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第002話.異世界からの挑戦状
しおりを挟むザザザ……ザザザ……
ズッ……ズズッ……
10才の時に初めて「視えた」、ユーレイの人達以外の恐ろしいモノ。それは緑色の体の小鬼……何気に見たファンタジーの絵本に載ってた、ゴブリンってモンスター。
ゴブリンが円形の闇から出て来た時、ワタシは初めて見てしまったんです。ゴブリンが……ユーレイの人達を食してるのを!
あまりの恐怖にその悍ましい光景を最後まで見れず、その場で泣き崩れてしまいました。
ゲ……ゲケッ!?
その時に恐らく、ゴブリンと目と目が合ってしまったのでしょう。お互いが「視える」事で存在認識が成立したと思われます。視る事が出来ない普通の人は、ゴブリンも存在に気付けません。
ゴブリンは体躯を揺らし、襲って来たんです! ワタシを、“餌”と認識して!
ギシャーッ!ギシュッ!
ギッ!ギッ!ギーッ!
ワタシ、死にもの狂いで抵抗しました! でもポカポカ叩こうとしても、何故かスカッスカッと空を切るだけで触る事すら出来ないんです。
目の前に、口を開き牙を剥き出しにして涎をボタボタ垂らしてるゴブリン達。
く……くちゃい……
その時ワタシは鼻を摘み、涙目をギュッと瞑って『生きたい!』とココロで強く叫びました。
その魂の叫びが、ワタシの中の“未知の力”を呼び覚まします! 何と、両手の平からシャンパンゴールドの“帯”が伸びてゴブリンに絡み付いたんです!
今迄はスカッスカッとゴブリンに掠りも出来なかったんです。それが“帯”に絡み付かれると「実体化」して、直接触れる事が出来たんです!
その事にビックリしたゴブリンは、ワタシの事も放り出して一目散に暗闇の穴へと逃げ帰って行ったんです!
ゴブリンが逃げたのを確認した後にワタシ、ホッと安心して緊張の糸が切れたのかスゥとそのまま意識を手放したんです。
ひょっとするとワタシの事を“餌”と認識してしまったゴブリン達だから、今後もいつ襲って来るか分かりません。そんな彼らを相手に、どう立ち向かって行けばイイんでしょう……?
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【う・ん・ち・く♡】異世界の住人達
ワタシが生まれつき有してた「霊視」の能力。普通の人間でも霊視出来る者は稀に居ますが、精々ぼんやり認識出来る位。
地縛霊を土地の縛りから開放したり、ユーレイの人達の『因果律』にまでガチャガチャ介入出来るのはワタシだけなんです。
そういう下地があった上で、ワタシが10才を迎えたのをきっかけとして「霊視」が新たな進化を生みます。それこそ、『異世界の住人』達が視え始めた事。
異世界ファンタジーと云うのは、異世界に行けたからと言って本当に異世界の住人達と“直接”戦える者は極稀なんです。眼に視えないナニカに、何も出来ずに殺されるのがオチなんです。
そう云う意味では『異世界の住人達が視える、直接触れる』能力こそ本当の意味での、現実に即した「チート」なのでは無いか、とワタシは思うんです。
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