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煌めくルビーに魅せられて番外編 吸血鬼の執愛
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それから一時間後、俺はベンチに腰かけ、息を切らしながら瑞稀が乗っているジェットコースターを見上げていた。
「マサさん、次はあれに乗りましょうよ!」
弾んだ声に導かれて、言われるままにいろんなアトラクションに乗ったのだが、なぜか昔のように楽しめない。真正面からぶつかってくる風圧や体にかかる引力など、地味に体力が奪われていく。
「俺はここで少し休んでいるから、気にせず好きなアトラクションに乗ってきたらいい」
足取りが重くなる前に、先手必勝で休むことを告げ、手を振って瑞稀を見送った。
(――これがアラサーの体力なんだな。地味にショック……)
心底げんなりしながらリュックに入れてる水筒を取り出そうと、中を開けてみる。
「え?」
水筒が2本入っていて、ひとつになにかメモがつけられていた。不思議に思って、それを引っ張り出す。
『マサさん用のアイスコーヒー ガムシロとミルクはリュックのポケット』
しげしげとそれを眺め倒してから、ブラックでいただくべく、アイスコーヒーを飲んでみた。
「……美味い。俺の好きな味だ」
瑞稀に好きな物を告げたことはない。互いにこれから知っていけばいいかと、会話の足しにとっておいたところもある。それなのにこうしてサプライズされると、もっともっと瑞稀のことが好きになってしまうじゃないか。
「俺の正体を知っていても、普通に接してくれるだけで、ありがたみを感じるな」
疲れた躰に染み渡る、アイスコーヒーの苦みを堪能していたら、目の前に人が現れた。
「あのぅ、すみません」
「はい、なんでしょうか?」
見知らぬ若い女性がふたり、意味深な視線を注ぎながら俺を見下ろす。
「お兄さんはひとりで、ここに遊びに来てるんですか?」
「いえ、連れがいますが」
「彼女さんですか?」
「……連れは男性です」
すぐに逆ナンだと察知したものの、面倒くささも手伝って、言葉がうまくでなかった。どうやってお断りしようか戸惑っている最中に、横から声がかけられる。
「マサさんっ、お待たせしました!」
爽やかな笑顔を振りまいて登場する瑞稀を見たふたりの女性たちは「ちょうどよくない?」なんて、コソコソ打合せしはじめた。
俺の目の前を陣取るふたりの女性を見た瑞稀は、小首を傾げて口を開く。
「どうしたんですか?」
「ねぇねぇお互いふたり同士だし、一緒にまわらない?」
俺が返事をする前に、先に口火を切った女性。これにより俺がナンパされていたことを、瑞稀は悟っただろう。
「あのさ――」
女性に言葉をかけながら、ベンチから腰をあげた俺の前に、女性との距離をとらせるように、瑞稀が立ちはだかった。
「すみません、俺たちふたりでまわりたいんです。そういう仲なんで」
はっきりと恋人宣言した瑞稀の背中を、頼もしいと思いつつ、じっと眺めてしまった。
「そういう仲って、もしかしてアレ?」
女性たちが俺の顔と瑞稀の顔を交互に見つめて、わざわざ質問する。俺は迷うことなく背後から瑞稀の上半身に腕を回し、頭の上に顎をのせて、仲のいいところをアピールしてやった。
「そういうことなんで、早くふたりきりにしてくれると助かります」
するとバツの悪そうな表情を浮かべて、脱兎のごとく目の前から去って行った。
それから一時間後、俺はベンチに腰かけ、息を切らしながら瑞稀が乗っているジェットコースターを見上げていた。
「マサさん、次はあれに乗りましょうよ!」
弾んだ声に導かれて、言われるままにいろんなアトラクションに乗ったのだが、なぜか昔のように楽しめない。真正面からぶつかってくる風圧や体にかかる引力など、地味に体力が奪われていく。
「俺はここで少し休んでいるから、気にせず好きなアトラクションに乗ってきたらいい」
足取りが重くなる前に、先手必勝で休むことを告げ、手を振って瑞稀を見送った。
(――これがアラサーの体力なんだな。地味にショック……)
心底げんなりしながらリュックに入れてる水筒を取り出そうと、中を開けてみる。
「え?」
水筒が2本入っていて、ひとつになにかメモがつけられていた。不思議に思って、それを引っ張り出す。
『マサさん用のアイスコーヒー ガムシロとミルクはリュックのポケット』
しげしげとそれを眺め倒してから、ブラックでいただくべく、アイスコーヒーを飲んでみた。
「……美味い。俺の好きな味だ」
瑞稀に好きな物を告げたことはない。互いにこれから知っていけばいいかと、会話の足しにとっておいたところもある。それなのにこうしてサプライズされると、もっともっと瑞稀のことが好きになってしまうじゃないか。
「俺の正体を知っていても、普通に接してくれるだけで、ありがたみを感じるな」
疲れた躰に染み渡る、アイスコーヒーの苦みを堪能していたら、目の前に人が現れた。
「あのぅ、すみません」
「はい、なんでしょうか?」
見知らぬ若い女性がふたり、意味深な視線を注ぎながら俺を見下ろす。
「お兄さんはひとりで、ここに遊びに来てるんですか?」
「いえ、連れがいますが」
「彼女さんですか?」
「……連れは男性です」
すぐに逆ナンだと察知したものの、面倒くささも手伝って、言葉がうまくでなかった。どうやってお断りしようか戸惑っている最中に、横から声がかけられる。
「マサさんっ、お待たせしました!」
爽やかな笑顔を振りまいて登場する瑞稀を見たふたりの女性たちは「ちょうどよくない?」なんて、コソコソ打合せしはじめた。
俺の目の前を陣取るふたりの女性を見た瑞稀は、小首を傾げて口を開く。
「どうしたんですか?」
「ねぇねぇお互いふたり同士だし、一緒にまわらない?」
俺が返事をする前に、先に口火を切った女性。これにより俺がナンパされていたことを、瑞稀は悟っただろう。
「あのさ――」
女性に言葉をかけながら、ベンチから腰をあげた俺の前に、女性との距離をとらせるように、瑞稀が立ちはだかった。
「すみません、俺たちふたりでまわりたいんです。そういう仲なんで」
はっきりと恋人宣言した瑞稀の背中を、頼もしいと思いつつ、じっと眺めてしまった。
「そういう仲って、もしかしてアレ?」
女性たちが俺の顔と瑞稀の顔を交互に見つめて、わざわざ質問する。俺は迷うことなく背後から瑞稀の上半身に腕を回し、頭の上に顎をのせて、仲のいいところをアピールしてやった。
「そういうことなんで、早くふたりきりにしてくれると助かります」
するとバツの悪そうな表情を浮かべて、脱兎のごとく目の前から去って行った。
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