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最終章 夢で逢えたら
第4話 帰省
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年中ニートの僕には全く関係のないゴールデン・ウィークが終わり、真理さんが来た。長かった! やっと来た! チキンだから名前を知っても名前で呼ぶことはできない。
事務作業が終わり、雑談の時間に入った。
「これからどうするの?」と真理さんが切りだしてきた。
「いや、何か今度久が原駅で待ち合わせして、保健師と作業所見学行くんですよ」
「久が原ってどこだろう……ちょっと検索してみるね」と言い、iPhoneを取り出した。
「蒲田駅から四駅だって」
「マジですか、蒲田駅に歩いて行くだけで四十分はかかるのに、そこから四駅って」
すると、目の前に座っていた真理さんの顔が僕の真横まで近づいた。真理さんに聞こえるんじゃないだろうか、と思うぐらいに僕の心臓が高鳴った。僕はもう大空を羽ばたきたい気分になった。クルックー、クルックー!
「でもさ、電車だと遠いけど、カーブしてるから、こうやって自転車で行けばそんなに時間かからないんじゃない?」
そう言いながらiPhoneを指さした。顔が、顔が、近すぎる。僕はドギマギしながらも何とか言葉を絞り出した。
「そ、そんなの無理ですよ。というか、地図全然わからないですし」と二人で笑いあった。そこからが勝負だ。
一瞬だけ沈黙があった。
「ゴールデン・ウィークも終わりましたね」
「そうだね。ゆっくり休んだよ」
「何してたんですか?」
僕は心の中でガッツポーズをした。よくやった、よくやった僕! よく聞いた!
「二日に休み貰ってずっと実家帰ってたよ」
「え、実家って東京じゃないんですか?」
「うん、北海道だよ。家族と過ごしてた」
と言いながら、なぜかこのタイミングでマスクを外した。……美人だ! 年齢もそんなに行っているとは思えない。僕と目が合うと微笑んだ。……可愛い!
いや、わかっているよ。頭ではわかっている。何度も言うようだが、看護師と患者がどうのこうのなるなんて、七百億パーセント無理だということは。それでも僕は真理さんのことが好きだった。その相反する思いで、脳みそが張り裂けそうだった。いっそのこと玉砕覚悟でアタックして、無理だったら、もう僕の家に訪問することはなくなるだろうし、その方が楽なのではないだろうか……。しかし、アルコールも入っていない素面の状態で、そんなことができるわけが……。僕は真理さんが好きだ。だから当然今以上の関係性を築きたい。しかしなにもできない。そしてそれを掲示板や生放送で相談する。
まるで、昔流行った電車男みたいじゃないか!
あと一歩、あと一歩踏み込めることができたなら……。しかし、これまでの流れをまとめると、脈がないわけではなさそうな気がしないでもないこともないこともないこともないこともないことも……。もしかしたら……行けるのでは? ……しかしそうやって調子に乗るのも駄目だ。だからゆっくりやって行かなければならないが、月水金の三回がすべて真理さんというわけではないから、会えて週に一回、よくて二回。お婆さんやおばさんの訪問はすぐに終わるが、お姉さんとは色々雑談をするから三十分ぐらい話すだろうか、そこで何とか徐々に仲良くなっていくしかないのだが、踏み込めない。まあ最初の方に比べたら僕から話しかけることも増えてはいるのだが、所詮その程度のレベルだ。それ以上に何かが欲しい。
なんて僕は不甲斐なくてチキンな男なんだろう。断られたり嫌がられたりするのが怖くて、なにもできない。そんなことに怖がっていてもしかたがないということは重々承知の上だ。
――僕には無理だ!
事務作業が終わり、雑談の時間に入った。
「これからどうするの?」と真理さんが切りだしてきた。
「いや、何か今度久が原駅で待ち合わせして、保健師と作業所見学行くんですよ」
「久が原ってどこだろう……ちょっと検索してみるね」と言い、iPhoneを取り出した。
「蒲田駅から四駅だって」
「マジですか、蒲田駅に歩いて行くだけで四十分はかかるのに、そこから四駅って」
すると、目の前に座っていた真理さんの顔が僕の真横まで近づいた。真理さんに聞こえるんじゃないだろうか、と思うぐらいに僕の心臓が高鳴った。僕はもう大空を羽ばたきたい気分になった。クルックー、クルックー!
「でもさ、電車だと遠いけど、カーブしてるから、こうやって自転車で行けばそんなに時間かからないんじゃない?」
そう言いながらiPhoneを指さした。顔が、顔が、近すぎる。僕はドギマギしながらも何とか言葉を絞り出した。
「そ、そんなの無理ですよ。というか、地図全然わからないですし」と二人で笑いあった。そこからが勝負だ。
一瞬だけ沈黙があった。
「ゴールデン・ウィークも終わりましたね」
「そうだね。ゆっくり休んだよ」
「何してたんですか?」
僕は心の中でガッツポーズをした。よくやった、よくやった僕! よく聞いた!
「二日に休み貰ってずっと実家帰ってたよ」
「え、実家って東京じゃないんですか?」
「うん、北海道だよ。家族と過ごしてた」
と言いながら、なぜかこのタイミングでマスクを外した。……美人だ! 年齢もそんなに行っているとは思えない。僕と目が合うと微笑んだ。……可愛い!
いや、わかっているよ。頭ではわかっている。何度も言うようだが、看護師と患者がどうのこうのなるなんて、七百億パーセント無理だということは。それでも僕は真理さんのことが好きだった。その相反する思いで、脳みそが張り裂けそうだった。いっそのこと玉砕覚悟でアタックして、無理だったら、もう僕の家に訪問することはなくなるだろうし、その方が楽なのではないだろうか……。しかし、アルコールも入っていない素面の状態で、そんなことができるわけが……。僕は真理さんが好きだ。だから当然今以上の関係性を築きたい。しかしなにもできない。そしてそれを掲示板や生放送で相談する。
まるで、昔流行った電車男みたいじゃないか!
あと一歩、あと一歩踏み込めることができたなら……。しかし、これまでの流れをまとめると、脈がないわけではなさそうな気がしないでもないこともないこともないこともないこともないことも……。もしかしたら……行けるのでは? ……しかしそうやって調子に乗るのも駄目だ。だからゆっくりやって行かなければならないが、月水金の三回がすべて真理さんというわけではないから、会えて週に一回、よくて二回。お婆さんやおばさんの訪問はすぐに終わるが、お姉さんとは色々雑談をするから三十分ぐらい話すだろうか、そこで何とか徐々に仲良くなっていくしかないのだが、踏み込めない。まあ最初の方に比べたら僕から話しかけることも増えてはいるのだが、所詮その程度のレベルだ。それ以上に何かが欲しい。
なんて僕は不甲斐なくてチキンな男なんだろう。断られたり嫌がられたりするのが怖くて、なにもできない。そんなことに怖がっていてもしかたがないということは重々承知の上だ。
――僕には無理だ!
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