欲しがり男はこの世のすべてを所望する!

相沢蒼依

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act:溺愛

4

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「ははっ! 何言ってくれちゃってんの? 俺が好きなのはリコちゃんだけなんだ。他のヤツと付き合うがわけないでしょ。離してよ!」
「稜が俺を、好きになってくれるまで――」

 理子さんを見る目で、俺を見て欲しい。君が求めてくるように、今この手で抱いてやろう。俺なしではいられなくしてあげる。

 尚も抵抗を続ける稜のネクタイを何とか外し、それを使って両腕をグルグル巻きにした。そしてワイシャツの引き裂くようにビリビリと脱がし、スラックスも下着と一緒に剥ぎ取る。

 真っ暗闇の部屋の中、ベランダの窓から差し込む月明かりが彼の白い肌を、ぼんやりと浮かび上がらせた。

 夢の中で犯しまくった躰が目の前にあることに、喜びに満ち震える。迷うことなく艶やかなな肌へと、舌を這わせながら貪った。

「あっ、や、やぁ……うっ、克巳さんっ、やめてって!」

 やめてと言いながらも、しっかり感じている稜。責め立てた胸の尖りはしっかり勃っていて、露わになった下半身も既に形を変えていた。

「枕営業してきたと言ったが、相手はやっぱり業界の人なのか?」
「な、んで?」

 一旦顔を上げ、稜を見つめる。いつもは強い光を放つ瞳が、どこか困ったようにゆらゆらと揺れていた。困惑に満ちた、瞳の理由はなんだろうか?

「だって、きちんと守られているから。仕事の関係でキスマークをつけちゃ駄目って、しつこく言ってただろう?」

 そんな困った顔を窺いながら、そっと下半身に手を伸ばす。それは今にも爆ぜそうなくらい、熱く膨らんでいて――。

「稜……イヤだと言いながらも、しっかりと感じているんだね。もうこんなになってる」

 言い終えない内に迷うことなく彼のモノを口に含み、唾液を滴らせながら、上下に激しくスライドしてやった。

「ああぁぁっ! やだ! ああぁんっ、やめてえぇ!!」

 首をイヤイヤしながらも、何故か腰を上下に浮かせる。もしかして、さっきの行為の余韻が、躰に残っているのだろうか。

「ふぁ……ぁ、ん……、うっ」

 悔しそうな表情を浮かべつつ、きゅっと下唇を噛みしめて、されるがままになっている姿に、俺自身も堪らなくなっていく。激しく責め立てながら、口の中で感じるモノがどんどん大きくなるのを察し、程よいタイミングで、すっと抜き去った。

「ああぁ、ぁ……あぁ……、んっ、くっ!」

 そしてまた口に含んでの愛撫を、何度も繰り返してやる。ここ数日間、俺が味わった苦しみを彼にも知ってほしかったから。

「なぁ稜……イきたいのか?」

 わざとらしく、耳元で囁いてみた。その途端、潤んだ目を見開き、懇願するように俺の顔をじっと見つめる。

「くっ、――イきたい……」

 ひどく掠れた声で呟いた。さっきからずっと、苦しそうに喘いでいたせいか。

 散々焦らされた躰は、反抗的だった態度を変え、泣き出してしまいそうな表情になっていた。そんなにイきたいというのなら、大好きな君のその期待に、是非とも応えてやろうじゃないか。

「稜はココの他にも、感じるトコがあっただろう?」

 吐息を吹きかけながら囁くと、喉をごくりと鳴らした。その艶かしさに、口元が緩んでしまうよ。

(俺の手で彼を淫らに、とことん感じさせてあげたい――)

 そう思いながら感じるその部分に指を挿れて、ここぞとばかりに擦りあげてみた。

「アっ、ふぁ、あっ!! ソッコ……! あぁん!」

 口からヨダレをたらし、快感に身を任せ必死にもがき倒す姿に、躰が否応なしに熱くなっていく。

「稜、どうしてココがこんなに濡れて、ぐちゃぐちゃになっているんだ?」

 思わず、困らせるようなことを言ってしまうのは、心も躰も全部、ぎりぎりまで追い詰めてやりたかったから。大好きな君が俺の手によって、乱れる姿が見たい。

「そっ、そんな、だって――」

 眉根をきつく寄せ、上手く答えられない彼に、更に追い討ちをかけてやる。

「何度抱かれたんだ? こんなにイヤラしくここをヒクつかせるなんて、ソイツじゃ満足出来なかったんじゃないのか?」
「んッ、ああああああっ! そこやだッ、なんか変!! あぁあ! もう出ちゃう!」
「変というなら、止めてあげる」

 稜の悲鳴に近い声を聞き、感じる部分からあっさりと指を抜いた。

「お願い……っ、出したい! イきたい!! きっと好きになるから……。出させて! 克巳さんの好きにしていいから!!」

 すると涙をぼろぼろ溢しながら俺の顔を見て、喘ぐように頼み込んできたじゃないか。

(――その言葉を待っていた)

「いいコだね稜。これは契約だよ、君の躰に刻み込んであげる」

 快感を欲している部分に、最初はゆっくりと――。途中で一気に熱い杭を打ち込んでやった。

「ひゃぁっ……ふぁぁっ! あぁあ!!」

 感嘆の声をあげて自ら腰を激しく動かす姿に、ほくそ笑みを浮かべてしまう。

 稜の躰は、俺自身を待っていた待っていましたと言わんばかりに、これでもかと求めてきた。弓のようにしなる腰を持ち上げたら、ぎゅぅっと締めあげてくる。

「キツっ……くっ!」
「お願いぃっ、もっと、もっとぉ……んっ」
「ここじゃなく、もっと奥を突いてほしいのか?」

 声を出すのも辛いのか両足を腰に絡ませながら、首を何度も縦に振った。漆黒の長い髪を振り乱し、瞳を潤ませる姿を、瞼の裏に焼き付ける。いつでも思い出せるように――。

「そんな顔して、お願いされたんじゃ断れないな。じゃあ気持ちいいトコ、たくさん突いてあげるよ」

 もっと俺を求めてほしい、俺だけに感じてるその顔を見せてほしい。

 彼の願い通り奥の方を突きまくると、腕に爪を立ててしがみついてきた。

「んっ、ひゃっ、あっイ……っくっ! やぁあっぁ! あぁああぁっ!!」

 薄い胸を何度か上下させ痙攣しながら欲を吐き出し、ふっと意識を失う。慌てて上半身を抱き上げ、頬に触れてみた。

「稜っ、稜、大丈夫か?」
「うっ……ん……。ぅ」

 薄っすらと目を開けたが焦点が合っていなくて、ふらふらと彷徨っている感じだ。

「そんなに、俺のが良かった?」
「っ……、ンンっ、克巳さ……」

 長い睫を揺らし、何かを言おうとした稜の唇を塞ぐ。

 何故だろうか、彼が愛おしくて堪らない。ずっと繋がっていたい、俺に縛りつけて離してやらない、絶対に――。

 禁忌を破るべく、稜の白い肌のあちこちに痕をつけた。己の印だと、彼に思い知らせてやりたかったから。

「稜、君の中はどこまでもあたたかくて、とろけそうだよ。出来ることなら溶けてしまえばいいのにな。そうすればずっと、一緒にいることが出来るのに……」

 両肩を掴み躰が逃げないように固定して、自ら腰を激しく上下させ、脱力しきった中に欲を放った。

「イったあとなのに、まだ足りない……君の全部が欲しいからだろう。本当に欲張りだよな」

 どんなに抱いても、稜の心は手に入らないと分かっているけど、それでも抱かずにはいられない。

「以前友人に言われた、お前のような堅物は、恋に溺れると身を滅ぼすタイプだという台詞が、頭の中でリピートしているよ。でもどんな恋をしても冷静でいられたというのに、君に関しては違うみたいだ。実らないと思うからこそ、夢中になってしまうのかな」

 しくしくとした胸の痛みを感じながら、ぐったりとした稜の躰をぎゅっと抱きしめた。この躰だけじゃなく、心も欲しいと思いながら――。
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