【ソウルキャスターズ】メタバースの魔法学校に入学し、クラスメイトと力を合わせて世界を救う。

++++(シャープ)

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◆入学編

特別合同任務❶

木曜の朝。いつもより少し肌寒い風が回復塔男子寮の廊下を抜けていく。

ジャーーー。シャカシャカシャカシャカ。隣の部屋から水の流れる音と歯磨き音が聞こえる。隣のベットを見ると、いつもは寝坊気味な柊がいない。紅星は二段ベッドから飛び降りるようにして寮室を出ると、すぐに隣室の扉をくぐる。

紅星「おはよ~レグルス、柊。今日は早いのな。」
しかし、隣の部屋には、レグルスしかいない。

紅星「あれ?柊がいないんだが…。」
レグルス「ラギくんは今日。特別任務だからもういないよ。」

紅星「一人だけずるいな。オレも行きて~。」
レグルス「はは。僕たちも他人事じゃないよ。今日は特別な”合同任務”の日だからね。」
紅星「合同任務!?」

紅星の胸が騒ぎ始める。どうやら他班と協力して悪魔と闘うらしい。
どんな連中が来るのか、まるで想像がつかない。
少し不安と少し期待が入り混じりながら、紅星は支度を終えて寮を出た。

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テルフィエール魔法高等学校の重厚な正門の前には、殲滅班のメンバー2人が集合していた。
少し遅れて、回復班の3人、レグルス、ホセ、紅星が到着する。

シャトレーヌ「ふ~~ん。来たのね。おじけづかずにここまで来たことだけは褒めてあげるわ。」
シャトレーヌは銀髪の髪の毛をかき上げながら、鋭い目つきで回復班を見据える。

?「ふむ。悪魔討伐は最低4人で出撃する。というルールがなければ今すぐおいていきたいところだが…これも、教育の一環。我々を見て進歩の糧とせよ、回復班。」

シャトレーヌの右にいる少女はレーテと名乗ると、黒髪ととんがり帽子を揺らしながら、重々しく答える。
古代文明を研究する魔法少女で、ルチア先生やシャトレーヌと同じ、世界最強の7人の魔法少女”G7”の一角だった。

G7世界最高戦力2人との合同任務にプレッシャーを感じ、レグルス達はつばを飲み込んだ。

紅星(す、すっげぇ偉そうなやつら来た…。)
紅星はあきれながらため息をつく。
一同は駅に移動して空汽車に乗る。

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汽車の揺れにあわせて、レグルスは今回の任務内容を簡単に説明する。

レグルス「え~。本任務の班長を拝命しましたレグルスです。今日の任務はBランク悪魔10体。Cランク悪魔30体の群れの討伐。」
紅星(レグルスが班長なのかよ…さっきの偉そうな態度は何だったんだ……。)
レグルス「きわめて危険な任務ですが…頑張りましょう!」

ホセ「ひ、ひぃぃぃぃぃぃ。」
ホセ「絶対無理ィ。帰るッ!」

ホセがすでに怯えて座席でガタガタ震えている。

シャトレーヌ「あはは。別に帰っていいわよ。1人余ってるし…。」
シャトレーヌ「残りのあんたたちも拠点でバフかけといてくれればいいから。」

紅星はしゃくに障る思いを抱えつつも、レグルスにこっそり尋ねた。
紅星「なぁ。レグルス。Bランクの悪魔ってどんくらい強いんだ?」
レグルスは指を折りながら説明する。

レグルス「おととい紅星君が倒した悪魔がFランクで。」
レグルス「聖遺物を吸収した触手の悪魔がDランク。」
レグルス「おととい戦った製菓の悪魔がCランク。」

レグルス「製菓の悪魔が聖遺物を吸収して更に巨大化したぐらいの強さかな?」
レグルス「それが10体。」

紅星「…………。」
紅星は呑み込んだ唾がやけに重く感じられる。

レグルス「しかも奴らは40体でレイドを組んでいるようなので、バフで全員パワーアップしてるし…固有魔法で弱点を補いあってるはず。罠とかを準備しててもおかしくないかな。」
紅星(か、帰りてぇ…。今回ばかりはホセの気持ちに同意したい。)

