なんだかんだあっても・・

黒豆ぷりん

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8.仕事をやめたら、何が残るんだろう?

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私って仕事をやめたら、何が残るんだろう?


したいことが一杯で、時間が足りない・・と言われる人々が私の周りには

溢れかえっている。

同僚は

「退職したら、あれもこれもしたいことだらけで、どれをしようか楽しみで楽しみで・・」

と笑顔で言う。

あれもこれもが何なのか詳しくは聞かなかったけれど、きっと私の知らないような世界が広がっているんだろう。


例えば私のお姑さんを思い浮かべると、墨絵、俳句、裁縫、お寺、野菜作りなど、

私が知っているだけでも、これくらいはすぐに頭に思い浮かぶ。

しかも、そのほとんどのジャンルの作品で、

新聞に載ったり、表彰されたりしていたから趣味という範疇を超えている。

「したいことがいっぱい過ぎて時間がいくらあっても足りないの」

いつもそうおっしゃっていたような。

歳を重ねて、そのペースは緩やかになり、

どこかに作品を出品することもなくなってきたようだけど、

相変わらずしたいことはなくならないんだとか。


それとは対象的に超庶民的な母。

フルタイムの仕事しながら、大家族の長男の嫁としての役割もしっかりとこなしていた。

今思うと、楽しみを見つけるのが上手な人だった。

若いときにちょっとかじったからと、絵やお花や美術品などの展覧会が大好きで、

運転のできない母は、父亡き後も、大病を患ったあとも、車を出してくれ、かつ趣味の合う友人と常にお出かけを楽しんでいた。


「仕事で毎日忙しいよね。ご苦労さんだね」

と、たまに電話で言いながら、

「〇〇さんに連れて行ってもらったんだけどね。ちょっと、美味しいお店があったの。行ってみない?」

と誘ってくれることがよくあった。

実際に行けることは、たまにしかなかったし、恥ずかしながら、逆はほとんど皆無だ。

今となれば、もっとなんとかならなかったのかと思う・・自分。


いろいろやりたいことで溢れてる人からすると、ホントにつまらない人間なんだよね。

きっと私。

はぁ~。

仕事以外で何ができるんだろ?何が楽しいんだろ?


ぼんやりとそう考えていたら、昔のことを思い出した。

可愛らしい衣装をつけ、いかにもというような振り付けをしながら

笑顔で歌うアイドルに憧れたのと同じくらい、

深夜の海外ドラマに出てくる夢のようなリッチな生活に憧れたり、料理番組に夢中になっていた。

海外の料理番組は、やたらテンションの高い、料理人とは思えない料理人が、

トーク主体にめちゃくちゃいい加減に料理をやっているのが、面白くて目が離せなかった。

アイドルに飽きても、料理番組は好きで、大学時代は各TVの料理番組をはしごして見ていた。

美味しそうな料理を作って食べたい!という情熱もあるけど、

料理番組の先生に憧れていたのかもしれないな・・と今になって思う。


続きは次回に。







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