの格好になった。
「母上、疲れました」
流石に五歳の体は二人の着せ替え人形になるのは堪える。
眠くなってきた。
「あら、ごめんなさい」
ユミナは俺の頭を撫でながら微笑むと、来るように腕を大きく広げた。
最初はこの行動に恥ずかしさもあったが、今は慣れた。
「少し寝ると良いわ」
ユミナの腕の中で眠りに落ちると、それを確認したようにユミナは俺の頭を軽く撫でて、自分の準備をするためにイラリスに託した。
俺は微睡の中、なんとなくその様子がわかった。
《眠れ、眠れ良い子よ。さすれば我が愛しき魔王が夢に現れん。眠れ、眠れ良い子よ。我が愛しき魔王が去らぬうちに。眠れ、眠れ。魔王は良い子に微笑むだろう。我が愛しき魔王はいつでも側に寄り添う》
イラリスは寝ている俺を抱きながらよく子守唄を歌う。
俺が魔王としていた頃には無かった子守唄だ。
子守唄に出てくる魔王とは一体だろなんだろう。
夢に現れるなら、会ってみたいものだ。
♦︎♦︎♦︎♦︎
「うぅん?」
「あら、起きたわね」
「よく寝ていたな」
次に目を覚ました時には俺はユミナの腕の中で馬車に揺られていた。
寝起きで頭がいまいちスッキリしない。
「今はね、魔王城に向かってるのよ」
寝ぼけている俺を見てクスッと笑いながら目的を教える。
「五歳のお祝いをしに行くの。同じ年頃の子たちがくるから、お友達ができると良いわね」
「いや、きっとイルには沢山の友達が出来る」
ナリスとユミナ、二人とも俺の頭を撫でながら言う。
というかこいつら俺の頭を撫で過ぎじゃないか?
そんなに撫でたら髪セットした意味ないぞ?
「旦那さま、奥様。もう間も無く魔王城に到着いたします」
「分かった」
俺がツッコんでいると、御者が伝えた。
それから暫くして、魔王城の城門に着いた。
イルマークになってからはラズラリー家の屋敷の敷地から出ることが無く、遠くから見えていたのは外見だけだったが、やはり近くで見ても変わっていない。
前世の俺が死んで百年経つというのに全く変わっていない。
よく城門からこっそり城下に行こうとして四天王たちに怒られたな。
魔王がお供も無しに行かないでください、と。
懐かしい。
「イル、大きくて驚いているのか?」
「父上、ヴァロルートさまはどんな方だったんですか?」
正直自分の評価は気になる。
俺の質問にナリスは少し目を見開いた後、目を伏し、少し哀しそうな顔で微笑んだ。
その顔に俺は申し訳ないようななんとも言えない感情になった。
「旦那様もイルもどうなされたの?」
「いや。イル、ヴァロルート様はとても優しく、お強い方だったよ。ただ甘いところがあったが」
「そうねですね。あの方は誰にでも優しかったですね。あの方が今もいてくれたらって、何度も思いますもの」
懐かしむようにナリス、ユミナは言う。
「いまも‥‥‥‥」
言いたい俺が魔王ヴァロルートの生まれかわりだと、言いたいがそれは多分許されないことなんだろう。
「旦那様、到着致しました」
その声と同時に馬車の扉が開き、ナリスが先に降りるとユミナに手を差し出し降りるのを手助けした後、俺を抱っこしておろした。
過保護すぎやしないかな?
俺もう五歳なんだけどなぁ?
いや、ユミナの腕の中やメイドに子守唄を歌われたのは不可抗力だ。
眠かったんだから仕方ない。
「行こうか」
魔王城の城の中に入ると、その内部は俺が住んでいた頃と全く変わらない。
「ここはな父上たち、四天王が五年周期の当番制で管理しているんだ。今はアルフォードが担当している」
ナリスは誇らしげに言う。
「イル、旦那様はねとても凄い方なのよ」
「へぇ」
ユミナが俺に教えてくれるのに興味を持ったように返す。
実際、俺はナリスが凄い方なのを知っている。
四天王というのは魔王の次に権力を持つ。
その存在に魔王として長年関わってきているから恐らく誰よりも知っていると思う。
城内のパーティ会場に入ると、そこは豪華絢爛な内装に飾ってあった。
俺はそこまで派手好きでは無かったからここまで豪華絢爛にすることはなかったから目が眩む。
しかし、俺が魔王だった頃と会場が違う?
なぜ?
通常ならこの五歳の記念パーティは魔王が公式の場で使用する謁見の間で行われるはずだ。
「驚いているのね」
「仕方もない。こんなに豪華なの初めてだろうからな」
ナリスは抱っこしている俺を床に降ろすと、こちらを覗ってくる者たちに軽く会釈した。
先にも行ったように四天王は魔王の次に権力を持つ。
現在、魔王席は空いているため、実質四天王が魔王領の最高権力者ということになる。
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その様子に貴族たちは冷ややかな視線を浴びせる。
四天王の子から平民の子まで全ての五歳児が強制参加となるため、貴族たちは自分たちよりも身分の低い平民がこのような場所に参加することをよく思っていない。
前世の俺は平民、それもただの平民ではなく教会の施設で育った孤児だった。
そのため冷ややかな視線を浴びさせられてこのパーティには良い思い出は全くない。
あの人たちもそんな思い出にしかならないかもしれない。
「これはこれはラズラリー卿。御子息は今年で五歳だったのですね」
「あぁ。嬉しいことに元気に育っている」
声をかけてきたのは恰幅の良い熊種のように頭に少し丸く茶色の耳の生えた男性だった。
「私の娘も五歳とは思えないほど美しく育っていますよ。お互い子どもの成長が楽しみですな」
「そうだな」
ナリスは淡々と言葉を返し会話をするが、相手はどんどんと話を紡ぐ。
直接的には言っていないが、自分の娘売り込んでくる。
こういう時のナリスは冷酷だ。
俺が魔王だった頃一度だけ、妃になる者の選別が行われたがその時の妃候補だった者たちのやり方があまりに強引でナリスはその妃候補に対して途轍もなく冷酷に接していた。
まぁ、妃候補たちによってその選別は大混乱を極めたためそれ以来することは無かったが。
そう言えばこの熊種の人どこかで見たことがある。
服の素材から見るに貴族中でも上位に位置する爵位の者だろう。
熊、熊‥‥‥ん~?
「後日、我が邸宅に」
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「あぁ、これは気が回らず」
ナリスは熊種のナズラージが誘う言葉を途中で区切った。
ナズラージは顔をひきつりながら笑顔で言った。
あぁ、この人はたぬ、じゃ無かった、熊種のナズラージ伯爵家の当主のアリナト・ナズラージだ。
思い出してくるとなんか色々ムカついてきた。
こいつ、熊というより狸なんだよな。
俺に熊種の分家の娘を何人かを送り込んできたり、俺の平民のための政策を裏で邪魔したり‥‥‥!
俺からすれば、表では良い顔するくせに裏では忠誠心も何もないただの狸に過ぎない。
「イル?どうかしたの?」
俺が怒りに体を震わせていたのか、心配したようにユミナが声をかけてきた。
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