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本庄繁長、裏切る
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「な、な、な」
なんと言った?と言う言葉が出ないほど、輝虎は動揺している。
「本庄弥次郎が武田と通じ、謀反を起こしました」
動揺はしていなが、さすがに顔色が悪くなっている直江景綱が、そう報告する。
がっ、と呻き輝虎は、その場に崩れ落ちる。
「裏切った・・・・・弥次郎が・・・・」
ようやく出た輝虎の呟きに、はい、と景綱が応じた。
本庄弥次郎繁長は、揚北衆本庄家の若き当主だ。
繁長の父親、房長はかつて上杉定実の跡継ぎとして、伊達稙宗の息子を迎え入れようと画策した中条藤資と、争った人物である。
藤資と争っていた房長は、弟、長資の裏切りに遭い、居城を奪われ病没した。
その後、本庄家の実権は長資が握っていたが、房長の十三回忌の法要の時、当時まだ元服前の繁長が、叔父である長資を襲い、斬り殺したのである。
その一件で繁長は、勇猛果敢で剛毅な若者として、その名を越後中に広めたのである。
「弥次郎の奴め・・・・・」
輝虎は怒りに震える。
繁長の勇猛果敢さを買い、輝虎は叔父を殺した一件を不問にしてやった。
それなのに裏切った。
ギリギリと歯軋りをする。
「おそらく理由の第一は、恩賞の事・・・・」
静かに景綱が言う。
確かにその通りだ。
輝虎は関東に攻め入ったり、越中、北信濃に兵を出したりと、絶えず他国で戦さをしている。
普通、家臣たちは領地を安堵してくれるから、国主の命に従うのだ。
だから敵が攻めてくれば、領地を守ため一所懸命戦う。
しかし他国まで行ってする戦さを、あまりやりたがらない。
それでも新たに領地を得て、部屋住みの次男三男に領地を与えるのなら良いが、輝虎は攻め入っても領地を奪っていないので、与える領地もない。
代わりに青苧の商いで得た銭で、太刀や鎧などを買い、それを褒美として与えたり、よくやったと感状を出したりしている。
柿崎景家や斎藤朝信らは、それで我慢している。
おそらく本当は、彼らも納得はしていないだろう。
しかしその事で輝虎に不満を持って、越後を混乱させれば、武田北条に付け込まれるのが分かっているから、我慢しているのだ。
だが若い繁長には、それが分からないのだ。
輝虎は以前、家中の土地争いの問題に決着を付ける為、出家騒動のお芝居をした。
多分、景家はお芝居と察しているだろうが、それでも輝虎に忠節を誓い、誓詞を出し、息子を人質に差し出した。
だがこの時、繁長は十四、五歳。
叔父の件も不問にしてくれたし、周りの皆が輝虎に従うから、仕方なく同じように従っていた。
しかし日頃から、不満を口にしていた。
若さだと思い、輝虎は気にしていかなったが、そこを信玄は突いたのだ。
「もう一つは、四度目の北信濃の戦さのおり、殿が甘粕近江に大役を任せた事かと・・・・」
「どういう事だ?」
意味が分からず輝虎は、景綱に問う。
「弥次郎は近江に張り合っております」
そういう事かと、輝虎は顔を歪める。
甘粕近江守景持は、家中の若い連中の中で特に優秀だし、輝虎も一目置いてる。
それで武田との戦さの時、大役を任せたのだ。
景持より数歳年下の繁長からすれば、自分に任せて欲しかったと言う事だろう。
日頃の不満をあり、それが切っ掛けになって、謀叛に走ったのだろう。
くそっ、と輝虎は吐き捨てる。
なんと言った?と言う言葉が出ないほど、輝虎は動揺している。
「本庄弥次郎が武田と通じ、謀反を起こしました」
動揺はしていなが、さすがに顔色が悪くなっている直江景綱が、そう報告する。
がっ、と呻き輝虎は、その場に崩れ落ちる。
「裏切った・・・・・弥次郎が・・・・」
ようやく出た輝虎の呟きに、はい、と景綱が応じた。
本庄弥次郎繁長は、揚北衆本庄家の若き当主だ。
繁長の父親、房長はかつて上杉定実の跡継ぎとして、伊達稙宗の息子を迎え入れようと画策した中条藤資と、争った人物である。
藤資と争っていた房長は、弟、長資の裏切りに遭い、居城を奪われ病没した。
その後、本庄家の実権は長資が握っていたが、房長の十三回忌の法要の時、当時まだ元服前の繁長が、叔父である長資を襲い、斬り殺したのである。
その一件で繁長は、勇猛果敢で剛毅な若者として、その名を越後中に広めたのである。
「弥次郎の奴め・・・・・」
輝虎は怒りに震える。
繁長の勇猛果敢さを買い、輝虎は叔父を殺した一件を不問にしてやった。
それなのに裏切った。
ギリギリと歯軋りをする。
「おそらく理由の第一は、恩賞の事・・・・」
静かに景綱が言う。
確かにその通りだ。
輝虎は関東に攻め入ったり、越中、北信濃に兵を出したりと、絶えず他国で戦さをしている。
普通、家臣たちは領地を安堵してくれるから、国主の命に従うのだ。
だから敵が攻めてくれば、領地を守ため一所懸命戦う。
しかし他国まで行ってする戦さを、あまりやりたがらない。
それでも新たに領地を得て、部屋住みの次男三男に領地を与えるのなら良いが、輝虎は攻め入っても領地を奪っていないので、与える領地もない。
代わりに青苧の商いで得た銭で、太刀や鎧などを買い、それを褒美として与えたり、よくやったと感状を出したりしている。
柿崎景家や斎藤朝信らは、それで我慢している。
おそらく本当は、彼らも納得はしていないだろう。
しかしその事で輝虎に不満を持って、越後を混乱させれば、武田北条に付け込まれるのが分かっているから、我慢しているのだ。
だが若い繁長には、それが分からないのだ。
輝虎は以前、家中の土地争いの問題に決着を付ける為、出家騒動のお芝居をした。
多分、景家はお芝居と察しているだろうが、それでも輝虎に忠節を誓い、誓詞を出し、息子を人質に差し出した。
だがこの時、繁長は十四、五歳。
叔父の件も不問にしてくれたし、周りの皆が輝虎に従うから、仕方なく同じように従っていた。
しかし日頃から、不満を口にしていた。
若さだと思い、輝虎は気にしていかなったが、そこを信玄は突いたのだ。
「もう一つは、四度目の北信濃の戦さのおり、殿が甘粕近江に大役を任せた事かと・・・・」
「どういう事だ?」
意味が分からず輝虎は、景綱に問う。
「弥次郎は近江に張り合っております」
そういう事かと、輝虎は顔を歪める。
甘粕近江守景持は、家中の若い連中の中で特に優秀だし、輝虎も一目置いてる。
それで武田との戦さの時、大役を任せたのだ。
景持より数歳年下の繁長からすれば、自分に任せて欲しかったと言う事だろう。
日頃の不満をあり、それが切っ掛けになって、謀叛に走ったのだろう。
くそっ、と輝虎は吐き捨てる。
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