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褪檎
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「真っ赤だなぁ」薄暗くなってゆく視界の中で暗いまま聞こえてきたその声はぽつりぽつりと無くなってゆく、体の数少ない機能が微かに受け取った。ポツリ ポツリと消えてゆく。あ、冷たい。動かない。見えない。暗い。「あぁぁ…痛い…」痛覚。痛さを感じられる事。ああ、こんなに幸せで良いのかしら。林檎の樹が体から生えている。沢山の真赤な林檎が顔や足、体中に吹き出してくる。「シャバジュバしちゃあた」そう言った僕の頭に何かが突き刺さる。ブシュシュシュともの凄い勢いで林檎の樹が僕の頭から噴出している「ときめくなぁ」あぁそうか~僕が園なのか。どうせなら「林檎が欲しかった」「じゃあ、これはどう?」下から貫かれた。胸から骸の棘が小刻みに震えながら、僕の身体を圧迫している。「ぁぁァ~綺麗だなぁぁ」縫い付けられている膜が開いていく。ドボドボと僕から骸の塔が伸びている。「ぁ。ァああ」僕は声の主も分からぬまま、階段を一生懸命に上がってゆく。一段一段ドボドボと音を響かせながら。「あ要らずzu本屋行きたい」もう誰が声を出してるのか分からない。真っ赤だな あれ以外の声も僕だったのかぁ。バキバキと肋骨が深淵に落ちてゆく。もう痛さも感じなくなっていたから微笑んだ。つかの間辺りは静かになり、真っ黒な花畑に出た。眼下には白い子供の死体が並んでいる場所に出た。「あう、白林檎入りの頭骨」もう何も感じないので狂うことにした。「ふふ褪せる林檎」真っ白な林檎の樹。綺麗だったから身体を引きづりながら近付いていくと非ビトだった。「あ、」あぁ右目の彼女…僕を舐めてる。ぁぁそっか。僕、林檎になれたんだぁ。
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