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第二百八十五話 最終話

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 サイリールとファニアが付き合い初めてから2年後、サーシャに第一子が生まれた頃に、サイリールとファニアは盛大な結婚式を挙げた。
 皇帝の結婚式だったので、それはそれは豪華で見事な式だった。
 式は5日かけて行われ、国をあげてのお祝いとなった。

 二人が挙式を終えた翌年には、二人の初めての第一子である男の子が生まれた。
 第一子でもある皇子が生まれた日も国は盛大な祝いを行った。

 第一皇子が1歳になったとき、ファニアは20歳を迎え、体を作り替えて人間ではなくなった。
 もちろんファニアの人間であったときの肉体はリューベックの屋敷の地下で少年のアソートたちと並んで眠っている。

 彼らの第一子である皇子は、皇帝の跡継ぎではなく、ヴェーゼルの領主を望んだ。
 サイリールはそれを否定せず、彼にヴェーゼルの領主を任せた。

 しかし、その後に生まれた子たちみんなが、誰も皇帝を望まなかった。
 サイリールはその為、跡を継ぐ子が現れるまで、800年程皇帝としてヴェルデン帝国を治める事になる。

 そしてアソートたちも、生まれた子はみんな、跡継ぎ以外を望み、跡を継ぐ子が現れるまでフィアセンの領主を400年続ける事になった。
 二人はたびたび城下に下りては民の声を聞くので、領主を子に譲るまでの400年、本当に民に愛された。

 サイリールもアソートも、跡継ぎを強要する気もなかったし、別に苦でもなかったので、基本的に子の自由にさせていたのだ。


 そしてライナーであるが、彼は結局50歳近くまでレムリア大陸でハンターを続けた。
 その後はサイリールが25歳の時のライナーの肉体を記録していたので、その体に作り替えてもらい、人間ではなくなった。
 ジルヴィアとの間にはその後何度も子を授かり、親ばかと言えるほど子供たちを愛し、可愛がっていた。
 それでもやはり戦闘が好きなようで、子供が巣立つとジルヴィアや、時折サイリールやアソートを誘って100階層のダンジョンに挑んだりしている。


 ヴァルター、ユッテ、そしてゲルトとベティーナは永遠を選ばず、年をとり、子や孫、そしてライナーたちやサイリールたちに囲まれて見送られた。
 彼らはみんな一言、幸せだったと言葉を残している。

 そしてセイたち、セイは息子たちからの永遠を生きるべきだという説得を受け、悩みに悩んだ結果、この国をまだもう少し見届けたくて永遠を選んだ。
 息子たちから説得される程、セイはこの国にかなり貢献しており、まだまだ構想があったのだ。
 そんなセイを一人置いて行きたくなかったイーナが同じく永遠を選んだ。

 しかし、セイたち以外の最初の子供たちはみんな永遠を選ばなかった。
 彼らの最期の時、サイリールたちは悲しくてとても辛かった。
 それでもサイリールたちの必死の笑顔に見送られ、彼らは幸せそうな笑顔で旅立った。

 見送るのはとても辛く胸が痛いが、それでもみんな最期は笑顔を浮かべてくれた。
 だからサイリールたちも彼らを笑顔で見送る。
 笑顔で見送ったら、後は存分に泣けばいいのだから。


 そうして、彼らの永遠は続いて行く。

 共に永遠を歩んでくれる愛しい人が、友人がいるから。
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