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第5章:眩い青
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しおりを挟む次の花火が夜空を照らす。
その青白い光が、ふたりの距離をほんの少しだけ近づけた。
世界の輪郭が、青の中に溶けていった。
胸の奥で、何かが弾けた気がした。
音も、光も、もう聞こえない。
ただ、隣にいる玲央の笑顔だけが、世界のすべてだった。
――また、青が咲いた。
◇ ◇ ◇
花火が終わったあとも、夜空はまだ明るかった。
遠くの余韻のように、煙の向こうで小さな光が瞬いている。
屋台の提灯が一つずつ消えていき、祭りのざわめきが静まっていく。
「帰ろっか」
玲央の声は、花火よりずっと穏やかで柔らかかった。
人混みを抜けて歩道へ出ると、夜風が火薬の匂いを運んでくる。
群青の空に、白い月がにじんでいた。
「そういえば、涼くんと連絡取れた?」
「ああ、うん。玲央さんといるって言ったら、変なスタンプ送られてきました」
「あはは、どんなの?見せて」
颯真は、スマホを開いて玲央に画面を見せる。
そこには、熱血そうなゆるキャラが〈がんばれ!〉とエールを送るスタンプ。
「ふは、本当に変」
「なにが頑張れだよ、まったく」
ぼやく颯真の横で、玲央は喉を鳴らして笑う。
「楽しかった?」
「……はい。たぶん、今年で一番」
「それはよかった」
そう言って、玲央が小さく笑う。
その横顔が、月明かりに照らされて光っていた。
「でも、疲れたでしょ。足、もう平気?」
「だいぶ。……たぶん、もう走れます」
「走るなよ。治りかけが一番危ない」
「……はい」
ふと、ふたりの影がアスファルトに並んだ。
街灯の青白い光が、まるで波のようにその輪郭を揺らしている。
玲央の影が少し伸びて、颯真の影と重なった。
胸の奥で、何かがきゅっと鳴った。
「……玲央さん」
「ん?」
「今日、会えて嬉しかった……ありがとうございます」
「ん、こちらこそ」
言葉はそれだけ。
なのに、空気の温度が少し上がった気がした。
帰りの車内は静かだった。
会話はないけれど、不思議と寂しくなかった。
夜風が頬を撫で、遠くで虫の声が響く。
世界がゆっくりと息をしているようだった。
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