【完結】二度目の子育て~我が子を可愛がったら溺愛されました

三園 七詩

文字の大きさ
28 / 35

28

しおりを挟む
「行こうか」

ウィリアムはユウリと手を繋ぎ反対の腕を差し出してくる。

私はウィリアムの腕に手を乗せると店を出た。

支払いはいつの間にかアルバートがすませてくれていたようで店主はホクホクの顔で外まで見送ってくれる。

「ウ、ウィリアム様この後私が街を案内いたしますわ」

エルムはめげずにウィリアムに話しかける。

すると私達に向けていた笑顔がエムルを見て不機嫌になる。

「すまないがここからはで過ごしたいから遠慮してくれ」

「も、申し訳……ありません」

エルムもさすがにここまであからさまに拒否されてすごすごと帰っていった。

三人になり馬車に乗り込む前に、ウィリアムを見ると不機嫌な顔はなくなり満足そうに私の胸元を見ている。

「あの、これありがとうございます」

私はお礼をちゃんとしていなかったと頭を下げる。

「いや、他にも欲しいものがあれば言ってくれ」

「いえ、十分です。次はユウリの好きなものを見ましょう」

「そうだな」

ウィリアムは御者に声をかけ、来る時に見た店へと馬車を走らせた。

近くで馬車を降り店に入ると中は子供が好きそうなもので溢れていた。

「す、すごい!」

ユウリはキョロキョロと店内を見回している。

「あっこれ」

目の前にガラスでできたイルカの置物がある。

「綺麗ね」

私も横からそれを覗きこんだ。反対側からウィリアムがそれを見る。

「みて、大きなイルカと白い少し小さなイルカに可愛い子どものイルカ!」

イルカが子供を真ん中に仲良く並んでいるように見えた。

「ぼくたちみたい」

ユウリがボソッと呟く。

「ユウリこれがいいのか?」

ウィリアムが優しく問いかける。

「う、うん」

ユウリがモジモジしながら頷くとウィリアムの方を見上げた。

「これがおとーさまでこれがおかーさま、それでこれがおにいちゃんでこれがいもうと!」

そう言うともう1つ小さな白いイルカを指さした。

「妹?」

「うん!」

ユウリは妹の意味がわかっていないのかもしれないウィリアムの顔を期待した顔で見つめている。

「ああ、それを買おうか」

ウィリアムもあまり気にしていないのか、ユウリがイルカの親子と思っているのだろうと私達は判断した。

他にもいくつかユウリが気になった物を買い、他の店も周り屋敷で待つ皆の為のお土産も買った、たくさん歩き少し疲れたので食事をして私達は帰路に就いた。

帰りの馬車ではユウリは疲れたようで私の膝の上に頭を乗せて寝ている。

可愛い寝顔を見ながら髪を撫でてやると気持ちよさそうに笑みを浮かべ楽しい夢でも見ているようだった。

「その、今日は楽しかったか?」

するとウィリアムが不安そうな顔で聞いてくる。

「ええ、ユウリもとっても楽しそうにしていました。ありがとうございます」

私が笑顔で頷くとウィリアムの表情はまだスッキリしていない。

「き、君は?」

窺うような顔で私の顔色を見ている。

「私?」

まさか私も楽しかったのか気にしているとは思わなかった。

エルムと並んでいる時はあまり楽しくなかったが相手にしていない態度やその後は……

「とても楽しかったです。また行きたいくらい」

そう答えるとようやくホッとした顔をして隣に移動してきた。

「ユウリを抱こうか?」

ずり落ちそうなユウリを心配したようだ。

「大丈夫です。軽いですから私が抱いています」

そういうとユウリを抱き上げ両手でしっかりと抱きしめた。

ユウリは私の胸に頭をくっつけてスヤスヤと寝ている。

するとウィリアムは私の隣にピッタリとくっついて座った。

「あなた?」

びっくりして横を見ると楽しそうに笑っている。

「しっかり抱いていないとユウリが起きてしまうよ」

そう言われハッとして手に力を込めた。

すると今度は手で私の髪をすくい上げて触っている。

その愛おしげに触る感じになんかむず疼くなるが、ユウリがいるので動くこともできない。

髪を触っていた手はそのままゆっくりと頬に触れた。
頬にかかっていた髪を退かしてくれたようだ。されるがままになっているとそのままゆっくりと首筋を指で撫でられる。

「んっ」
 
思わず声が漏れてしまった。

ウィリアムは先程買ったネックレスと肌とをなぞるように触っている。

「本当に良く似合う」

「あ、ありがとうございます」

「特に君が私の色を身につけてくれることがこんなにも嬉しいとは思わなかった」

その後も私が顔を赤くするのをウィリアムは楽しそうに見つめ続けていた。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

