僕らの青

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第3章:きらめきの青

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「……ほんとに、来たんだ」

 思わず口から零れた呟きを、涼が拾う。
 
「マジで来てんじゃん! すげぇ、映画かよ!」

 涼の声に気づいた玲央が、こちらを見て微笑む。
 片手を軽く上げて、まるで舞台の幕が上がるような仕草で手を振った。
 その一挙一動が、いつもよりも少しだけ柔らかい。

「行かないん?」
「う、うるさい」

 涼の茶化す声を背に、颯真は一歩を踏み出した。制服の裾を風が揺らす。
 たった数メートルの距離が、やけに遠く感じられる。

 玲央の隣に立つと、彼はいつもの飄々とした笑みを浮かべた。

「テスト、お疲れさま」
「……なんで、知ってるんですか」
「だって、待ってたから」

 その一言が、軽く胸を突く。
 からかうでもなく、まっすぐに言われた“待ってた”という言葉。
 心臓が、一拍遅れて跳ねた。

「……それにしても、颯真って真面目だね」
「……?」
「テスト明けくらい、もうちょっと気を抜いていいのに」

 玲央は笑いながら、街の方へと歩き出す。その背中を見て、颯真は自然と足を動かした。横に並ぶと、玲央の香水の匂いがふわりと漂う。

「ねえ、散歩でもしない? 学校の近く、案外いいカフェあるんだ」
「……またお茶ですか」
「いいじゃない。前回は俺の奢りだったし、今回は颯真の番ね」
「えっ」

 驚く颯真を見て、玲央が声を立てて笑った。
 その笑いが、夕暮れの空気をやさしく弾ませる。

「冗談だよ。今日はね、ただ歩きたくて来た」
「歩く、ために?」
「そう。――颯真と」

 不意に言葉を継がれて、颯真は息を呑む。
 玲央は振り返らず、淡く笑ったまま歩き続けた。
 街灯の青白い光が、彼の銀髪をやわらかく照らしている。

 “普通の放課後じゃない”――その実感が、ゆっくりと胸に広がっていった。
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