さようなら、外脛骨

れつだん先生

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リハビリ編

第16話 リハビリ8 2021年8月9日

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 朝、二度目のPCR検査。検査の痛みに左足が反応し痛みが走る。朝から流れがよくない。
 読書をしたり音楽やラジオを聴いていると掃除だのシーツ交換だの検温だの食事だのなんだのとやってきて中断することに若干のストレスを感じるが、それを感謝で押し殺す。掃除などはクレーム避けのためなのか、病室に入る、カーテンを開ける、ゴミ箱を片付ける、床を拭く、等々に断りを入れるため「勝手にやっといてくれよ」と思ってしまうが、掃除していただいていることへの感謝が薄くなっていると反省。同じくシーツ交換も検温も食事も、自分が左足の手術を選択したからであり他人になんの責任もない上、仕事をしているだけなので反省しなければならない。
 当たり前だと思うことが一番よくないことであり、日々感謝を忘れないようにしなければならない。
 ふくらはぎに痺れはないかと訊かれるが、ある気がするしない気もすると答えるほかにない。シャワーの予約をし時間を看護師に伝え部屋に戻ると、予約時間を忘れたので再度ナースセンターに行き時間を確認し看護師に伝えて部屋に戻る。松葉杖で歩くトレーニングになったとプラスに考える。部屋のエアコン口が結露して水滴が落ちているので気をつけろとのこと。
 リハビリ、ついに話すことがなくなる。お互い、リハビリをやればいいわけで話すことが目的ではない。だから話題を提供しなければならないというわけでもない。リハビリ以外は関係がないし退院すれば二度と会うこともない。つまり気を遣う必要がない。であるから特に書き記すこともない。覆面バンドの例にマン・ウィズ・ア・ミッションを上げたことにジェネレーションギャップを感じた程度である。「土曜日に左足を床についてしまったとカルテに書かれていましたよ」と言われたが睡眠薬を飲んだ後のことは覚えていない。
 明日は振替休日なのでリハビリはなしとのこと。

 松葉杖で下の階に降りて個室でオナニーをする。もちろんネタはナースもの。入院しているからナースものというわけでははい。中学生の多感な時期に椎名林檎の本能のPVを観て以来ナースものばかり使うようになってしまったというだけのことだ。しかしトイレは風呂と違い短時間で済まさねばならないため気持ちよさもなく単なる処理で終わってしまい不甲斐ない結果となる。

 夕食が18時でそれ以降はお菓子を食べて空腹を紛らわせていた。売店でカップラーメンを買ってデイルームで湯を入れて食べればいいということに気づくが、松葉杖ではカップラーメンを運ぶことができないことに気づいてしまい諦める。車椅子はどうかと座りシミュレーションしてみるが、足の間に挟む以外の手段がなく、少しの揺れで湯がこぼれ太ももを焼く可能性があることがわかり諦める。結果おにぎりを買うことにしたが、セブンイレブン他より美味しくはなかった。
 PCR検査の結果は陰性であった。
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