毒味役の私がうっかり皇帝陛下の『呪い』を解いてしまった結果、異常な執着(物理)で迫られています

白桃
恋愛
「触れるな」――それが冷酷と噂される皇帝レオルの絶対の掟。 呪いにより誰にも触れられない孤独な彼に仕える毒味役のアリアは、ある日うっかりその呪いを解いてしまう。 初めて人の温もりを知った皇帝は、アリアに異常な執着を見せ始める。 「私のそばから離れるな」――物理的な距離感ゼロの溺愛(?)に戸惑うアリア。しかし、孤独な皇帝の心に触れるうち、二人の関係は思わぬ方向へ…? 呪いが繋いだ、凸凹主従(?)ラブファンタジー!

【完結】僻地の修道院に入りたいので、断罪の場にしれーっと混ざってみました。

櫻野くるみ
恋愛
王太子による独裁で、貴族が息を潜めながら生きているある日。 夜会で王太子が勝手な言いがかりだけで3人の令嬢達に断罪を始めた。 ひっそりと空気になっていたテレサだったが、ふと気付く。 あれ?これって修道院に入れるチャンスなんじゃ? 子爵令嬢のテレサは、神父をしている初恋の相手の元へ行ける絶好の機会だととっさに考え、しれーっと断罪の列に加わり叫んだ。 「わたくしが代表して修道院へ参ります!」 野次馬から急に現れたテレサに、その場の全員が思った。 この娘、誰!? 王太子による恐怖政治の中、地味に生きてきた子爵令嬢のテレサが、初恋の元伯爵令息に会いたい一心で断罪劇に飛び込むお話。 主人公は猫を被っているだけでお転婆です。 完結しました。 小説家になろう様にも投稿しています。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました【完結】

iru
恋愛
第19回 恋愛小説大賞エントリーしています。ぜひ1票お願いします。 小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。 両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。 両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。 しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。 魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。 自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。 一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。 初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。 恋人になりたいが、年上で雇い主。 もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。 そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。 そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。 レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか? 両片思いのすれ違いのお話です。

美人同僚のおまけとして異世界召喚された私、無能扱いされ王城から追い出される。私の才能を見出してくれた辺境伯様と一緒に田舎でのんびりスローライ

さら
恋愛
美人な同僚の“おまけ”として異世界に召喚された私。けれど、無能だと笑われ王城から追い出されてしまう――。 絶望していた私を拾ってくれたのは、冷徹と噂される辺境伯様でした。 荒れ果てた村で彼の隣に立ちながら、料理を作り、子供たちに針仕事を教え、少しずつ居場所を見つけていく私。 優しい言葉をかけてくれる領民たち、そして、時折見せる辺境伯様の微笑みに、胸がときめいていく……。 華やかな王都で「無能」と追放された女が、辺境で自分の価値を見つけ、誰よりも大切に愛される――。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です

葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。 王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。 孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。 王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。 働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。 何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。 隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。 そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。 ※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。 ※小説家になろう様でも掲載予定です。

【完結】嫌われ令嬢、部屋着姿を見せてから、王子に溺愛されてます。

airria
恋愛
グロース王国王太子妃、リリアナ。勝ち気そうなライラックの瞳、濡羽色の豪奢な巻き髪、スレンダーな姿形、知性溢れる社交術。見た目も中身も次期王妃として完璧な令嬢であるが、夫である王太子のセイラムからは忌み嫌われていた。 どうやら、セイラムの美しい乳兄妹、フリージアへのリリアナの態度が気に食わないらしい。 2ヶ月前に婚姻を結びはしたが、初夜もなく冷え切った夫婦関係。結婚も仕事の一環としか思えないリリアナは、セイラムと心が通じ合わなくても仕方ないし、必要ないと思い、王妃の仕事に邁進していた。 ある日、リリアナからのいじめを訴えるフリージアに泣きつかれたセイラムは、リリアナの自室を電撃訪問。 あまりの剣幕に仕方なく、部屋着のままで対応すると、なんだかセイラムの様子がおかしくて… あの、私、自分の時間は大好きな部屋着姿でだらけて過ごしたいのですが、なぜそんな時に限って頻繁に私の部屋にいらっしゃるの?

処理中です...