DEATHGAME~裏切りと信念の姫~

ひいらぎななみ

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六章

最後のミニゲーム

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 少しして、放送が聞こえてきた。
『今からミニゲームを始めます。参加者はロビーに集まってください』
 今度は何をさせられるのだろう……とため息をつきながら、ボクはロビーに向かう。
 ロビーには既に全員が集まっていた。アイトがニコニコしながら「集まったね」と告げる。
「今回のミニゲームも簡単だよ!なんて言ったってボクシングだからね!」
 ボクシング、と聞いてタカシさんが反応する。
「それなら俺が相手してやるぜ」
「いえ、待ってください」
 それを止めたのはスズエさん。彼女はため息をつきながら「……総力戦でいいの?」とアイトに質問していた。
「お、スズエさんも殴りたい感じ?」
「それはあるけどそうじゃない。……どうせロクでもないやつらが出てくるんだろ?」
 彼女のため息にアイトは「酷いなー、でも正解!」と笑顔を浮かべる。
 彼の後ろから出てきたのは三メートルはあるであろう怪物だった。なるほど……確かにこれは総力戦でいいのか聞きたくなる。
「もちろん、一人で戦わせることはしないよ。何人で戦いたい?」
 もはや戦うって言いきってる……と苦笑するけど、アイトはいつもこんな感じだから気にしない。
「どうする?」
 タカシさんが困ったように尋ねると、スズエさんは「フウとキナ、ナコは参加させない方がいいでしょうね」と告げる。
「そうだねー、危険だもんね」
「あとは女の人もやめた方がいいだろうな」
 ケイさんとミヒロさんもそう言ってマミさん達に子供達を任せる。
「レイとラン、カナクニ先生とレントさんも下がっていた方がいいんじゃないかなー?あんまり多すぎても逆に死にかねないし」
「……そう、ですね。体力に自信があるわけでもないのでそうさせてもらいます」
「シルヤも後ろに下がっていてください。危ないですから」
「分かった。……スズ姉も下がるぞ、危ないからな」
 エレンさんの言葉にシルヤ君も頷き、スズエさんの腕を掴んだ。彼女は弟に言われたからか、素直に下がってくれた。
 結局、戦うことになったのはボクとエレンさん、ケイさん、ミヒロさん、ゴウさん、タカシさんだ。兄さんはスズエさんの傍に立って守ろうとしていた。
「……シンヤ」
「大丈夫だ、スズエ。あれが終わったら……アイトも、こっちに戻ってくる」
 スズエさんが不安そうにしていると兄さんがそう言って安心させていた。操られていなければ、彼もスズエさんのことが大好きだ。だからボクとしても信用出来る。
 ボク達が怪物の前に立つと、怪物が殴りかかってきた。避けると拳が地面に埋まる。
「うげぇ……あれに当たったらひとたまりもねぇな……」
 タカシさんが顔をしかめながら呟いた。何も考えず殴っているあたり、本当に脳筋である。
「脳筋さん……」
「ちょ、レイさん。言っちゃいけませんって」
 それフォローになってないよ、キナちゃん。
 そう思ったけど、言える状況じゃない。怪物と対峙していると、ケイさんがよろけてしまった。
「おっと、あぶな」
 それを見逃す怪物ではなく、拳を振り上げた。
「危ない!」
 エレンさんが駆け寄ろうとするが、間に合いそうにない。どうしよう……っ!と思っていると、スズエさんがケイさんの前に出た。
 どうやって来たのか?とか思ったけれどとにかくスズエさんを守らないといけないとボクが一歩踏み出すと同時に拳が振り落とされた。しかし、
「……「停止」」
 彼女がそう呟くと、目前で拳が止まった。戸惑っているのか怪物がうなっていると、
「何しているんですか?早く倒さないと」
 スズエさんの言葉に正気に戻ったボクは狐火を使って燃やした。
 ……そういえば、スズエさんはちょっとした言霊だったら使えるんだった。
 そのことを思い出しながら。
「おー、すごいね!」
 アイトがニコニコしながら近づいてきた。スズエさんはそんな彼の手首をつかみ、
「あとは私が何とかするよ。あいつらは私自身が目的だろうしね」
 そう言って、微笑んだ。
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