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一話
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なんで‥‥なんでこんなことになってしまったんだろう‥‥。
「ミレイア。すまないね。これでも悪いと思ってるのだよ?でも正直言って君はもう用済みだ。その汚い手で触れないでもらえるか?」
暴言を吐きながら嫌な笑みを浮かべる彼は本当に私の婚約者だった人だろうか?
「なぜ‥‥?」
震える声でそう問い掛ける。
「なぜ、だと??本当に分からないのか??
ああ、いっそ哀れなほどに愚かだな。お前の価値など侯爵家を継ぐものだと言うことしかなかったと言うのに。俺は伯爵家の三男だ。家の爵位を継ぐこともできない、将来は平民落ちだ。
そんなのごめんだね。だからお前との婚約は願ってもないチャンスだった。けれどお前にはもう侯爵家を継ぐ権利などない。
それならお前と婚約するメリットなんて何もないじゃないか!!
俺はニーナと婚約したんだよ。ニーナは侯爵家を継ぐからな。それにニーナはお前と違って可愛いし最高の伴侶になるさ。
俺たちは本当に愛し合ってるんだ。」
「ごめんなさいねぇ?お姉さまぁ。うふふっ!!
セルはずっと私と付き合っていたのよ?それにも気づかずにセルにあって舞い上がっているなんて‥‥。
ああ!!なんで滑稽なのかしら!!とっても面白かったわよぉ?」
うっそりとお互いに見つめ合い、私を罵る声を上げるのは叔父一家の愛娘であり私の義妹だ。
あぁ、セルジオ。
あなたを信じていたのに‥‥。
あの檻のような環境の中で唯一私に優しくしてくれたのは全て嘘だったの‥‥??
こんなふうに裏切られるだなんて。
信じられない‥‥。信じたくなかった。
現実逃避をするように、私はこれまでのことを振り返る。
ーー侯爵家嫡女のミレイア。私は侯爵家の直系唯一の子供だ。
母は私を産んだその時に体力を大きく消耗してしまい、もう子供を産むことは困難な体になってしまった。
だからこそ私は嫡女として婿を取って侯爵家を継ぐことが決まっていたのだ。
そして幼い頃に決まった婚約者がセルジオだった。
婚約が決まったのは5歳の頃。
セルジオとは7歳差で彼は常に年上の余裕を持った紳士な態度で私に接してくれていた。
両親は優しく聡明で自慢の人たちだった。
なぜ過去形なのかと言うと両親は私が6歳の頃に帰らぬ人となってしまったからだ。
不慮の事故だったと聞いている。
馬車の車輪が緩んでそれがちょうど崖を下っている最中の出来事だったためそのまま馬車ごと崖下に落下。
両親も護衛も御者も亡くなった。
まだ6歳だった私には何もできなかった。
両親の訃報を聞き、途方に暮れ泣き喚いた。
そんな時、父の弟だと言う人が来た。
私に代わって両親の葬儀も済ませてくれてまだ侯爵家を継ぐ能力の備わっていない私に代わって業務を担ってくれた。
いい人たちだった。
私が両親を思って泣けば、一緒に悲しんでくれた。
家族を一気に失った私に手を差し伸べてくれた彼らは私の義家族になってくれた。
そんなふうに彼らへの警戒が完全に解けてきた頃、ある契約書を渡された。
それが何かはいまいちよくわかっていなかったが彼らが言うには侯爵家存続のために必要であり私を守るための書類なのだと言う。
私は完全に彼らを信じていたからその契約書になんの疑いも抱かずに署名した。
そう、署名してしまったのだ‥‥。
その日から何もかもが変わった。
私に優しく、寄り添ってくれていた彼らの態度の豹変には心底驚いた。
「ミレイア。すまないね。これでも悪いと思ってるのだよ?でも正直言って君はもう用済みだ。その汚い手で触れないでもらえるか?」
暴言を吐きながら嫌な笑みを浮かべる彼は本当に私の婚約者だった人だろうか?
「なぜ‥‥?」
震える声でそう問い掛ける。
「なぜ、だと??本当に分からないのか??
ああ、いっそ哀れなほどに愚かだな。お前の価値など侯爵家を継ぐものだと言うことしかなかったと言うのに。俺は伯爵家の三男だ。家の爵位を継ぐこともできない、将来は平民落ちだ。
そんなのごめんだね。だからお前との婚約は願ってもないチャンスだった。けれどお前にはもう侯爵家を継ぐ権利などない。
それならお前と婚約するメリットなんて何もないじゃないか!!
俺はニーナと婚約したんだよ。ニーナは侯爵家を継ぐからな。それにニーナはお前と違って可愛いし最高の伴侶になるさ。
俺たちは本当に愛し合ってるんだ。」
「ごめんなさいねぇ?お姉さまぁ。うふふっ!!
セルはずっと私と付き合っていたのよ?それにも気づかずにセルにあって舞い上がっているなんて‥‥。
ああ!!なんで滑稽なのかしら!!とっても面白かったわよぉ?」
うっそりとお互いに見つめ合い、私を罵る声を上げるのは叔父一家の愛娘であり私の義妹だ。
あぁ、セルジオ。
あなたを信じていたのに‥‥。
あの檻のような環境の中で唯一私に優しくしてくれたのは全て嘘だったの‥‥??
こんなふうに裏切られるだなんて。
信じられない‥‥。信じたくなかった。
現実逃避をするように、私はこれまでのことを振り返る。
ーー侯爵家嫡女のミレイア。私は侯爵家の直系唯一の子供だ。
母は私を産んだその時に体力を大きく消耗してしまい、もう子供を産むことは困難な体になってしまった。
だからこそ私は嫡女として婿を取って侯爵家を継ぐことが決まっていたのだ。
そして幼い頃に決まった婚約者がセルジオだった。
婚約が決まったのは5歳の頃。
セルジオとは7歳差で彼は常に年上の余裕を持った紳士な態度で私に接してくれていた。
両親は優しく聡明で自慢の人たちだった。
なぜ過去形なのかと言うと両親は私が6歳の頃に帰らぬ人となってしまったからだ。
不慮の事故だったと聞いている。
馬車の車輪が緩んでそれがちょうど崖を下っている最中の出来事だったためそのまま馬車ごと崖下に落下。
両親も護衛も御者も亡くなった。
まだ6歳だった私には何もできなかった。
両親の訃報を聞き、途方に暮れ泣き喚いた。
そんな時、父の弟だと言う人が来た。
私に代わって両親の葬儀も済ませてくれてまだ侯爵家を継ぐ能力の備わっていない私に代わって業務を担ってくれた。
いい人たちだった。
私が両親を思って泣けば、一緒に悲しんでくれた。
家族を一気に失った私に手を差し伸べてくれた彼らは私の義家族になってくれた。
そんなふうに彼らへの警戒が完全に解けてきた頃、ある契約書を渡された。
それが何かはいまいちよくわかっていなかったが彼らが言うには侯爵家存続のために必要であり私を守るための書類なのだと言う。
私は完全に彼らを信じていたからその契約書になんの疑いも抱かずに署名した。
そう、署名してしまったのだ‥‥。
その日から何もかもが変わった。
私に優しく、寄り添ってくれていた彼らの態度の豹変には心底驚いた。
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