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柿崎景家
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「いつ迄も見合っておってもつまらぬ」
景虎がそう言うと、何を言い出すのだろうと、実乃が目を見開く。
「ここはこちらから仕掛けよう」
おおっ、と家臣の一部から、声が漏れる。
家臣らを見廻し、北条丹後守高広に目を止める。
「丹後、お主も来い」
ニヤリと微笑み、承知、と高広が立ち上がる。
すると、お待ちを、と村上義清が声を上げる。
「打って出るなら、それがしにお任せを」
義清にすれば、これはあくまで自分と武田との戦さ。
越後勢はあくまで援軍なのだ。
しかし、いや、と景虎は義清を制す。
「わしと丹後は武田大膳(晴信)に、借りがある」
そうだろう?と景虎が高広に言うと、かっかっかっ、と高広は笑う、その通りでござる、と答える。
「だからここはわしらに行かせてもらう」
「・・・・・ですが・・・」
義清は納得できず、食い下がろうとする。
「我らは武田をよう知らぬ」
景虎は続ける。
「打って出て、少し武田を知りたい」
だからここは我らに譲れ、と景虎は、義清を見る。
「・・・・・・」
それでも納得できずに、義清は黙って景虎を見つめる。
仕方ないな、と景虎は苦笑する。
「少し戦ったら引くゆえ、村上どのは後ろに控えていてくだされ」
「はぁ・・・・・」
「敵が追って来れば、そこを叩いて頂きたい」
「・・・・・承知した」
ようやく義清は折れて、頷く。
「和泉守」
景虎は続いて、柿崎和泉守景家を呼ぶ。
「ここはお主に任す」
「・・・・承知」
静かに景家は答える。
柿崎景家は顎が張り、肩幅が広く、骨太な武者だ。
陽気で多弁な北条高広と対照的に、寡黙な男だ。
そして皆が認める、越後一の武将である。
守れば冷静沈着で決して崩れず、攻めれば勇猛果敢で敵を打ち破る。
本陣を任せにるしても、先鋒を命じるにしても、武将として景虎が最も信頼する将だ。
もし景虎が武田晴信なら、景家を狙う。
無口な景家は、何を考えているのか分からない。
そう言う意味で、信用はできない。
柿崎景家は、景虎にとって、信頼できるが信用できない男だ。
本陣を任せるのは危うい。
本庄実乃も、眉を寄せて景虎の方を見る。
止めろと言いたいのだろう。
それでも敢えて、景虎は景家に任せる。
信用できるわけでは無いが、それでもここは任せる。
それが大将の務めだ。
何かあるかもしれないと、疑い心配するのが、家臣である実乃仕事なら、決断するのが大将である景虎の仕事だ。
大将に必要なのは、あれこれ悩む知力では無い。
こうだと決める胆力だ。
腹を据えて決断できる大将が、優れた大将なのだ。
「では、いくぞ丹後」
景虎が声をかけると、おおっ、と高広が応じる。
少し離れたところで、安田景元が顔を顰めていた。
それを目の端で捕らえながら、景虎は歩き出す。
景虎がそう言うと、何を言い出すのだろうと、実乃が目を見開く。
「ここはこちらから仕掛けよう」
おおっ、と家臣の一部から、声が漏れる。
家臣らを見廻し、北条丹後守高広に目を止める。
「丹後、お主も来い」
ニヤリと微笑み、承知、と高広が立ち上がる。
すると、お待ちを、と村上義清が声を上げる。
「打って出るなら、それがしにお任せを」
義清にすれば、これはあくまで自分と武田との戦さ。
越後勢はあくまで援軍なのだ。
しかし、いや、と景虎は義清を制す。
「わしと丹後は武田大膳(晴信)に、借りがある」
そうだろう?と景虎が高広に言うと、かっかっかっ、と高広は笑う、その通りでござる、と答える。
「だからここはわしらに行かせてもらう」
「・・・・・ですが・・・」
義清は納得できず、食い下がろうとする。
「我らは武田をよう知らぬ」
景虎は続ける。
「打って出て、少し武田を知りたい」
だからここは我らに譲れ、と景虎は、義清を見る。
「・・・・・・」
それでも納得できずに、義清は黙って景虎を見つめる。
仕方ないな、と景虎は苦笑する。
「少し戦ったら引くゆえ、村上どのは後ろに控えていてくだされ」
「はぁ・・・・・」
「敵が追って来れば、そこを叩いて頂きたい」
「・・・・・承知した」
ようやく義清は折れて、頷く。
「和泉守」
景虎は続いて、柿崎和泉守景家を呼ぶ。
「ここはお主に任す」
「・・・・承知」
静かに景家は答える。
柿崎景家は顎が張り、肩幅が広く、骨太な武者だ。
陽気で多弁な北条高広と対照的に、寡黙な男だ。
そして皆が認める、越後一の武将である。
守れば冷静沈着で決して崩れず、攻めれば勇猛果敢で敵を打ち破る。
本陣を任せにるしても、先鋒を命じるにしても、武将として景虎が最も信頼する将だ。
もし景虎が武田晴信なら、景家を狙う。
無口な景家は、何を考えているのか分からない。
そう言う意味で、信用はできない。
柿崎景家は、景虎にとって、信頼できるが信用できない男だ。
本陣を任せるのは危うい。
本庄実乃も、眉を寄せて景虎の方を見る。
止めろと言いたいのだろう。
それでも敢えて、景虎は景家に任せる。
信用できるわけでは無いが、それでもここは任せる。
それが大将の務めだ。
何かあるかもしれないと、疑い心配するのが、家臣である実乃仕事なら、決断するのが大将である景虎の仕事だ。
大将に必要なのは、あれこれ悩む知力では無い。
こうだと決める胆力だ。
腹を据えて決断できる大将が、優れた大将なのだ。
「では、いくぞ丹後」
景虎が声をかけると、おおっ、と高広が応じる。
少し離れたところで、安田景元が顔を顰めていた。
それを目の端で捕らえながら、景虎は歩き出す。
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