レーテ「そこで我の出番というわけだ。」
レーテは得意げに腕を上げ、人差し指を上向きに指す。

レーテ「我の古代魔法で相手を初手で鏖殺して楽々解決ってわけ。」
レーテ「シャトレーヌも拠点で寝てていいぞ。私の獲物を1匹たりとも譲る気はないからな。」

シャトレーヌ「はぁ!?。なんですってレーテ。あなたこそ、初撃を撃ったらすぐに拠点に帰りなさい。詠唱に1分かかる鈍足魔法使いのお守なんてごめんだわ。」
ムキーッという威嚇と共にシャトレーヌとレーテはにらみ合う。

紅星(マジかよ…。レグルスや柊との差を痛感したばっかなのに…。レグルスすら戦力にならないぐらい強い奴らがいるのか…。)
紅星(超やばい任務でも、汗1つ垂らさないどころか獲物を奪い合う始末…。こいつらにとっては悪魔なんて、イノシシやシカと同類なんだろうな…。)

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一同は悪魔が大量に潜伏しているという”ネブラ界”に到着した。周囲は鬱蒼とした森と灰色の霧に覆われている。湿度の高い空気が肌にまとわりつき、視界は2キロ先までがやっと。それ以上は何も見えず、風の音が不気味に響く。

紅星「うわ…本当に先が見えないな。えげつない霧だ。」
レグルス「……風の音が人の悲鳴みたいに響いてくる。なんだか不気味だね。」
レーテ「いかにも、悪魔が好きそうな環境。やつらの拠点にふさわしい場所だな…。」

シャトレーヌが銃を片手に、すっと目を細める。
シャトレーヌ「止まって。3キロ先に悪魔がうじゃうじゃいるわ。……レーテ、準備を。」

レーテ「ふむ。早速詠唱を始めるか。鯨座ケトゥス、コンバート!」
レーテの体が光に包まれると、彼女の姿は古びた魔術師のような風体へと変化する。
ローブには貝殻やフジツボが付着しており、不気味な雰囲気を漂わせる。

レーテ「くくく。回復班諸君。神の領域に至った我が魔法を目に刻むがいい。」
レーテは古代魔法の呪文を唱えはじめる。

レーテ「全にして一。一にして全なる者よ。我が求めるは穢れの清掃。統制せよ。壊滅せよ。世界に終焉をもたらす真空。全てを終点へといざなう、最果てへの片道切符よ。」
ゴゴゴゴゴゴゴ。音を立てながら、レーテはすさまじいオーラを放つ。

紅星(すげぇパワーだ。いったいどんな魔法が…。)
レーテ「古代殲滅魔法!!時解天葬。」

しかし、不発に終わる。しばらく待っても何も起こらなかった。

紅星「えぇぇ…。」
シャトレーヌ「レーテの古代魔法の成功確率は30%しかないわ。いつものことだから心配しないで…。」
レーテ「っく。失敗か。だがまだ一回目。問題はない。」

レーテは気を取り直して呪文を唱える。しかし、また不発に終わる。
レーテ「っく。しぶといな…。豪運な悪魔め。」

4回連続で失敗。一同は流石に焦り始めた。
レーテ「くぅぅぅぅぅ。。」
紅星「おい、そろそろ成功させろよ…。もう4分経ってるぜ…。」
レーテ「うるさい。集中できぬだろう。」

7分経過。しかし、またもや失敗。
ホセ「ぎゃっはっは。こいつクソザコじゃんか(笑)」
シャトレーヌ「レーテ。流石に遅いわよ。もう私一人で片づけていいかしら?」
レーテ「ま、ままま待てッ!違うんだ。7回連続で失敗する確率は8%しかないわけで。ものすごく運が悪かっただけなんだ。」

レーテは情けない声を漏らし、一同は肩をすくめる。

レーテ「ああ、邪神様。次こそは成功しますように…。何卒何卒。」
レーテは神に祈るように目を閉じ、もう一度呪文を唱える。

レーテ「怒りの焔。地獄の根源。炎界の焼却炉よ。その火力をもって、わが外敵の全てを焼き払わん。殲滅せよ殲滅せよ殲滅せよ。怒り狂う邪神の導き。」
するとビリビリと空気の震えが走り、彼女の指先に集う魔力が爆発的に増幅していく。

詠唱が終わるぐらいの段階でビビッと電波を受信する。
レーテ(きた。ようやくきた。)

レーテ「古代魔法!!炎界貝塚。」
——ドォォォォンッ!!

