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第二章:ひび割れる仮面
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月曜の朝、いつもと変わらない通学路。自宅から出るのが5分だけ遅くなったので、アスファルトに落ちている紅葉を踏みしめながら、急いで学校に向かう。教室の扉を開けた瞬間、妙なざわめきが広がっているのがすぐにわかった。妙に浮き足立った空気――その理由は、すぐに見えた。
廊下の奥から、金髪の頭がのっしのっしとこちらへ進んでくる。
「おーっす! みんな元気にしてたか!」
榎本虎太郎。停学を終えて、まるで何事もなかったかのように――いや、むしろさらに存在感を増して戻ってきた。
一瞬、教室が水を打ったように静まり返るが、次の瞬間、歓声とも拍手ともつかない声が一斉に沸き上がった。
「虎太郎ー! お前、やっぱ伝説だわ!」
「アルファ相手に全勝とか、どんな怪物だよ!」
「停学明け早々に、そのテンションかよ!」
榎本はその声の渦の中で、豪快に笑いながら仲間の肩をばんばん叩いていく。その場の空気が、彼を中心に一気に塗り替えられていくのがわかった。
(まったく……本当に場を変える男だな)
机に視線を落としながら、心の奥が僅かにざわつく。
そんな俺の内心を知ってか知らずか、榎本がこっちへ向かってくる足音が、はっきりと聞こえた。そしていつものように、俺の机の前に腰を下ろす。
「よっ、委員長。ノートありがとな。すっげぇ助かった」
屈託のない笑顔で、当たり前のように礼を言うその顔。俺は返事をするべきなのに、喉の奥が固まって声が出なかった。
やっと絞り出した言葉は――。
「少しは静かにしろ、規律を乱すな」
我ながらつまらない返しだと思った。けれど榎本は、まるでそれすら計算に入っているように、にやりと笑う。
「そんくらいわかってるって。でもさ……俺がいねぇ間は静かすぎて、退屈だったろ?」
冗談めかして放たれた一言。心臓が不意に跳ねた。俺の内側を見透かされたようで、否応なしに息が詰まる。
「……くだらない」
視線を逸らしながら、短くそう返すしかなかった。榎本の笑い声が背後に残る。それがなぜか妙に心地よく、耳の奥に残り続けていた。
廊下の奥から、金髪の頭がのっしのっしとこちらへ進んでくる。
「おーっす! みんな元気にしてたか!」
榎本虎太郎。停学を終えて、まるで何事もなかったかのように――いや、むしろさらに存在感を増して戻ってきた。
一瞬、教室が水を打ったように静まり返るが、次の瞬間、歓声とも拍手ともつかない声が一斉に沸き上がった。
「虎太郎ー! お前、やっぱ伝説だわ!」
「アルファ相手に全勝とか、どんな怪物だよ!」
「停学明け早々に、そのテンションかよ!」
榎本はその声の渦の中で、豪快に笑いながら仲間の肩をばんばん叩いていく。その場の空気が、彼を中心に一気に塗り替えられていくのがわかった。
(まったく……本当に場を変える男だな)
机に視線を落としながら、心の奥が僅かにざわつく。
そんな俺の内心を知ってか知らずか、榎本がこっちへ向かってくる足音が、はっきりと聞こえた。そしていつものように、俺の机の前に腰を下ろす。
「よっ、委員長。ノートありがとな。すっげぇ助かった」
屈託のない笑顔で、当たり前のように礼を言うその顔。俺は返事をするべきなのに、喉の奥が固まって声が出なかった。
やっと絞り出した言葉は――。
「少しは静かにしろ、規律を乱すな」
我ながらつまらない返しだと思った。けれど榎本は、まるでそれすら計算に入っているように、にやりと笑う。
「そんくらいわかってるって。でもさ……俺がいねぇ間は静かすぎて、退屈だったろ?」
冗談めかして放たれた一言。心臓が不意に跳ねた。俺の内側を見透かされたようで、否応なしに息が詰まる。
「……くだらない」
視線を逸らしながら、短くそう返すしかなかった。榎本の笑い声が背後に残る。それがなぜか妙に心地よく、耳の奥に残り続けていた。
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