34 / 36
番外編 運命の人
22
しおりを挟む
♡♡♡
目を閉じて待っていると、扉の開閉する音を耳が捉えた。
「失礼いたします、ただいま戻りました」
きっと顔を向けないほうが喋りやすいと気を遣い、ベッドに横たわったまま、カールにいっさい目を合わせず、天井を見て口を開く。
「おかえり。それでは早速カールの過去の気持ちについて、詳しく語ってもらおうか」
「ううっ、はい。なんでも聞いてください……」
声色から、未だに吐露したくない感じが滲み出ているのを知る。
(本来は俺が虐められる役なのに、ずっとカールのことを虐めているような――)
「カール様はこれから、古城の主のなる身なんですよ。もっとしゃんとしてください」
いつも俺に小言を告げる、カールの口調を真似てやった。
「そうですね、しっかりしなければなりません」
天井からカールに視線を移す。しょんぼりした面持ちで肩を落としてる様子を、早急になんとかしなければと考えた。
「カール、とりあえず命令その1、鍵をかけてこい」
「はい、かしこまりました」
いつもなら反論する場面だったが、今回のやらかしのおかげで、俺の命令を素直に受け入れたらしい。すぐに踵を返し、鍵をかけてベッドの傍らに戻ってくる。
「命令その2、この中に入れ」
大きく布団を捲りあげ、中に入るように促した。途端に目の前で顔を曇らせる。
「そんな――」
「安心しろ。変なことはしない。ただ抱きしめるだけ」
口ではそう言ったが、簡単に流されるカールを知ってしまったゆえの密着作戦。両片想いから正式に恋人になったんだから、これくらいしてもいいと思うんだ。
「わかりました。失礼いたします」
丁寧に靴を脱ぎ、腰を屈めて布団の中に入り込んだ躰を、後ろから抱きしめた。首元に顔を寄せ、チュッとキスを落とす。
「ンンっ」
カールの香りを感じただけで、下半身がさらに硬くなってしまう。
「あの……アンドレア様のモノが大きいままでいらっしゃるのは、おつらくないのですか?」
「つらくないと言ったら嘘になるが」
「私の口で――」
俺に振り返りながら物欲しそうな瞳で見つめられたせいで、理性がグラつきそうになり、慌てて目を閉じる。
「おまえの口は、今そんなことに使わない。過去のことを言うように。誤魔化されないんだからな!」
カールが俺の躰におこなって、気持ちよかったことを率先してやろうとしたのを無にすべく、苦言を呈してやる。
「まったく。強情な方ですね」
「どっちがだよ!」
笑いながらカールの下半身に大きいのを押しつけ、激しくグラインドしてやった。
「わっ! 待ってくださいっ」
「これも意外と気持ちいいな。カールの尻が思ったより筋肉質で、反発するせいか」
「そんなことをされたら、またっ!」
「ひとりでイっちゃうのか? それは寂しいな」
どこも感じやすいカールにとって、ちょっとした刺激すらも快感に繋がってしまうのだろう。
目を閉じて待っていると、扉の開閉する音を耳が捉えた。
「失礼いたします、ただいま戻りました」
きっと顔を向けないほうが喋りやすいと気を遣い、ベッドに横たわったまま、カールにいっさい目を合わせず、天井を見て口を開く。
「おかえり。それでは早速カールの過去の気持ちについて、詳しく語ってもらおうか」
「ううっ、はい。なんでも聞いてください……」
声色から、未だに吐露したくない感じが滲み出ているのを知る。
(本来は俺が虐められる役なのに、ずっとカールのことを虐めているような――)
「カール様はこれから、古城の主のなる身なんですよ。もっとしゃんとしてください」
いつも俺に小言を告げる、カールの口調を真似てやった。
「そうですね、しっかりしなければなりません」
天井からカールに視線を移す。しょんぼりした面持ちで肩を落としてる様子を、早急になんとかしなければと考えた。
「カール、とりあえず命令その1、鍵をかけてこい」
「はい、かしこまりました」
いつもなら反論する場面だったが、今回のやらかしのおかげで、俺の命令を素直に受け入れたらしい。すぐに踵を返し、鍵をかけてベッドの傍らに戻ってくる。
「命令その2、この中に入れ」
大きく布団を捲りあげ、中に入るように促した。途端に目の前で顔を曇らせる。
「そんな――」
「安心しろ。変なことはしない。ただ抱きしめるだけ」
口ではそう言ったが、簡単に流されるカールを知ってしまったゆえの密着作戦。両片想いから正式に恋人になったんだから、これくらいしてもいいと思うんだ。
「わかりました。失礼いたします」
丁寧に靴を脱ぎ、腰を屈めて布団の中に入り込んだ躰を、後ろから抱きしめた。首元に顔を寄せ、チュッとキスを落とす。
「ンンっ」
カールの香りを感じただけで、下半身がさらに硬くなってしまう。
「あの……アンドレア様のモノが大きいままでいらっしゃるのは、おつらくないのですか?」
「つらくないと言ったら嘘になるが」
「私の口で――」
俺に振り返りながら物欲しそうな瞳で見つめられたせいで、理性がグラつきそうになり、慌てて目を閉じる。
「おまえの口は、今そんなことに使わない。過去のことを言うように。誤魔化されないんだからな!」
カールが俺の躰におこなって、気持ちよかったことを率先してやろうとしたのを無にすべく、苦言を呈してやる。
「まったく。強情な方ですね」
「どっちがだよ!」
笑いながらカールの下半身に大きいのを押しつけ、激しくグラインドしてやった。
「わっ! 待ってくださいっ」
「これも意外と気持ちいいな。カールの尻が思ったより筋肉質で、反発するせいか」
「そんなことをされたら、またっ!」
「ひとりでイっちゃうのか? それは寂しいな」
どこも感じやすいカールにとって、ちょっとした刺激すらも快感に繋がってしまうのだろう。
0
あなたにおすすめの小説
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
《完結》僕が天使になるまで
MITARASI_
BL
命が尽きると知った遥は、恋人・翔太には秘密を抱えたまま「別れ」を選ぶ。
それは翔太の未来を守るため――。
料理のレシピ、小さなメモ、親友に託した願い。
遥が残した“天使の贈り物”の数々は、翔太の心を深く揺さぶり、やがて彼を未来へと導いていく。
涙と希望が交差する、切なくも温かい愛の物語。
完結|好きから一番遠いはずだった
七角@書籍化進行中!
BL
大学生の石田陽は、石ころみたいな自分に自信がない。酒の力を借りて恋愛のきっかけをつかもうと意気込む。
しかしサークル歴代最高イケメン・星川叶斗が邪魔してくる。恋愛なんて簡単そうなこの後輩、ずるいし、好きじゃない。
なのにあれこれ世話を焼かれる。いや利用されてるだけだ。恋愛相手として最も遠い後輩に、勘違いしない。
…はずだった。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる