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番外編 運命の人
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カールにはじめて告白する俺の誕生日、それを考えるだけで、無駄にテンションが上がり、パーティー会場でのことが、全然思い出せないレベルだった。
テンションが上がった勢いをそのままに、現伯爵の父上に次期当主にならないことを告げた。そこに行きつくまでに、長い時間をかけてダメ息子を演じていたゆえに、あっさりと許しをもらえたのは、本当にラッキーだと言える。
そんな話し合いを終えて、寝室にてカールとふたりきりでいる現状に、緊張しないほうがおかしい。なんとか落ち着くために、大きなため息を吐いた。
「アンドレア様、お疲れでございますよね? ぐっすりお休みいただけるように、カモミールティーをご用意いたします」
時刻は午前零時を回っている。今年は記念べき俺の20回目の誕生日ということで、来賓が多かった。きっとカールだって、相当疲れているだろう。
「なぁカール、今年の誕生日プレゼントなんだが」
平静を装って話しかけたが、どうしても緊張感が隠しきれずに、声が震えてしまった。
「はい、どのような品をご所望でしょうか?」
カールは俺に背を向けたまま、ティーポットから紅茶を丁寧に注ぐ。
自分が獲物になっているのも知らずに、いつもと変わらない態度を貫く、カールの肩を叩いた。すると紅茶を注いでいる手を一旦止めて、なんだろうという雰囲気をそのままに振り返って、俺を見上げる。
「アンドレア様?」
カールと視線が絡んだだけなのに、躰が熱くなる。我慢できなくなるくらいに、カールが欲しくなり、彼が手にしているティーポットを手から無理やり外し、強引に振り向かせて、ぎゅっと抱きしめた。
「今年の誕生日プレゼントはカール、おまえがほしい」
やっと捕まえることができたと思ったら、抱きしめる腕の力の加減ができない。
「は?」
「おまえがずっと好きだった。10年前に、はじめて逢ったときから」
逃がさない勢いで、カールを抱きしめる腕にさらに力がこもった。
「俺を意識してほしくて子供の頃は、わざと困らせることばかりしたんだ。いたずらばかりしてしまった俺を許してほしい」
すると俺の力に抗うように、カールは目の前にある俺の胸を強く押して、距離をあけた。
「アンドレア様に、私をプレゼントすることは叶いません」
「カール?」
カールは俯いたまま、普段聞いたことのない低い声で返事をする。
「私のことはさっさと諦めて、結婚相手を早く見つけてください。伯爵様もそれを望んでいらっしゃいます」
(――今さら、なにを言い出すんだコイツは!)
「カール、俺が好きなクセに、どうしてそんなことが言えるんだ」
「好きではございません。勘違いも甚だしい……」
肩を竦めて、おかしくないのに無理やり笑うカールに、俺は苛立ちを覚えた。
カールにはじめて告白する俺の誕生日、それを考えるだけで、無駄にテンションが上がり、パーティー会場でのことが、全然思い出せないレベルだった。
テンションが上がった勢いをそのままに、現伯爵の父上に次期当主にならないことを告げた。そこに行きつくまでに、長い時間をかけてダメ息子を演じていたゆえに、あっさりと許しをもらえたのは、本当にラッキーだと言える。
そんな話し合いを終えて、寝室にてカールとふたりきりでいる現状に、緊張しないほうがおかしい。なんとか落ち着くために、大きなため息を吐いた。
「アンドレア様、お疲れでございますよね? ぐっすりお休みいただけるように、カモミールティーをご用意いたします」
時刻は午前零時を回っている。今年は記念べき俺の20回目の誕生日ということで、来賓が多かった。きっとカールだって、相当疲れているだろう。
「なぁカール、今年の誕生日プレゼントなんだが」
平静を装って話しかけたが、どうしても緊張感が隠しきれずに、声が震えてしまった。
「はい、どのような品をご所望でしょうか?」
カールは俺に背を向けたまま、ティーポットから紅茶を丁寧に注ぐ。
自分が獲物になっているのも知らずに、いつもと変わらない態度を貫く、カールの肩を叩いた。すると紅茶を注いでいる手を一旦止めて、なんだろうという雰囲気をそのままに振り返って、俺を見上げる。
「アンドレア様?」
カールと視線が絡んだだけなのに、躰が熱くなる。我慢できなくなるくらいに、カールが欲しくなり、彼が手にしているティーポットを手から無理やり外し、強引に振り向かせて、ぎゅっと抱きしめた。
「今年の誕生日プレゼントはカール、おまえがほしい」
やっと捕まえることができたと思ったら、抱きしめる腕の力の加減ができない。
「は?」
「おまえがずっと好きだった。10年前に、はじめて逢ったときから」
逃がさない勢いで、カールを抱きしめる腕にさらに力がこもった。
「俺を意識してほしくて子供の頃は、わざと困らせることばかりしたんだ。いたずらばかりしてしまった俺を許してほしい」
すると俺の力に抗うように、カールは目の前にある俺の胸を強く押して、距離をあけた。
「アンドレア様に、私をプレゼントすることは叶いません」
「カール?」
カールは俯いたまま、普段聞いたことのない低い声で返事をする。
「私のことはさっさと諦めて、結婚相手を早く見つけてください。伯爵様もそれを望んでいらっしゃいます」
(――今さら、なにを言い出すんだコイツは!)
「カール、俺が好きなクセに、どうしてそんなことが言えるんだ」
「好きではございません。勘違いも甚だしい……」
肩を竦めて、おかしくないのに無理やり笑うカールに、俺は苛立ちを覚えた。
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