能天気男子の受難

いとみ

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しばらくして、ジオードがテオルドを連れて帰ってきた。
テオルドにも抱き締められて、心配かけた事を謝った。しかし…俺よりも背が低くて、美少女並に綺麗な奴に抱き締められて嬉しかったのだが、どこにそんな力があるのかと思うほど凄まじかった。あばら骨が折れそうだった事は内緒だ。
そしてジオードといえば…視線で射ぬかれそうなほど睨んでいた。この兄弟……怖い。

その後は、セレスとエルーシ殿下も、お見舞いに来てくれた。

「こんな所にまで、傷が…。」
セレスは、切なそうに俺の頬に触れるだけ。その手が離れてしまうと、胸に小さな針が刺さったような感覚を覚えた。皆のように、抱き締めてくれるんだと思ってしまった俺は、浅ましい。

「ルシオン、大変だったな。お陰で犯人は捕まえられた。」
エルーシ殿下に言われて、彼を見れば悲しそうな顔をしていた。この方も、心配して下さったんだと理解する。王族が軽々しく謝る事が出来ないのは解っているのだが、エルーシ殿下の表情は謝っているように見えた。
だから俺は逆に、明るく笑える。

「殿下、お見舞いありがとうございます。捕まえられて良かったです。」

「ルシオン、今回は減罰はしないからな。」
セレスに言われて、俺も真面目な顔で頷く。

「ええ、王家に示しが着きません。お任せします。よろしくお願いします。」

「うむ、相容れた。」
エルーシ殿下は、すぐに厳しい顔になる。やっぱり王族なんだと改めて思った。
今回の出来事は、国の保護対象者を拉致し、殺害しようとまでした。そんな奴等を許せば、他の貴族や国民に示しがつかない為、見過ごす訳には出来ない。
俺に媚薬を盛った犯人も捕まったし、結果的に良かったんだと、そう思う事にした。



俺は次の日から、学園に登校していた。
怪我と言っても、寝込むほどでもないし、部屋に居ても暇すぎて耐えられなかったという理由が大きい。
とは言え、顔にもすり傷があったり、手首に包帯が巻かれていれば、何かあったと誰でも思うだろう。

教室に入るなり俺を見た皆は、ざわついていた。
誰も何も言ってこないが、ケンカしていたと言う噂が出回っているらしい。
まぁ、俺はヤンキーみたいな顔してるし、包帯してるし…誰が見てもそう思うよな。

それはしょうがないとしても、その日からテオルド、マクビル、ヒューリまでもが俺の側に常にいた。
学園でも寮でも、1人で行動しようとすれば、必ず誰かが付いてきていた。
さらに、俺の寝室には簡易ベッドが置かれ、テオルド、マクビル、ヒューリ、セレスが交代で泊まりに来ていた。
夜遅くまで喋ったり、カードゲームをしたり、楽しかった。だが、そんな生活が2週間も続くと、1人でいる時間が欲しくなってくるものだ。
1人になれる場所はシャワー室か個室トイレくらいだった。1人になれないのなら、大浴場の大きな風呂に入りたかったが却下されてしまった。

皆、心配してくれているのは解るんだけど、過保護すぎないかな。そもそも、何から守ってくれているのだろうか?
リビアンは大人しくしているようだし、俺に危険が迫っているようにも思えない。

今日も、俺の部屋にはマクビルが泊まりに来ていた。
セレスは忙しそうであまり来れないし、ヒューリが泊まりに来ても朝が弱いから俺が起こしているし、テオルドが来れば、ジオードがベッタリくっついて3人で寝る羽目になるし、なのでマクビルが寝泊まりする事が多かった。

「ふわぁ、マクビル、そろそろ寝るぞ。」
「…なぁ、一緒に寝ても良いか?このベッド、マットが痛いんだよな。」

簡易ベッドだから、普通のベッドより小さくマットが硬い。身体の大きなマクビルなら尚更、辛かっただろう。

「そっか、じゃあ俺がそっちで寝るよ。マクビルは俺のベッド使って。」
そう提案したのだが、マクビルは項垂れてしまった。

「そうじゃなくてだな………お前と一緒のベッドで寝たいんだよ。」

「それだと、狭いんじゃない?マクビルの部屋のベッドより小さいし。」
「あああ、もう!」

マクビルは苛立ったように、俺のベッドに入り込んでくる。そして、俺を押し倒してキスをしてきた。
とっさの出来事で俺は呆気にとられ、されるがままだった。
俺が抵抗しないのを良い事に、舌を入れてきて口内を舐め回され、舌を絡めとられる。

「んっ、んぁ、んん、あっ、はぅ。」
マクビルの口づけは乱暴で、しゃぶりとられそうになり、次第に息が上がり抵抗できないまま、気持ち良くなってくる。
頭がボーッとして、マクビルのキスを受け入れていると、俺の太ももに硬く暖かいものが当たっていた。
舌を、口の中を、舐められる気持ち良さに、俺の股間も疼いて自然と腰が動く。
マクビルが自分の硬くなったモノを、俺の股間に擦り合わせてきた。その間接的な刺激に興奮し、マクビルの首に腕を回し、口の端から唾液が零れるのもかまわず、舌を貪る。

「あっ、はんっ、んっん、んあ、ん。」
熱に浮かされたように今は、気持ち良い事しか考えられなかった。




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