冬の窓辺に鳥は囀り

ぱんちゃん

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トゥルネイ決勝戦 裏話

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58.決勝戦~とtapestries.僕とロセウスを読んでからの方が、たぶん面白いかと。
全体を俯瞰した私視点で書いているので、後書き口調ですみません。
楽しんでもらえたら嬉しいです。

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トゥルネイ決勝戦 戦況



まず、ランバードVSテオ、オルゾ組
ランバードさんはずーっと楽しんで戦ってましたが、テオは本気の本気で向かって行っているのでもの凄く太刀筋が早すぎてオルゾはその間に入っていけません。隙があるかどうかも判断できず、テオの剣筋を目で追えても、その呼吸に合わせて自分の剣を振るえる気がしなかった。自身の技量の低さを嫌というほど思い知らされています。
途中テオが吹っ飛ばされて初めて突入。オルゾが吹っ飛ばされてテオが突入という感じで、試合時間いっぱい稽古をつけてもらっていた感じです。
ランバードさんもわりと意地が悪いので、それぞれの癖を見つけて二人にとって受けたくない攻撃ばかりを仕掛けてくるので、二人は終始イライラしながらもなんとか打開しようと四苦八苦。けれど一朝一夕にはいかないまま試合終了。同時に二人ともぶっ倒れました。

「ずっと立ち上がってきて偉かったな!」

余裕な感じを全然隠そうともせず、ハハハ!と笑いながら二人を労いました。
テオもオルゾも悔しいとか負けたくないとかの気すら起きないままただただ人外の強さに圧倒されていて、これが実質王国最強か、と。そして歴戦の騎士たちの武勇伝収集家でもあるフォルティスから戦時中のもっとエグイ話を聞かされていたので、実感を伴って「平和って大事」ってしみじみ思いました。

この試合はセレス側の向かい側の客席付近でやっていたので、そこの観客は勝敗と目の前とどっちを見たらいいか迷った人が沢山いたことでしょう。バトルジャンキー好みはランバード、勝敗重視はフォルティスって感じで別れたと思います。
そして変に殺気に敏感な人はイーサン達を観ていました。エレインみたいに色が視えていなくても、イーサンが黒くなった瞬間は会場のわかる人たちはザワつきました。ヒィエェーー!!って内心叫んでイチモツも縮み上がりました。

ネイトはエドモンドという名前しか出てこなかった古参兵と切り結んでいましたが、タジルが飛んでくるちょっと前に決着がついていました。
ネイトの手が空いたのを自陣から観ていたレイモンド副長が、

「おーい、タジルー。」

「おまえ、ちょっとネイトのところまで飛べよ。あそこまで投げるから後ろから助走付けて走ってこい。」

とふっつーの顔で言うので、タジルは内心『え。この人マジで言ってんの!?マジだよねそうだよね知ってる知ってた。』って諦めて飛ぶことに。タジルの天啓は風の加護持ちなので常に風が身体を巡っている状態。体重の割には軽いのですが、それでもレイモンドはネイトの2倍の距離をタジル投げしていて、

「おー。いい感じに飛んだなー。」

と、手でひさしを作って満足げ。試合開始と同時に特攻を仕掛けてきたカッシオをしれっと戦闘不能にしたクオンさんが隣に居て、同じように眺めながら

「加護持ちは良く飛びますねー。」
「気持ちいいなー。(投げ甲斐があるなー的な)」
「今度どのくらい飛距離が伸ばせるかやってみましょうよ。」
「お!でもあいつ身体強化いまいちだから加速力ないんだよな。」
「じゃぁ(風を)付与してもらって全員で飛びますかね。」
「投げ飛ばす俺の手が死ぬわ。」
「ランバードさんにやってもらいましょうよ。」
「なにおまえわくわく顔じゃん(笑)やる気満々じゃん(笑)」
「演習場じゃ距離がないから南北大路でやりましょうよ。」
「おいそれ宰相に見つかったら怒られるやつだろ(笑)」

って感じで自陣はすっかり四団の通常運行になっていました。

さてさて、投げ飛ばされたタジルはといえば、「ネイトさーーん!!」て呼びかけた時はかなり必死な感じでした。降りても自力で走ればいいだけでしたが、混乱していて『なにもうバカなのーー!?』って気持ちとネイトへの不本意ながらの絶対的な信頼があってのヘルプ要請でした。
ネイトは飛んできたタジルをみてレイモンドの意志を瞬時に理解。

「いってこーーい!(お前も戦闘楽しんでこーーい!)」

とタジルを投げ飛ばしたあと直ぐにイーサンからやばい感じがしたので全力で走りました。
ちなみにですが、イーサンが黒くなるころにはアレックスさんは脳内イっちゃってて、もしかしたら射精もしちゃってたかもしれないような興奮状態だったので防御する間もなく全力の蹴りを入れられてしまいました。アレックスはある意味力んでいなかったので衝撃を多少流せていましたが、それでも内臓と肋骨に重度の損傷。「おまえがやりすぎだろがっっ!!」って怒鳴っていた治癒師は討伐追従部隊の中隊長クラスのヒーラーだったので速攻重症だと見抜いてアレックスに向かって駆けました。
アレックスさんはそのあとちゃんと目覚めて、後遺症なし。でも気付いた時には試合はすっかり終わっていたので「あぁーーー」って感じで試合に負けたサッカー選手のように寝そべりました。でも内心は勝敗よりも『あああああああさいこうだったーーーー』くらいの感じだったと思います。クレイジー。


閉会後は騎士舎にある食堂で酒宴になりました。ランバードさんは惜しげもなく皆に奢ってくれたので他団の人達と一緒に宴会です。ネイトとイーサンはいつの間にか消えてしまい、アレックスさんは元々不参加で、後から遅れてやってきたフォルティスに祝杯がいくつも手渡されました。四団の中隊長も駆け込んできて勢いでフォルティスにハグ。

「よくやった!!!」

と満面の笑顔で背中をバシバシ叩いて5樽分くらいのお金をカウンターに支払って帰っていきました。
ランバードさんは上からの圧力があった時に飲み代を駆け引きに使ったので自分の懐は痛んでいません。むしろ自分も思う存分飲んだろーって感じでしたが、満足する前に食堂のお酒が底をついてしまいました。途中王城の食堂からお酒が何樽も運ばれてきていましたが間に合わなかったようです。



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