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異世界勇者、世界を守る
閑話、しんごのわくわくまほうけんきゅうみすい
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「えーと、植物を急速に伸ばすのなら時間を進めるのが一番手っ取り早いけど、それに指向性を持たせるとなると……」
あ、どうも信吾です。今は学校の図書館で本を読みながら、魔法の研究を行っています。
こんなところでそんなことしてマズく無いか、という疑問には「そもそも結構な人数の学生が、一応に魔法の研究に勤しんでいる」とお答えしましょう。
そりゃあそうですよね。現実に魔法生物がたくさん出てくるようになって、それを狩るシモンさん(もっとも、顔を隠して活動しているので仮面のヒーローと呼ばれるのが一般的)がいるんですから。自分もやりたいと思うのは、一般中学生として至極当然の結果だと思いますよ。
「おー信吾、ここにいたか」
ツバサ君が僕を見つけて声をかけてきました。ぼくちょっと忙しいんですけど何かあったんでしょうか。
「ちょっと話があるんだけどさ、ここだとなんだから、ちょっとついてきてくれ」
おや珍しい。ツバサくんがそんなことを言ってくるなんて。いつもならどんなことでもその場で色んなことを話してくれるのに。
「それじゃあ、ちょっと待ってくださいね?」
図書館で引っ張り出してきた理科と科学の本を棚に戻しつつ、ツバサ君についていきます。
「校舎裏に呼び出しとはまた、べたですねぇ」
「人がいない場所っていったら、ここしかないだろ?」
肩を竦めるツバサくん。まぁ、枯草に覆われていますし、そもそもここに来たいと思っている人間もそうそういませんからね。
「あの仮面のヒーロー、デザインしたの信吾だろ」
おっ……とぉ、まさかの指摘ですねぇ。
「そんなことないですって。そもそもぼくとあの人で、何の接点があるっていうんですか」
「前に見せてきてくれたノート、色んなデザインとかあってかっこよかったのを覚えていてさ。その中にあの仮面のデザインがあったなって」
どんな記憶力ですか。そしてよく覚えていましたねぇ。
「記憶違いでは?」
もっとしらを切り通そう。それだけでなんとかなるでしょう。
「そもそもお前あのデザイン気に入りすぎて何回か俺に見せてきてたじゃん。二か月前も見せてきたし。あの後だよな?仮面のヒーローが出てきたの」
あー、そういえばね。そうでしたね。そうでしたそうでした。
「認めますよ。ぼくが下手人です。でも!でもですよ?あの中身はぼくじゃあないですから。ぼくはただデザインの提供をしただけですから」
「やっぱりかぁ!見た感じ信吾よりだいぶデカいもんな!俺も信吾じゃないだろって言ってて「ちょっと待ってくださいね?」ん?」
あれ?その口ぶりからすると、ぼくが関わっていること広まってません?
「えーと、誰との会話の中で出てきたんですか?そしてなんでぼくのデザインだってその人は知っているんですか?」
「ん?だってお前キヨコに見せてたろ?あのデザインノート」
そっかぁ、見せてましたキヨコちゃんに。じゃない
「あの、このことって誰かに喋ったりとかしてます?」
「しねぇよ流石に。背負うものが大きすぎるし、信吾に対して迷惑がかかるからな」
持つべきものは良識ある友ですね……
「ただ、キヨコは相当口軽いからな、俺も口止めはしたが、それで止まるかどうか……」
た、確かに。キヨコちゃんの手に掛かればどんな話も尾ひれ背びれ胸鰭びれに腹びれまでついてとんでもない話になって放流されますからね。
「ちょっと、お話合いしてきますね!!」
「おう、頑張れよー!」
「あ!信吾ー!ちょっと聞いてよぉー!」
やっと見つけた。キヨコちゃんに口止めをお願いしようとしたら、先手を打つように話しかけられた。
「せっかく信吾のかっこいいところをみんなに広めようとしたらさ、みんな信吾なわけないっていうんだよー!」
よ、よかったー!キヨコちゃんの盛り癖が功を奏し、だれも信じてくれなかったみたいですねぇ!
「どんな噂を話そうとしたんですか」
一応ね、ぼくとしてもどんな噂を流そうとしたのかとかね、気になるので。
「えー?私もまた聞きの話だけどさ、信吾がこの前の山に出たでっかいのを、仮面の人と一緒に倒したって話」
んんんんんんんんんんんんんんんん??????
「後学の為に聞いておきたいんですけど、誰から聞きました?その噂」
「キタおばさん」
あ、あ、あ、あの人は何考えているんですかぁぁぁぁ!!!!????
「私としてはさ?信吾が仮面の人説を押したいんだけどさぁ、おばさんが嘘つくっていうのも考えづらいし?やっぱそうなのかなぁって」
「逆にぼくとキヨコちゃんのおばさんに接点があるんですかね?」
「おばさんが知り合いだった―って。そうでしょ?」
「いや、それはそうなんですけど……」
これはね、後で説教です。なんでこう、秘匿を暴いちゃうんですかね?
