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第一章「絶倫王」
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時はさかのぼり、さらに一昔前。
皇帝みずから部隊を鼓舞するべく、愛馬に乗って陣中を見舞ったアクセル一世は、齢四十過ぎの若さで急逝した。
死因は流行り病だったという。
事の真相はともかくとして、世間は暗殺を疑った。なぜなら皇帝の崩御に際して、正統な後継者でない娘婿が立ち会ったからだ。
当時、皇后ネラとともに帝都エルドランドの宮殿に居していた皇太子アクセル二世は、喪主として葬儀を執り行うべく棺の返還を求めた。
ところが、皇帝暗殺の疑いをかけられた娘婿オルスター卿は、冤罪を恐れて遺体を燃やしてしまう。
さらに評議会から罷免されて軍の指揮権を失ったことをきっかけに、新皇帝を称して反乱を起こす。
暴君ダリオンはこの時、東方遠征に際してわずかばかりの手勢を率いる武将の一人に過ぎなかった。
ダリオン自身、東国に割拠する弱小豪族の出身だ。もともと戦乱に乗じて領内を荒らし回る盗賊まがいの傭兵だったが、皇帝アクセル一世から騎士に叙されて忠誠を誓ったとも言われている。
皇帝アクセル一世の予期せぬ崩御により東方への遠征が中止となり、帝国各地から馳せ参じた諸侯たちが陣を引き払って帰途につく最中。
今は亡き皇帝アクセル一世の息子である皇太子アクセル二世から、ただちに北方へおもむいて反乱軍を討伐せよとの命令がくだる。
雪中を強行して北方へ向かう道すがら、王家の御旗を掲げて農奴をつのったダリオンは、連戦連勝を重ねて見事オルスター卿を討ち取った。
さらに降伏した残党を味方に加えて、およそ三万の軍勢を率いる大将軍となったダリオンは、すぐさま馬を取って返して帝都エルドランドへ凱旋する。
事ここに至って皇太子アクセル二世は、ダリオン将軍を天下に仇なす逆賊と見なし、城門を固く閉ざして部隊を解散するように命じる。
皇帝みずから部隊を鼓舞するべく、愛馬に乗って陣中を見舞ったアクセル一世は、齢四十過ぎの若さで急逝した。
死因は流行り病だったという。
事の真相はともかくとして、世間は暗殺を疑った。なぜなら皇帝の崩御に際して、正統な後継者でない娘婿が立ち会ったからだ。
当時、皇后ネラとともに帝都エルドランドの宮殿に居していた皇太子アクセル二世は、喪主として葬儀を執り行うべく棺の返還を求めた。
ところが、皇帝暗殺の疑いをかけられた娘婿オルスター卿は、冤罪を恐れて遺体を燃やしてしまう。
さらに評議会から罷免されて軍の指揮権を失ったことをきっかけに、新皇帝を称して反乱を起こす。
暴君ダリオンはこの時、東方遠征に際してわずかばかりの手勢を率いる武将の一人に過ぎなかった。
ダリオン自身、東国に割拠する弱小豪族の出身だ。もともと戦乱に乗じて領内を荒らし回る盗賊まがいの傭兵だったが、皇帝アクセル一世から騎士に叙されて忠誠を誓ったとも言われている。
皇帝アクセル一世の予期せぬ崩御により東方への遠征が中止となり、帝国各地から馳せ参じた諸侯たちが陣を引き払って帰途につく最中。
今は亡き皇帝アクセル一世の息子である皇太子アクセル二世から、ただちに北方へおもむいて反乱軍を討伐せよとの命令がくだる。
雪中を強行して北方へ向かう道すがら、王家の御旗を掲げて農奴をつのったダリオンは、連戦連勝を重ねて見事オルスター卿を討ち取った。
さらに降伏した残党を味方に加えて、およそ三万の軍勢を率いる大将軍となったダリオンは、すぐさま馬を取って返して帝都エルドランドへ凱旋する。
事ここに至って皇太子アクセル二世は、ダリオン将軍を天下に仇なす逆賊と見なし、城門を固く閉ざして部隊を解散するように命じる。
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