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週刊なにがしインターナショナル

  アメリカの女子サッカー漫画

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「もう一つさぁ、考えたんだけど」
「はい、もう好きにしてください」
 呆れながら吉田が言う。
「さっきのよりはマシ・・・・マシか?」
 ハハハハッと吉田が笑う。
「言ってて自分で悩まないでください」

 あの・・・・・と佐々木が話を始める。
「アメリカのさぁ」
「はい」
「海外ドラマとか映画観てるとさぁ」
「はいはい」
「向こうの女の子、まぁサッカーやってんのね」
「そうですかね・・・・・・向こうは盛んって言いますよね」
「すげぇやってるよ」
「はい、それで?」
「それでアメリカの女子サッカー漫画を作るのね」

「どんな話ですか?」
 眉を寄せて吉田が問う。
「まずアメリカ人の女の子がいてね、主人公」
「はい」
「その子が、まぁ小学生くらいで、とにかくサッカーサッカーの毎日なのね」
「はいはい」
「それである日、友達と、そのサッカー仲間と集まって、テレビでワールドカップを観る訳ね」
「はい」
「それのワールドカップの決勝で、アメリカが出てるのね」
「はい」
「それで観てる女の子たちは、どうせ我がアメリカが、ナンバーワンのアメリカが」
「ナンバーワンのアメリカが」
 吉田は苦笑しながら頷く。
「勝つと、優勝すると思って観てる訳じゃん」
「はいはい」
「そしたら・・・・・・負けるのね」
「ああっ・・・・はいはいはい」

「で、相手が日本な訳じゃん」
「はいそうですね」
「それで女の子たちはショックで」
「そうっすね」
「我がアメリカが負けた、ナンバーワンのアメリカが負けたってなる訳なのね」
「はいはいはい」
「日本てどこだ?と我がナンバーワンのアメリカを倒した、日本は何者だってことになるのね」
「ハハハハッそうですね」


「で、そこから月日が流れて」
「流れるんですか?」
「まぁまぁ一年くらいね」
「はい」
「それで、主人公の女の子はサッカー続けてて」
「はい」
「いつか私が、アメリカを世界一にするんだって練習してる訳なのね」
「はいはいはい」

「そしたらある日、父親が転勤になったって言うのね」
「はい」
「でその子はさぁ、どこかテキサスかアイオアか、どっか田舎に住んでんのね」
「アメリカの田舎に」
「まぁまぁユタにしよう」
「まぁアメリカの田舎といえばユタですよね」
 吉田が笑う。
「それで最初、転勤って言われたから・・・その女の子、弟か妹かまぁ弟でいいや、弟がいて、その弟が、えっニューヨーク?ロス?みたいなこと言うのね」
「はいはい」
「そしたら父親が違うって、外国だって答えるのね、ならパリ?ロンドン?って聞くんだけど、父親がそれも違うと」
「違うと」
「で父親が、日本だって言うのね」
「はいはいはいはい」

「日本?日本?みたいになるのね、弟とお母さんが」
「はい」
「日本てとこだ?ああっ忍者の国かみたいになってさぁ、弟大喜びなのね」
 ハハハハッと吉田が笑う。
「で、お姉ちゃんの主人公は、日本、日本といえば、憎っき日本なわけよ」
「そうですね、当然」
「でも逆に考えれば、倒すべき日本を見ておこうってなって、日本に行くと」
「はいはいはいはい」
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