53 / 61
六章
最後のミニゲーム
しおりを挟む
少しして、放送が聞こえてきた。
『今からミニゲームを始めます。参加者はロビーに集まってください』
今度は何をさせられるのだろう……とため息をつきながら、ボクはロビーに向かう。
ロビーには既に全員が集まっていた。アイトがニコニコしながら「集まったね」と告げる。
「今回のミニゲームも簡単だよ!なんて言ったってボクシングだからね!」
ボクシング、と聞いてタカシさんが反応する。
「それなら俺が相手してやるぜ」
「いえ、待ってください」
それを止めたのはスズエさん。彼女はため息をつきながら「……総力戦でいいの?」とアイトに質問していた。
「お、スズエさんも殴りたい感じ?」
「それはあるけどそうじゃない。……どうせロクでもないやつらが出てくるんだろ?」
彼女のため息にアイトは「酷いなー、でも正解!」と笑顔を浮かべる。
彼の後ろから出てきたのは三メートルはあるであろう怪物だった。なるほど……確かにこれは総力戦でいいのか聞きたくなる。
「もちろん、一人で戦わせることはしないよ。何人で戦いたい?」
もはや戦うって言いきってる……と苦笑するけど、アイトはいつもこんな感じだから気にしない。
「どうする?」
タカシさんが困ったように尋ねると、スズエさんは「フウとキナ、ナコは参加させない方がいいでしょうね」と告げる。
「そうだねー、危険だもんね」
「あとは女の人もやめた方がいいだろうな」
ケイさんとミヒロさんもそう言ってマミさん達に子供達を任せる。
「レイとラン、カナクニ先生とレントさんも下がっていた方がいいんじゃないかなー?あんまり多すぎても逆に死にかねないし」
「……そう、ですね。体力に自信があるわけでもないのでそうさせてもらいます」
「シルヤも後ろに下がっていてください。危ないですから」
「分かった。……スズ姉も下がるぞ、危ないからな」
エレンさんの言葉にシルヤ君も頷き、スズエさんの腕を掴んだ。彼女は弟に言われたからか、素直に下がってくれた。
結局、戦うことになったのはボクとエレンさん、ケイさん、ミヒロさん、ゴウさん、タカシさんだ。兄さんはスズエさんの傍に立って守ろうとしていた。
「……シンヤ」
「大丈夫だ、スズエ。あれが終わったら……アイトも、こっちに戻ってくる」
スズエさんが不安そうにしていると兄さんがそう言って安心させていた。操られていなければ、彼もスズエさんのことが大好きだ。だからボクとしても信用出来る。
ボク達が怪物の前に立つと、怪物が殴りかかってきた。避けると拳が地面に埋まる。
「うげぇ……あれに当たったらひとたまりもねぇな……」
タカシさんが顔をしかめながら呟いた。何も考えず殴っているあたり、本当に脳筋である。
「脳筋さん……」
「ちょ、レイさん。言っちゃいけませんって」
それフォローになってないよ、キナちゃん。
そう思ったけど、言える状況じゃない。怪物と対峙していると、ケイさんがよろけてしまった。
「おっと、あぶな」
それを見逃す怪物ではなく、拳を振り上げた。
「危ない!」
エレンさんが駆け寄ろうとするが、間に合いそうにない。どうしよう……っ!と思っていると、スズエさんがケイさんの前に出た。
どうやって来たのか?とか思ったけれどとにかくスズエさんを守らないといけないとボクが一歩踏み出すと同時に拳が振り落とされた。しかし、
「……「停止」」
彼女がそう呟くと、目前で拳が止まった。戸惑っているのか怪物がうなっていると、
「何しているんですか?早く倒さないと」
スズエさんの言葉に正気に戻ったボクは狐火を使って燃やした。
……そういえば、スズエさんはちょっとした言霊だったら使えるんだった。
そのことを思い出しながら。
「おー、すごいね!」
アイトがニコニコしながら近づいてきた。スズエさんはそんな彼の手首をつかみ、
「あとは私が何とかするよ。あいつらは私自身が目的だろうしね」
そう言って、微笑んだ。
『今からミニゲームを始めます。参加者はロビーに集まってください』
今度は何をさせられるのだろう……とため息をつきながら、ボクはロビーに向かう。
ロビーには既に全員が集まっていた。アイトがニコニコしながら「集まったね」と告げる。
「今回のミニゲームも簡単だよ!なんて言ったってボクシングだからね!」
ボクシング、と聞いてタカシさんが反応する。
「それなら俺が相手してやるぜ」
「いえ、待ってください」
それを止めたのはスズエさん。彼女はため息をつきながら「……総力戦でいいの?」とアイトに質問していた。
「お、スズエさんも殴りたい感じ?」
「それはあるけどそうじゃない。……どうせロクでもないやつらが出てくるんだろ?」
彼女のため息にアイトは「酷いなー、でも正解!」と笑顔を浮かべる。