突然、直径200メートルを超える業火の柱が地面から天へと突き抜け、ネブラ界を覆っていた灰色の霧が一瞬にして吹き飛んだ。あたりに轟音と地鳴りが響き、悪魔たちの断末魔がかすかに耳に届く。どうやら20体以上が一瞬にして焼き払われたらしい。

怒った悪魔たちがレーテめがけて一斉に向かってくる。

シャトレーヌ「開戦よ!」
シャトレーヌが鋭い声を上げると、レグルスは防御バフ。ホセは病気耐性をパーティ全員に付与する。

シャトレーヌ「アンドロメダ・コンバート」
シャトレーヌの身体が白い光に包まれ変身する。姿はほとんど変わらないが、大きな首輪や鎖のような装飾が追加され、どこか神秘的な魔法少女になった。

シャトレーヌ「凪(サイレント・フェザー)」
レーヌの体の周りに白い羽尾状の光が舞い、武器や体の動きから音が消える。彼女はデザートイーグルを両手に構え、霧の奥から突進してくる悪魔の群れを冷静に見据えた。前方斜め上にめがけて発砲する。

紅星はその様子を目で追う。
紅星(なにをやるつもりなんだろうか?たった1発だけ。悪魔の頭上に撃つだけじゃ有効打にはならない気がするが…。)

弾が悪魔の頭上に到達した瞬間、シャトレーヌは魔法を唱える。
シャトレーヌ「霊(ファントム・シフト)」

シャトレーヌは突如として、先ほど打った玉と自分の位置を入れ替える。
彼女の固有魔法「ファントムシフト」は自分が所有する武器と自分の位置、
あるいは武器と武器の位置を入れ替える瞬間移動の魔法だ。

悪魔の上に飛ぶと、軽快な身のこなしで悪魔の核を次々と撃ち抜いていく。サイレントフェザーの効果で、発砲音は最小限に抑えつつ、反動を受け流し、連写する。

シャトレーヌが地面に着地すると、周りにいた悪魔のほとんどが灰になって消える。
シャトレーヌ「14発中、13発命中。一発は核を外しちゃったけど、悪くないわね。」

シャトレーヌ「霊・再(ファントム・シフト・リロード)」
シャトレーヌは、薬莢2つをバックから取り出すと、使用済みのものと入れ替える。
薬莢に、一瞬で銃弾を詰め込むと、シャトレーヌは再び構える。

ブチギレた周りにいる悪魔たちが一斉に襲いかかってくる。
「ガオオオオオオオッ!」

ダンダンダンダンダンダン。
シャトレーヌは残りの悪魔を一掃する。すべて悪魔が灰になり、一瞬で壊滅する。

シャトレーヌ「これで上級悪魔40体、掃討完了。ミッションコンプリート、ってところかしら。」
シャトレーヌがドンッと胸を張るように言うと、紅星はあまりのスピードに呆気にとられていた。

紅星(なんだ今の、全然見えなかった。もう片付いたのかよ…)

その言葉の半分が出かかったところで、霧が晴れた森の奥から、さらに多くの悪魔の気配がむくむくと現れはじめる。

シャトレーヌ「なるほど。楽々勝ちってわけにも行かなそうね…。」
シャトレーヌが銃を再び構え、まるで楽しむかのように笑みを浮かべる。

紅星はごくりと唾を飲み込む。
強力な味方がいる安心感がある一方で、後方で守るだけでは終われないという焦燥感が回復班の一同にはあった。

紅星「……オレたち回復班だって、やれることをやるさ。」
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