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第1章 魔法陣を抜けると、異世界であった
4. 婚約者と遭遇
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「着きましたよ。お嬢様」
運転手に言われ、ゆっくりと馬車から降りた。
目の前にそびえ立つのは、赤レンガ造りの建物。門には繊細な細工が施してあり、ところどころステンドグラの窓が見える。
エリーズは緊張しながら、門に向かって歩いた。異世界転生してからの十年で若干の貴族社会には慣れたつもりだったが、これはまだまだ序の口なのかもしれない。
門の前の往来を歩く生徒達は皆一様に白いジャケットを羽織っていて、女子はそれに白いスカート、白いシャツ姿だ。男子はそれのズボンバージョン。
(これが噂のフィエルテ学園か……)
何だか異様の光景に怖気付いていると、ふと肩が叩かれた。
「エリーズ、久しぶり」
少し低めの声に、振り返る。
「アラン!」
彼もこの学校に、二ヶ月ほど前から通っている。
爽やかな微笑みを浮かべる彼に、王子様みたいだなぁ、と見とれた。いや、王子なんだけれども。
エリーズは前世と合わせて二十六年生きていることになるが、いつになっても、女はイケメンに心がときめく生き物なのである。
「そっか、まだ制服じゃないんだな」
アランが少し残念そうに言った。
確かに、エリーズはまだ制服ではない。今月は四大名家の長女として、パーティーに参加するだの、食事会に出向くだの、よく分からない仕事が大量に入っていて忙しく、制服の採寸に学校に向かう暇すらなかったのだ。
そのため今日は私服のドレスで学校に来ていて、そのせいで周りからは浮きに浮きまくっている。
入学式が終わったあと、世界一の魔法士と謳われるアレクサンドルに魔法でピッタリの制服を作ってもらう予定だった。
「えぇ、そうなの。ここの制服とても素敵だから、すごく楽しみだわ」
素敵だから、というよりも、周囲に浮いているこの状況をどうにかしたい、という思いの方が強かったのだが、そこは心の中に秘めておいた。
王子の前では、できるだけ猫を被ること、小さい頃から言い聞かせられている事だ。婚約破棄はされたくないからね。
「エリーズは凄く似合うだろうね」
にっこりと輝く王子スマイルに、内心鼻血をダバダバ出しながら、エリーズは仏の笑みでありがとう、とお礼を言った。
さすがに十年近くの付き合いだ。慣れたものである。これが他の女子達ならそうはいかなかっただろう。きっと思考が遥か彼方へ飛びたっていくか、下手したら気を失うかしていたはずである。
「そういえば今日の入学式は二人なんだっけ?」
アランが尋ねた。
ここの入学式は風変わりだ。というのも、高等部から編入してくる貴族の子女達がいるものだから、その子達のために、一人や二人での入学式が開催されるのである。
普通に進学してきた場合、千鶴の前世の世界ーー日本と同じように十五歳くらいの四月上旬に入学式が行われるのだが、編入してきたとなるとそうはいかない。十六歳の誕生日の次の日から、通い出すことになるからである。
そのためそんな子達のために、数人での入学式が行われるというわけ。といっても、そんなにこの方法で入学してくる生徒はいないため、ほとんどそんな入学式が開催されることはない。ちなみに、アランもそうやって入学してきた口だ。
「えぇ、そうね。もう一人の子も女の子だと聞いているわ」
「そうか。仲良くできるといいな」
またもや王子スマイルをかましてきたアランににっこりと笑い返した。
(でもたぶんその女がリルなのよね。仲良くは……できないだろうなぁ。知らないけど)
腹黒い影は、きっとアランには見えていない、と願いたい。
運転手に言われ、ゆっくりと馬車から降りた。
目の前にそびえ立つのは、赤レンガ造りの建物。門には繊細な細工が施してあり、ところどころステンドグラの窓が見える。
エリーズは緊張しながら、門に向かって歩いた。異世界転生してからの十年で若干の貴族社会には慣れたつもりだったが、これはまだまだ序の口なのかもしれない。
門の前の往来を歩く生徒達は皆一様に白いジャケットを羽織っていて、女子はそれに白いスカート、白いシャツ姿だ。男子はそれのズボンバージョン。
(これが噂のフィエルテ学園か……)
何だか異様の光景に怖気付いていると、ふと肩が叩かれた。
「エリーズ、久しぶり」
少し低めの声に、振り返る。
「アラン!」
彼もこの学校に、二ヶ月ほど前から通っている。
爽やかな微笑みを浮かべる彼に、王子様みたいだなぁ、と見とれた。いや、王子なんだけれども。
エリーズは前世と合わせて二十六年生きていることになるが、いつになっても、女はイケメンに心がときめく生き物なのである。
「そっか、まだ制服じゃないんだな」
アランが少し残念そうに言った。
確かに、エリーズはまだ制服ではない。今月は四大名家の長女として、パーティーに参加するだの、食事会に出向くだの、よく分からない仕事が大量に入っていて忙しく、制服の採寸に学校に向かう暇すらなかったのだ。
そのため今日は私服のドレスで学校に来ていて、そのせいで周りからは浮きに浮きまくっている。
入学式が終わったあと、世界一の魔法士と謳われるアレクサンドルに魔法でピッタリの制服を作ってもらう予定だった。
「えぇ、そうなの。ここの制服とても素敵だから、すごく楽しみだわ」
素敵だから、というよりも、周囲に浮いているこの状況をどうにかしたい、という思いの方が強かったのだが、そこは心の中に秘めておいた。
王子の前では、できるだけ猫を被ること、小さい頃から言い聞かせられている事だ。婚約破棄はされたくないからね。
「エリーズは凄く似合うだろうね」
にっこりと輝く王子スマイルに、内心鼻血をダバダバ出しながら、エリーズは仏の笑みでありがとう、とお礼を言った。
さすがに十年近くの付き合いだ。慣れたものである。これが他の女子達ならそうはいかなかっただろう。きっと思考が遥か彼方へ飛びたっていくか、下手したら気を失うかしていたはずである。
「そういえば今日の入学式は二人なんだっけ?」
アランが尋ねた。
ここの入学式は風変わりだ。というのも、高等部から編入してくる貴族の子女達がいるものだから、その子達のために、一人や二人での入学式が開催されるのである。
普通に進学してきた場合、千鶴の前世の世界ーー日本と同じように十五歳くらいの四月上旬に入学式が行われるのだが、編入してきたとなるとそうはいかない。十六歳の誕生日の次の日から、通い出すことになるからである。
そのためそんな子達のために、数人での入学式が行われるというわけ。といっても、そんなにこの方法で入学してくる生徒はいないため、ほとんどそんな入学式が開催されることはない。ちなみに、アランもそうやって入学してきた口だ。
「えぇ、そうね。もう一人の子も女の子だと聞いているわ」
「そうか。仲良くできるといいな」
またもや王子スマイルをかましてきたアランににっこりと笑い返した。
(でもたぶんその女がリルなのよね。仲良くは……できないだろうなぁ。知らないけど)
腹黒い影は、きっとアランには見えていない、と願いたい。
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