あ、どうも信吾です。今は学校の図書館で本を読みながら、魔法の研究を行っています。
こんなところでそんなことしてマズく無いか、という疑問には「そもそも結構な人数の学生が、一応に魔法の研究に勤しんでいる」とお答えしましょう。
そりゃあそうですよね。現実に魔法生物がたくさん出てくるようになって、それを狩るシモンさん(もっとも、顔を隠して活動しているので仮面のヒーローと呼ばれるのが一般的)がいるんですから。自分もやりたいと思うのは、一般中学生として至極当然の結果だと思いますよ。
「おー信吾、ここにいたか」
ツバサ君が僕を見つけて声をかけてきました。ぼくちょっと忙しいんですけど何かあったんでしょうか。
「ちょっと話があるんだけどさ、ここだとなんだから、ちょっとついてきてくれ」
おや珍しい。ツバサくんがそんなことを言ってくるなんて。いつもならどんなことでもその場で色んなことを話してくれるのに。
「それじゃあ、ちょっと待ってくださいね?」
図書館で引っ張り出してきた理科と科学の本を棚に戻しつつ、ツバサ君についていきます。
「校舎裏に呼び出しとはまた、べたですねぇ」
「人がいない場所っていったら、ここしかないだろ?」
肩を竦めるツバサくん。まぁ、枯草に覆われていますし、そもそもここに来たいと思っている人間もそうそういませんからね。
「あの仮面のヒーロー、デザインしたの信吾だろ」
おっ……とぉ、まさかの指摘ですねぇ。
「そんなことないですって。そもそもぼくとあの人で、何の接点があるっていうんですか」
「前に見せてきてくれたノート、色んなデザインとかあってかっこよかったのを覚えていてさ。その中にあの仮面のデザインがあったなって」
どんな記憶力ですか。そしてよく覚えていましたねぇ。
「記憶違いでは?」
もっとしらを切り通そう。それだけでなんとかなるでしょう。
「そもそもお前あのデザイン気に入りすぎて何回か俺に見せてきてたじゃん。二か月前も見せてきたし。あの後だよな?仮面のヒーローが出てきたの」
あー、そういえばね。そうでしたね。そうでしたそうでした。
「認めますよ。ぼくが下手人です。でも!でもですよ?あの中身はぼくじゃあないですから。ぼくはただデザインの提供をしただけですから」
「やっぱりかぁ!見た感じ信吾よりだいぶデカいもんな!俺も信吾じゃないだろって言ってて「ちょっと待ってくださいね?」ん?」
あれ?その口ぶりからすると、ぼくが関わっていること広まってません?
「えーと、誰との会話の中で出てきたんですか?そしてなんでぼくのデザインだってその人は知っているんですか?」
「ん?だってお前キヨコに見せてたろ?あのデザインノート」
そっかぁ、見せてましたキヨコちゃんに。じゃない
「あの、このことって誰かに喋ったりとかしてます?」
「しねぇよ流石に。背負うものが大きすぎるし、信吾に対して迷惑がかかるからな」
持つべきものは良識ある友ですね……
「ただ、キヨコは相当口軽いからな、俺も口止めはしたが、それで止まるかどうか……」
た、確かに。キヨコちゃんの手に掛かればどんな話も尾ひれ背びれ胸鰭びれに腹びれまでついてとんでもない話になって放流されますからね。
「ちょっと、お話合いしてきますね!!」
「おう、頑張れよー!」
「あ!信吾ー!ちょっと聞いてよぉー!」
やっと見つけた。キヨコちゃんに口止めをお願いしようとしたら、先手を打つように話しかけられた。
「せっかく信吾のかっこいいところをみんなに広めようとしたらさ、みんな信吾なわけないっていうんだよー!」
よ、よかったー!キヨコちゃんの盛り癖が功を奏し、だれも信じてくれなかったみたいですねぇ!
「どんな噂を話そうとしたんですか」
一応ね、ぼくとしてもどんな噂を流そうとしたのかとかね、気になるので。
「えー?私もまた聞きの話だけどさ、信吾がこの前の山に出たでっかいのを、仮面の人と一緒に倒したって話」
んんんんんんんんんんんんんんんん??????
「後学の為に聞いておきたいんですけど、誰から聞きました?その噂」
「キタおばさん」
あ、あ、あ、あの人は何考えているんですかぁぁぁぁ!!!!????
「私としてはさ?信吾が仮面の人説を押したいんだけどさぁ、おばさんが嘘つくっていうのも考えづらいし?やっぱそうなのかなぁって」
「逆にぼくとキヨコちゃんのおばさんに接点があるんですかね?」
「おばさんが知り合いだった―って。そうでしょ?」
「いや、それはそうなんですけど……」
これはね、後で説教です。なんでこう、秘匿を暴いちゃうんですかね?
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