彼の後ろから出てきたのは三メートルはあるであろう怪物だった。なるほど……確かにこれは総力戦でいいのか聞きたくなる。
「もちろん、一人で戦わせることはしないよ。何人で戦いたい?」
もはや戦うって言いきってる……と苦笑するけど、アイトはいつもこんな感じだから気にしない。
「どうする?」
タカシさんが困ったように尋ねると、スズエさんは「フウとキナ、ナコは参加させない方がいいでしょうね」と告げる。
「そうだねー、危険だもんね」
「あとは女の人もやめた方がいいだろうな」
ケイさんとミヒロさんもそう言ってマミさん達に子供達を任せる。
「レイとラン、カナクニ先生とレントさんも下がっていた方がいいんじゃないかなー?あんまり多すぎても逆に死にかねないし」
「……そう、ですね。体力に自信があるわけでもないのでそうさせてもらいます」
「シルヤも後ろに下がっていてください。危ないですから」
「分かった。……スズ姉も下がるぞ、危ないからな」
エレンさんの言葉にシルヤ君も頷き、スズエさんの腕を掴んだ。彼女は弟に言われたからか、素直に下がってくれた。
結局、戦うことになったのはボクとエレンさん、ケイさん、ミヒロさん、ゴウさん、タカシさんだ。兄さんはスズエさんの傍に立って守ろうとしていた。
「……シンヤ」
「大丈夫だ、スズエ。あれが終わったら……アイトも、こっちに戻ってくる」
スズエさんが不安そうにしていると兄さんがそう言って安心させていた。操られていなければ、彼もスズエさんのことが大好きだ。だからボクとしても信用出来る。
ボク達が怪物の前に立つと、怪物が殴りかかってきた。避けると拳が地面に埋まる。
「うげぇ……あれに当たったらひとたまりもねぇな……」
タカシさんが顔をしかめながら呟いた。何も考えず殴っているあたり、本当に脳筋である。
「脳筋さん……」
「ちょ、レイさん。言っちゃいけませんって」
それフォローになってないよ、キナちゃん。
そう思ったけど、言える状況じゃない。怪物と対峙していると、ケイさんがよろけてしまった。
「おっと、あぶな」
それを見逃す怪物ではなく、拳を振り上げた。
「危ない!」
エレンさんが駆け寄ろうとするが、間に合いそうにない。どうしよう……っ!と思っていると、スズエさんがケイさんの前に出た。
どうやって来たのか?とか思ったけれどとにかくスズエさんを守らないといけないとボクが一歩踏み出すと同時に拳が振り落とされた。しかし、
「……「停止」」
彼女がそう呟くと、目前で拳が止まった。戸惑っているのか怪物がうなっていると、
「何しているんですか?早く倒さないと」
スズエさんの言葉に正気に戻ったボクは狐火を使って燃やした。
……そういえば、スズエさんはちょっとした言霊だったら使えるんだった。
そのことを思い出しながら。
「おー、すごいね!」
アイトがニコニコしながら近づいてきた。スズエさんはそんな彼の手首をつかみ、
「あとは私が何とかするよ。あいつらは私自身が目的だろうしね」
そう言って、微笑んだ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
それなりに怖い話。
只野誠
ホラー
これは創作です。
実際に起きた出来事はございません。創作です。事実ではございません。創作です創作です創作です。
本当に、実際に起きた話ではございません。
なので、安心して読むことができます。
オムニバス形式なので、どの章から読んでも問題ありません。
不定期に章を追加していきます。
2025/12/15:『ちいさなむし』の章を追加。2025/12/22の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/14:『さむいしゃわー』の章を追加。2025/12/21の朝8時頃より公開開始予定。
2025/12/13:『ものおと』の章を追加。2025/12/20の朝8時頃より公開開始予定。
2025/12/12:『つえ』の章を追加。2025/12/19の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/11:『にく』の章を追加。2025/12/18の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/10:『うでどけい』の章を追加。2025/12/17の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/9:『ひかるかお』の章を追加。2025/12/16の朝4時頃より公開開始予定。
※こちらの作品は、小説家になろう、カクヨム、アルファポリスで同時に掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる