19 / 23
19.離れ難い
しおりを挟む
食事を終えたあと、オニキス様は王宮から呼び出しがあるそうですぐに出かける事になっていた。
私は外までみんなとオニキス様を見送りに行く。
「来て早々に一人にしてすまない。何かあれば従者やメイドに言うんだ」
「はい」
私はこんなに良くしてもらい言うことなど何もない。
笑顔で見送るとオニキス様が少しソワソワしている。
なかなか馬車に乗らずに何か言いたそうにしていた。
「公爵様、どうかされました?」
私が聞くとオニキス様が私に近づいた。
「私のことはオニキスと呼んでくれ……それと行く前に少し触ってもいいかな?」
頬を赤くしながら手を差し出してきた。
「ああ!」
オニキス様は魔力がまた溢れてきてしまったのだろう。
「もちろんです」
私はオニキス様の手を両手で包み込む。
魔力を吸うことを意識してみると体に何かポカポカしたものが流れるのを感じた。
「これが魔力?」
じっとオニキス様の手を掴みながら見つめる。
「フィ、フィオナ……ありがとう」
オニキス様にお礼を言われ私は慌てて手を離した。顔を見るとさらに赤くなってしまった。
「すみません! 魔力を吸いすぎてしまいましたか?」
不安になりオニキス様の様子を伺うと大丈夫だと顔を隠してしまった。
もしかしたら吸いすぎて顔色を悪くしてしまったのかもしれない……
「すみません……」
私はしゅんと顔を下に向ける。
こんなに私に良くしてくださるのに私は自分の出来ることもまともに出来ずに不甲斐なくなる。
「フィオナ?」
そんな私の様子をみてオニキス様が私の手をまた摑んだ。
「だ、駄目です!」
私が手をはなそうとするがオニキス様はギュッと掴んだままだった。
「まだまだ吸って欲しいが、これ以上触れるのはその……フィオナの負担になるかと思ってな」
そう言って優しくその手を離した。
そしてほらなと言うように笑ってくださる。
「オニキス様……ありがとうございます」
「うん、フィオナには謝られるよりお礼を言われる方が嬉しい」
「おっほん!」
私達が見つめあっているとルカリオ様が咳払いする。
「仲睦まじいところ申し訳ありませんが、オニキス様もう出ないといけません」
「うるさい、あんな連中待たせておけばいい」
オニキス様はルカリオ様の苦言に不機嫌そうにする。
「オニキス様、お気をつけて。お帰りお待ちしております」
「ああ」
そう言えば優しい顔で頷き返してくれた。
◆
私は王宮に向かう馬車の中から、見送りに出てきてくれたフィオナが見えなくなるまで窓から眺める。
「オニキス様、見すぎです」
するとルカリオから呆れた声をかけられた。
「朝から私の魔力を吸ったんだ。何か体調が悪くなってないか心配だ、やはり今日は行くのをやめよう」
そう言うとルカリオに睨まれる。
「フィオナ様の伯爵家の後始末ですよ! ここで先延ばしにしてフィオナ様に何かされたらどうするのですか」
「そんな事はさせん」
私が睨むとルカリオは真顔で答えた。
「なら王宮に行きますよ。フィオナ様に何かあればすぐに知らせるように言ってあります」
「わかった。私にすぐに知らせろよ」
ルカリオははいはいと言った感じで目を閉じた。
私はフィオナに会ってから世界が変わっていた。
毎日寝るのも起きるのも苦痛だったのが今やみなと同じように寝ることができ、全身にあった痛みもほとんど無くなっていた。
フィオナが少し触れてくれるだけで体が気持ちいいと感じるのだ。
どんなに吸われても魔力が尽きることなどない。あのままずっと触れ合っていられたら……そう思うと今すぐフィオナに触れたかった。
「まだフィオナ様の体調の変化などわかっていません。あまり無理させないようにしてください」
「わかってる」
わかっているがあの手に触れると離れたくなくなるのだ。
私は先程までフィオナに繋がっていた手をジッと見つめていた。
私は外までみんなとオニキス様を見送りに行く。
「来て早々に一人にしてすまない。何かあれば従者やメイドに言うんだ」
「はい」
私はこんなに良くしてもらい言うことなど何もない。
笑顔で見送るとオニキス様が少しソワソワしている。
なかなか馬車に乗らずに何か言いたそうにしていた。
「公爵様、どうかされました?」
私が聞くとオニキス様が私に近づいた。
「私のことはオニキスと呼んでくれ……それと行く前に少し触ってもいいかな?」
頬を赤くしながら手を差し出してきた。
「ああ!」
オニキス様は魔力がまた溢れてきてしまったのだろう。
「もちろんです」
私はオニキス様の手を両手で包み込む。
魔力を吸うことを意識してみると体に何かポカポカしたものが流れるのを感じた。
「これが魔力?」
じっとオニキス様の手を掴みながら見つめる。
「フィ、フィオナ……ありがとう」
オニキス様にお礼を言われ私は慌てて手を離した。顔を見るとさらに赤くなってしまった。
「すみません! 魔力を吸いすぎてしまいましたか?」
不安になりオニキス様の様子を伺うと大丈夫だと顔を隠してしまった。
もしかしたら吸いすぎて顔色を悪くしてしまったのかもしれない……
「すみません……」
私はしゅんと顔を下に向ける。
こんなに私に良くしてくださるのに私は自分の出来ることもまともに出来ずに不甲斐なくなる。
「フィオナ?」
そんな私の様子をみてオニキス様が私の手をまた摑んだ。
「だ、駄目です!」
私が手をはなそうとするがオニキス様はギュッと掴んだままだった。
「まだまだ吸って欲しいが、これ以上触れるのはその……フィオナの負担になるかと思ってな」
そう言って優しくその手を離した。
そしてほらなと言うように笑ってくださる。
「オニキス様……ありがとうございます」
「うん、フィオナには謝られるよりお礼を言われる方が嬉しい」
「おっほん!」
私達が見つめあっているとルカリオ様が咳払いする。
「仲睦まじいところ申し訳ありませんが、オニキス様もう出ないといけません」
「うるさい、あんな連中待たせておけばいい」
オニキス様はルカリオ様の苦言に不機嫌そうにする。
「オニキス様、お気をつけて。お帰りお待ちしております」
「ああ」
そう言えば優しい顔で頷き返してくれた。
◆
私は王宮に向かう馬車の中から、見送りに出てきてくれたフィオナが見えなくなるまで窓から眺める。
「オニキス様、見すぎです」
するとルカリオから呆れた声をかけられた。
「朝から私の魔力を吸ったんだ。何か体調が悪くなってないか心配だ、やはり今日は行くのをやめよう」
そう言うとルカリオに睨まれる。
「フィオナ様の伯爵家の後始末ですよ! ここで先延ばしにしてフィオナ様に何かされたらどうするのですか」
「そんな事はさせん」
私が睨むとルカリオは真顔で答えた。
「なら王宮に行きますよ。フィオナ様に何かあればすぐに知らせるように言ってあります」
「わかった。私にすぐに知らせろよ」
ルカリオははいはいと言った感じで目を閉じた。
私はフィオナに会ってから世界が変わっていた。
毎日寝るのも起きるのも苦痛だったのが今やみなと同じように寝ることができ、全身にあった痛みもほとんど無くなっていた。
フィオナが少し触れてくれるだけで体が気持ちいいと感じるのだ。
どんなに吸われても魔力が尽きることなどない。あのままずっと触れ合っていられたら……そう思うと今すぐフィオナに触れたかった。
「まだフィオナ様の体調の変化などわかっていません。あまり無理させないようにしてください」
「わかってる」
わかっているがあの手に触れると離れたくなくなるのだ。
私は先程までフィオナに繋がっていた手をジッと見つめていた。
271
あなたにおすすめの小説
妖精隠し
棗
恋愛
誰からも愛される美しい姉のアリエッタと地味で両親からの関心がない妹のアーシェ。
4歳の頃から、屋敷の離れで忘れられた様に過ごすアーシェの側には人間離れした美しさを持つ男性フローが常にいる。
彼が何者で、何処から来ているのかアーシェは知らない。
王宮メイドは今日も夫を「観察」する
kujinoji
恋愛
「はぁぁ〜!今日も働くヴィクター様が尊すぎる……!」
王宮メイドのミネリは、今日も愛しの夫ヴィクターを「観察」していた。
ヴィクターが好きすぎるあまり、あますところなく彼を見つめていたいミネリ。内緒で王宮メイドになり、文官である夫のもとに通うことに。
だけどある日、ヴィクターとある女性の、とんでもない場面を目撃してしまって……?
※同じものを他サイトにて、別名義で公開しています。
取り巻き令嬢Aは覚醒いたしましたので
モンドール
恋愛
揶揄うような微笑みで少女を見つめる貴公子。それに向き合うのは、可憐さの中に少々気の強さを秘めた美少女。
貴公子の周りに集う取り巻きの令嬢たち。
──まるでロマンス小説のワンシーンのようだわ。
……え、もしかして、わたくしはかませ犬にもなれない取り巻き!?
公爵令嬢アリシアは、初恋の人の取り巻きA卒業を決意した。
(『小説家になろう』にも同一名義で投稿しています。)
7歳の侯爵夫人
凛江
恋愛
ある日7歳の公爵令嬢コンスタンスが目覚めると、世界は全く変わっていたー。
自分は現在19歳の侯爵夫人で、23歳の夫がいるというのだ。
どうやら彼女は事故に遭って12年分の記憶を失っているらしい。
目覚める前日、たしかに自分は王太子と婚約したはずだった。
王太子妃になるはずだった自分が何故侯爵夫人になっているのかー?
見知らぬ夫に戸惑う妻(中身は幼女)と、突然幼女になってしまった妻に戸惑う夫。
23歳の夫と7歳の妻の奇妙な関係が始まるー。
一緒に召喚された私のお母さんは異世界で「女」になりました。
白滝春菊
恋愛
少女が異世界に母親同伴で召喚されて聖女になった。
聖女にされた少女は異世界の騎士に片思いをしたが、彼に母親の守りを頼んで浄化の旅を終えると母親と騎士の仲は進展していて……
母親視点でその後の話を追加しました。
ボロボロになるまで働いたのに見た目が不快だと追放された聖女は隣国の皇子に溺愛される。……ちょっと待って、皇子が三つ子だなんて聞いてません!
沙寺絃
恋愛
ルイン王国の神殿で働く聖女アリーシャは、早朝から深夜まで一人で激務をこなしていた。
それなのに聖女の力を理解しない王太子コリンから理不尽に追放を言い渡されてしまう。
失意のアリーシャを迎えに来たのは、隣国アストラ帝国からの使者だった。
アリーシャはポーション作りの才能を買われ、アストラ帝国に招かれて病に臥せった皇帝を助ける。
帝国の皇子は感謝して、アリーシャに深い愛情と敬意を示すようになる。
そして帝国の皇子は十年前にアリーシャと出会った事のある初恋の男の子だった。
再会に胸を弾ませるアリーシャ。しかし、衝撃の事実が発覚する。
なんと、皇子は三つ子だった!
アリーシャの幼馴染の男の子も、三人の皇子が入れ替わって接していたと判明。
しかも病から復活した皇帝は、アリーシャを皇子の妃に迎えると言い出す。アリーシャと結婚した皇子に、次の皇帝の座を譲ると宣言した。
アリーシャは個性的な三つ子の皇子に愛されながら、誰と結婚するか決める事になってしまう。
一方、アリーシャを追放したルイン王国では暗雲が立ち込め始めていた……。
骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方
ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。
注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。
【完】ある日、俺様公爵令息からの婚約破棄を受け入れたら、私にだけ冷たかった皇太子殿下が激甘に!? 今更復縁要請&好きだと言ってももう遅い!
黒塔真実
恋愛
【2月18日(夕方から)〜なろうに転載する間(「なろう版」一部違い有り)5話以降をいったん公開中止にします。転載完了後、また再公開いたします】伯爵令嬢エリスは憂鬱な日々を過ごしていた。いつも「婚約破棄」を盾に自分の言うことを聞かせようとする婚約者の俺様公爵令息。その親友のなぜか彼女にだけ異様に冷たい態度の皇太子殿下。二人の男性の存在に悩まされていたのだ。
そうして帝立学院で最終学年を迎え、卒業&結婚を意識してきた秋のある日。エリスはとうとう我慢の限界を迎え、婚約者に反抗。勢いで婚約破棄を受け入れてしまう。すると、皇太子殿下が言葉だけでは駄目だと正式な手続きを進めだす。そして無事に婚約破棄が成立したあと、急に手の平返ししてエリスに接近してきて……。※完結後に感想欄を解放しました。※
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる