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第2章:感じるキモチ

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「ケンジお兄ちゃん、早く……」

 胸の柔らかさをさらに強調すべく、谷間に腕を挟み込みながら引っ張って、強引に布団の中へと誘う。

「綾香ちゃん、俺は」

 ケンジさんが触れているのは、私の胸の谷間に挟んでる腕のみ――ここで焦って距離をつめると、逃げてしまう恐れがある。やっと布団に腰を下ろしたというのに、未だに狼狽えるケンジさんを促そうと、細かく聞いていた内容から、有り得そうな言葉を口にする。

「ケンジお兄ちゃんが見た男の人。あの人はお兄ちゃんの代わりだったの」

「俺の代わり?」

「そう……。私から年上のケンジお兄ちゃんにアプローチするには、すごくすごく勇気が必要でしょ。どうしても自分からできなかったんだ」

「綾香ちゃん……」

「だから私に告白してきたその男の人を、ケンジお兄ちゃんの身代わりにしちゃった。ごめんね」

「謝らないで、もういいから!」

 気がついたら、ケンジさんの腕の中に躰が包まれていた。素肌から伝わるぬくもりを感じただけで、これから抱かれるんだというテンションが自然と跳ねあがっていく。

「綾香ちゃん、もう身代わりなんて必要ない。これからは俺だけを見て」

 寄せられるケンジさんの顔を見ながら、ゆっくり瞳を閉じた。次の瞬間に触れた唇。触れるだけのキスが、深いものへと変わっていく。

「ンンっ、あぁっ……」

 鼻から抜けるような甘い声をあげると、触れていた唇が外された。

「ケンジさん、もっと……」

「もっと?」

「これからひとつになって、私はケンジさんのものになるんだから、もうお兄ちゃんは卒業だよね?」

 私の両肩に置いてるケンジさんの手が、ほんのわずかに震えた。緊張感を示すそれに、自分がリードしなければと悟る。

「ケンジさんの身代わりにした男の人を消してほしいの。ケンジさんの全部がほしい……」

 ケンジさんの首に両腕をかけてぐいっと引っ張りつつ、私は布団の上に横になった。その衝撃で躰に巻いてるタオルがゆるりと外れ、うまい具合に片方の胸が露になる。目ざとくそれを目にしたケンジさんは、迷うことなく食らいついた。

 口の中で転がされるモノの気持ちよさに身をまかせながら、快楽の海にふたりで溺れていったのだった。
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