日本万歳 小説版

れつだん先生

文字の大きさ
上 下
7 / 12

2010年3月13日

しおりを挟む
 はっきり言うと、この日記は既に失速してしまっている。社会福祉金云々というのは最早終わってしまい、連絡待ちという状況で、メインとなる物が消えてしまったのだ。それでも読んでくれているあなた、そう、あなたへ向けてこの日記を書こうと思う。安心して欲しい。今日は色々あるので、日記の内容も面白くなるだろう、と思う。
 僕のこの日記に対するコメントなどを見る。2ちゃんねるのとあるスレッドで、この日記について様々な意見が出ていたので、それをメモしながら、今後この日記をどうしていこうか、ということを考える。僕は一日分の日記の枚数を気にしていた。あまりに長すぎると読み手としては疲れてしまうのではないか? と。しかし、書きたいことは山ほどある。そのバランスと緩急を気にして書けば、大丈夫なのではないだろうか。
 その後風呂に入り、ジンジャーエールを買いに行く。時間は朝の四時頃だろうか。ジンジャーエールと残っていた焼酎を混ぜて呑む。二ヶ月ぶりのアルコールとあってか、かなり酔ってしまった。何をやっているんだ、と自分を戒めるが、酒の力には敵わない。少しぐらいならいいのでは? というここまでの日記も、酔った状態で書いてしまっている。現在の時刻は五時四十五分。この日記は、読むに値する物なのだろうか? 読んでいて楽しいのだろうか? わからない。でも、書きます。なので、読んでくださいね。
 この日記を読んで欲しくない人が一人だけいる。僕の彼女だ。彼女には、僕が派遣切りされたことも、社会福祉金を貰うことも全く知らせていない。それを知られると嫌われてしまい捨てられるのではないか、という不安があるからだ。だからあまりこの日記を大々的に、彼女が見るであろうサイトに出すのはやめておいた。しかし多分もうばれているのだろう。確信は得ていないが、そんな気がする。
 彼女にメールを送っても、返信がない場合がある。僕はマゾなので、そういう部分には大変興奮させられるのだ。さりげなく手を出しておいて、こっちが食いついたら手を引っ込める。さすがと言わざるを得ない。
 三時間ほど寝た。朝の九時半頃に起床し、見ずに積んだままだった映画のDVDを見る。●RECという映画と、イケない課外授業という2作。●RECは、ブレアウィッチプロジェクトで一気に有名になったPOV物で、消防士の密着取材をしている所に出動命令がかかり、消防士たちと一緒にとあるアパートへ行くが、なぜか突然アパートは警察の手によって封鎖されてしまい、上の階からおばあさんの暴れる声が聞こえる。なぜ封鎖され閉じ込められたのか? おばあさんはなぜ暴れているのかという緊迫した状況を、主観カメラによって上手く演出できていた。面白い。スペインの映画だが、ハリウッドでもリメイクされたようだ。
 もう一つはパッチギ! の主人公役の俳優が出ているということで気になっていた映画。後から知ったが、元々の原作ははケータイ小説のようだ。内気な少女が俺様キャラの男に翻弄されていくというストーリー。少女マンガ的な男の性格や行動が嵌ってしまい、最後までハラハラドキドキしながら見れた。すごく面白い。原作は読もうとは思わないが。
 読書やインターネットをして過ごし、三時頃に友人から「夕方頃に行く」というメールが入る。必要なくなったソファがあるので、それを僕にくれるという。待っているが中々来ないので、ネットで時間を潰す。
 十九時頃になってようやく部屋に二人の友人がやってきた。簡易的に、ソファをくれた友人をA、別の友人をBとする。寒さのせいで湿っていたソファを部屋に立てかけて乾かし、Aの家へ行く。久々に集まったということで会話が盛り上がる。昨日は酔ったこともあって三時間程しか寝ていないので、眠気が激しい。県外に住んでいた別の友人Cが、大学を卒業したものの就職が見つからないという理由でこちらへ帰ってきているという話を聞き、呼び出す。4人でマクドナルドへ行く。僕は腹が減っていないので珈琲だけを頼んだ。二十時過ぎのマクドナルドは客が多く、それだけでなくドライブスルーまであるため、店員が忙しなく動いている。僕たちが注文してからでき上がるまで、十分以上待っている。僕たちの後ろには外国人の家族が並んでおり、見るからに苛々している。店員は三人。全て若い女性。一人がドライブスルーの客とインカムで会話しながらレジを打ち、一人は大量に揚がったポテトを乱雑に紙の箱へ流しこみ、一人はハンバーガーを作っている。額には汗が滲み、化粧が取れかけている。田舎なのでマクドナルドしか行く場所が無いとはいえ、さすがに忙しすぎだろう。女、仕事などという話をして、友人宅へと戻る。Aの家は家具屋を営んでいたのだが、廃業したために店を潰し、更地にし、近くにできる大きな工場の社宅にするようだ。そのためソファがあまり、捨てるのもなんだということで、僕にまわってきたようだ。数年前に貸していたアダルトDVDを返して貰い、眉毛を剃る電動のカミソリを貰う。
 当初はマクドナルドでやっていたような話をしていたが、Aが突然「BとCは知っているけど、お前にはあえて言わなかった話がある」と言い出した。一言で言うと、小学校と中学校の頃に仲の良かった同級生が自殺した、ということだった。三年程前から「自分は無価値な人間だ」と思い続け、毎日それに関する文章を書き、思いつめた挙句に首を吊った。かといって引きこもっていたわけではなく、介護の仕事をしつつ、三年程前に倒れた母親の面倒を見ていたようだった。友人とも連絡を取り、遊びに出かけたりもしていたようだ。
 なぜ僕には話さなかったのか、という理由をAがしだす。僕もこの同級生と同じように、昔から「自分は無価値な人間だ」と思い続け、それをたまに友人たちに言っていた。だから同じような人間が自殺したということを聞くと、僕も自殺してしまうんじゃないかと不安になった、と。僕自身かなり浮き沈みの激しい人間で、他人からすればどうでもいいことでも、思い詰めてしまい延々と悩んでしまうという性格だった。
「僕は自殺しないよ」というが、自殺という物は突発的にしてしまうことなので、どうかはわからない。同級生の死という、今まで経験していなかったことを聞いて、死に対する恐怖を感じてしまう。今になって考えると、それは死ぬということが怖いというだけではなかった。霊的な怖さがあった。
 AとCは県外でずっと一人暮らしをしていたということもあり、一人暮らしの辛さ、孤独などを話し合う。深夜の街しか映していないテレビを見続けたり、見もしないテレビをつけてみたり、日記を書いてみたりという行動は僕だけ出なくAとCもやっていたようだ。少しだけ安心する。Bはこのメンバーで唯一正社員で働いているということもあり、「昼夜逆転するのが嫌」ということで、深夜の1時ごろに解散となった。同級生の自殺を聞いてから恐怖心で一杯だったので、部屋に帰りたくなかった。部屋に帰れば孤独に襲われてしまう。誰もいない。怖い。それを無理やり打ち消し、部屋に帰って日記を仕上げる。あまりにも眠たいが腹が減ったのでスパゲティを作り、その日は2時半頃に寝た。眠すぎて今日あったことを詳しく書く元気がありません。
しおりを挟む

処理中です...