魔力食いの令嬢は魔力過多の公爵に執着される

三園 七詩

文字の大きさ
9 / 23

9

しおりを挟む
あんなに話を聞いた後で、笑って頷くことなど出来ない。

魔力を吸ったらオニキス様を殺してしまうかもしれないなんて考えたら恐ろしい。

「オニキスは人より魔力量が多いから大丈夫なんだよ!」

先生にそう言われるがやはり無理だ。
私は人を殺めるくらいなら一生人に触れないでいたいと思っていた。

震える私に先生はいきなりですまなかったとまた謝る。

私は先生の方を見られないでいた。

するとまた来ると先生は部屋を出て行った。

次の日私はまた自分の部屋に戻された。
体調も良くなったんだからいつまでもこの部屋を使うなとばかりにメイドから睨まれたので自分から部屋に戻ったのだ。

毎日お見舞いに来てくれる先生はそのことに怒ってくれたが私が説明すると仕方なさそうに納得する。

「やはり早めにここから出さないと……」

先生はまたブツブツと自分の世界に入ってしまった。

私はそんな先生は置いといてお茶を用意する。
お見舞いに持ってきてくれたお菓子を出して先生が戻ってくるまで待った。

すると先生は私を見つめてハッとする。

「ああ、ごめん。それでなんだったけ?」

「お茶が入ったのでどうぞ」

先生にお茶を出すと喜んで飲んでいる。

「うん、フィオナの入れるお茶は本当に美味しいね」

そして自分が持ってきたお菓子を食べていた。

一通り私の魔力量などの確認を終えると昨日の話になった。

「考えは変わらない?」

先生にそう言われ私は頷いた。

「やはり怖いんです。人を、オニキス様を殺してしまうんじゃないかと……」

私は震える手をギュッと握りしめる。

「何度も言うけどそれは大丈夫、オニキスは魔力量がすごい多いんだ」

「でも、それでも全部吸ってしまったら!」

そう言うと先生はうーんと頭を抱えた。

「多分、いや絶対大丈夫!オニキスの魔力は全部吸えないから、それより吸ってくれないとオニキスが大変なんだよ……」

先生はそう言うと悲しい顔をする。

「でも……」

そう言われても私には踏ん切りがつかなかった。

「そうだ!一度彼に会ってみない?彼を見れば考えが変わるかもしれないよ」

「無理です!」

私はブンブンと首をふる。
だって相手はこの国の唯一の公爵様だ!
そんな方に私が会うなんておこがましい!

私の様子に先生は困った顔をしてしまう。

「じゃあさ、私と一緒に魔力を吸う練習をしよう。君がそれをコントロール出来るようになれば問題ないだろ?」

そう言われ私は考える。そうなれたらいいけどその練習をする相手はどうするのか。

私がチラッと先生を見るとニヤリと笑っていた。

その姿に嫌な予感がする。

「やっぱり無理です!」

「そうか……」

先生はすごく残念そうな顔をした。
私はそんな顔をさせてしまった事を申し訳なく思い少し迷う。

すると先生は顔をあげる。

「じゃあフィオナには悪いけど地位の力を使わせてもらうね」

「え?」

先生の難しい宿題を出す前の顔に私は嫌な予感しかしなかった。


先生が帰ってから暫くは先生が屋敷を訪れる事もなかった。

そして1週間がすぎた時、珍しくお父様から呼び出しを受ける。

私が部屋を訪ねると不機嫌な顔のお父様とお母様にカリーナがいた。

部屋に入るなりカリーナが怒鳴りつける。

「一体何をしたのお姉様!」

私はビクッと肩を跳ねさせた。

「な、なんの事?」

私は本当に分からずに眉を下げる。

「今日、公爵様から呼び出しを受けた。フィオナから聞きたい事があるから屋敷を訪れるようにとの事だ……お前何か粗相でもしたのか!」

公爵と聞いて私はオニキス様の顔を思い出した。エリオ先生が言っていたのはこの事だろう。

「わ、私は何も……」

「お父様、この前の王宮でお姉様がきっと何かして迷惑をかけたんですわ!あの後一人で帰って熱を出したんでしょ!」

私はあの時のことを説明するわけにもいかなかった。言うには私の力の事も言わないといけなくなるので口を閉ざす。

「何も言わないって事はやっぱりそうなのね!」

キーキーと喚くカリーナの声に私は頭が痛くなる。

「この後すぐに迎えの馬車が来る。公爵様に粗相のないように誠心誠意謝ってこい!もし無理ならお前とは縁を切る」

「え……」

お父様を見ると怒りの表情を浮かべている。
縁を切るなどまさかと思ったがこの人に私はその程度の〝物〟なのだと思い知らされた。

「はい……」

私はそれだけ答えるとまだ何か言ってくるカリーナ達を無視して部屋を出ていった。

突然の呼び出しに屋敷の皆は私が何かやらかしたと決めつけていた。

なのでまともな用意もしてもらえずいつもの格好で馬車に乗る羽目になる。

「えっと……フィオナ様ですか?」

迎えに来た公爵家の方は私を見てびっくりしていた。

全身上から下まで見てからお父様に、視線を向ける。

「この度はこいつの事で申し訳なく思っています。公爵様のお好きなようにとお伝え下さい」

そう言ってその方に何か袋を手渡していた。

その方はそれを返そうとするがお父様は受け取らずニコニコとしている。

その方は諦めてそれを受け取り私を馬車に乗せた。

しおりを挟む
感想 21

あなたにおすすめの小説

妖精隠し

恋愛
誰からも愛される美しい姉のアリエッタと地味で両親からの関心がない妹のアーシェ。 4歳の頃から、屋敷の離れで忘れられた様に過ごすアーシェの側には人間離れした美しさを持つ男性フローが常にいる。 彼が何者で、何処から来ているのかアーシェは知らない。

王宮メイドは今日も夫を「観察」する

kujinoji
恋愛
「はぁぁ〜!今日も働くヴィクター様が尊すぎる……!」 王宮メイドのミネリは、今日も愛しの夫ヴィクターを「観察」していた。 ヴィクターが好きすぎるあまり、あますところなく彼を見つめていたいミネリ。内緒で王宮メイドになり、文官である夫のもとに通うことに。 だけどある日、ヴィクターとある女性の、とんでもない場面を目撃してしまって……? ※同じものを他サイトにて、別名義で公開しています。

取り巻き令嬢Aは覚醒いたしましたので

モンドール
恋愛
揶揄うような微笑みで少女を見つめる貴公子。それに向き合うのは、可憐さの中に少々気の強さを秘めた美少女。 貴公子の周りに集う取り巻きの令嬢たち。 ──まるでロマンス小説のワンシーンのようだわ。 ……え、もしかして、わたくしはかませ犬にもなれない取り巻き!? 公爵令嬢アリシアは、初恋の人の取り巻きA卒業を決意した。 (『小説家になろう』にも同一名義で投稿しています。)

7歳の侯爵夫人

凛江
恋愛
ある日7歳の公爵令嬢コンスタンスが目覚めると、世界は全く変わっていたー。 自分は現在19歳の侯爵夫人で、23歳の夫がいるというのだ。 どうやら彼女は事故に遭って12年分の記憶を失っているらしい。 目覚める前日、たしかに自分は王太子と婚約したはずだった。 王太子妃になるはずだった自分が何故侯爵夫人になっているのかー? 見知らぬ夫に戸惑う妻(中身は幼女)と、突然幼女になってしまった妻に戸惑う夫。 23歳の夫と7歳の妻の奇妙な関係が始まるー。

一緒に召喚された私のお母さんは異世界で「女」になりました。

白滝春菊
恋愛
少女が異世界に母親同伴で召喚されて聖女になった。 聖女にされた少女は異世界の騎士に片思いをしたが、彼に母親の守りを頼んで浄化の旅を終えると母親と騎士の仲は進展していて…… 母親視点でその後の話を追加しました。

ボロボロになるまで働いたのに見た目が不快だと追放された聖女は隣国の皇子に溺愛される。……ちょっと待って、皇子が三つ子だなんて聞いてません!

沙寺絃
恋愛
ルイン王国の神殿で働く聖女アリーシャは、早朝から深夜まで一人で激務をこなしていた。 それなのに聖女の力を理解しない王太子コリンから理不尽に追放を言い渡されてしまう。 失意のアリーシャを迎えに来たのは、隣国アストラ帝国からの使者だった。 アリーシャはポーション作りの才能を買われ、アストラ帝国に招かれて病に臥せった皇帝を助ける。 帝国の皇子は感謝して、アリーシャに深い愛情と敬意を示すようになる。 そして帝国の皇子は十年前にアリーシャと出会った事のある初恋の男の子だった。 再会に胸を弾ませるアリーシャ。しかし、衝撃の事実が発覚する。 なんと、皇子は三つ子だった! アリーシャの幼馴染の男の子も、三人の皇子が入れ替わって接していたと判明。 しかも病から復活した皇帝は、アリーシャを皇子の妃に迎えると言い出す。アリーシャと結婚した皇子に、次の皇帝の座を譲ると宣言した。 アリーシャは個性的な三つ子の皇子に愛されながら、誰と結婚するか決める事になってしまう。 一方、アリーシャを追放したルイン王国では暗雲が立ち込め始めていた……。

骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方

ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。 注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。

【完】ある日、俺様公爵令息からの婚約破棄を受け入れたら、私にだけ冷たかった皇太子殿下が激甘に!?  今更復縁要請&好きだと言ってももう遅い!

黒塔真実
恋愛
【2月18日(夕方から)〜なろうに転載する間(「なろう版」一部違い有り)5話以降をいったん公開中止にします。転載完了後、また再公開いたします】伯爵令嬢エリスは憂鬱な日々を過ごしていた。いつも「婚約破棄」を盾に自分の言うことを聞かせようとする婚約者の俺様公爵令息。その親友のなぜか彼女にだけ異様に冷たい態度の皇太子殿下。二人の男性の存在に悩まされていたのだ。 そうして帝立学院で最終学年を迎え、卒業&結婚を意識してきた秋のある日。エリスはとうとう我慢の限界を迎え、婚約者に反抗。勢いで婚約破棄を受け入れてしまう。すると、皇太子殿下が言葉だけでは駄目だと正式な手続きを進めだす。そして無事に婚約破棄が成立したあと、急に手の平返ししてエリスに接近してきて……。※完結後に感想欄を解放しました。※

処理中です...