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第6章:曇る青
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しおりを挟む沈黙。
玲央の表情から、感情が消えた。
「……そうかもね」
その声は、まるで自分自身を責めるようだった。
悠真が息を呑む。
玲央は短く笑って、一歩後ろに下がった。
「じゃあ、俺はもう帰るよ」
それだけ言って、振り返らずに歩き出した。
その瞬間、光の色が変わった。
雲が厚くなり、夕陽が翳る。
ドアの隙間から、その背中がゆっくりと遠ざかっていく。
「玲央さん!」
思わず呼び止めた。
でも、彼は振り返らなかった。
――その背中が、やけに寂しく見えた。
家の中に残された空気が、重く沈む。
悠真は何も言わず、ただ玄関を閉めた。
◇
玲央の背中が見えなくなったあと、
玄関の外に残った風が、まだ彼の匂いを運んでいた。
颯真はしばらくその場から動けなかった。
頭の奥で、さっきの言葉が何度も反響する。
――舞台を壊す気か。
――裏切る人間だ。
胸の奥に冷たいものが沈み、
世界の色がゆっくりと薄れていく。
やがて、静かにドアが閉まる音がした。
◇ ◇ ◇
夜の空気は少し冷たくなっていた。
時計の秒針が静かに部屋を刻む。
悠真が、ため息をひとつつく。
その音が、やけに大きく聞こえた。
「……驚かせたね」
ようやく口を開いた悠真の声は、穏やかだった。
けれど、その穏やかさの下に、硬い何かが隠れている。
「玲央さんと……知り合いなの」
颯真は、思わず問いかけていた。
悠真は短くうなずく。
「昔ね。高校のときからの仲だよ。
同い年で、演劇部に一緒にいた」
「演劇部……?」
意外な言葉に、息を呑む。
あの玲央が――舞台に立っていた?
「玲央は、すごく目立つ人だった。
台詞をひとつ言うだけで、空気が変わる。
でも、それと同じくらい……危うかった」
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