21 / 23
21.不快な描写あり
しおりを挟む
私は部屋の外で待っていたルカリオを拾い屋敷へと急いだ。
「オニキス様、何があったのですか!」
ルカリオは王宮から借りた馬に跨り走りながら問いかけてくる。
「フィオナのあの妹が逃げ出した!」
「え?カリーナですか?」
ルカリオが信じられないと聞き返す。
それもそうだろう、いくら魔力が高い令嬢とはいえ王宮の牢屋から脱獄するなど普通ありえない。
「あの女、魅了魔法が使えたようだ」
「魅了魔法? 話をしてる時にはそんな感じありませんでしたが……」
一度あの女に会っているルカリオには信じられないようだ。それは私も同じだ、フィオナの事で精神にダメージを受けて魔法が開花したのかもしれない。
「フィオナをかなり憎んでいる様子だったから心配だ」
「確かに……」
ルカリオも同意するように頷く。
「飛ばすぞ!」
私は話を終わりにして馬を走らせることに集中した。
◆
私はオニキス様を乗せた馬車が見えなくなるまで見送った。
オニキス様が窓際にいたので顔が何となく見える、表情までは分からないので何を見ているのかわからないが、私はそれでも見ていたかった。
「フィオナ様、屋敷に入りましょう」
ジーナが声をかけてくれるがせっかく外に出た事だし、少し火照った顔を冷やすためにも庭を歩きたい気分だった。
「少し散歩してもいいかしら?」
ジーナに確認するともちろんですといい、従者に何か話をしてから一緒に歩き出す。
広い庭には色んな花が咲いていて、綺麗に整えられていた。
結構歩いたがまだまだ庭は広い、少し行くと休憩できるスペースがありパーゴラには綺麗に蔦が絡まり日陰を作っている。その下にはテーブルと椅子が置いてあった。
「フィオナ様、あちらで少しお茶にしませんか?」
ジーナの提案に私は顔を輝かせた。
「素敵、いいのかしら?」
喜ぶとジーナは「もちろんです。お茶を用意して来ます」と屋敷の中へと向かった。
私は椅子に腰掛けて風を感じながら目をつぶる。
耳をすませると草木の風に揺れる音や鳥のさえずりが聞こえ心を和ませてくれた。
こんな穏やかな気持ちでゆっくりできるのはオニキス様のおかげだろう。
やっぱりもっと何かお返しがしたい……
そんな風に思っていると庭の方から誰かが歩く音がする。
ジーナが戻ってきたと思い私は顔を上げた。
「おねえさま~見つけた~」
するとそこにはドレスがボロボロに汚れ、髪も化粧も乱れた様子のカリーナの姿があった。
「カ、カリーナ?」
その姿に私は自分の目を疑う。
「おねえさまひどいです!私がこんな目に合ってるのにあなたは綺麗なドレスを着て優雅に休んでるんですか?」
カリーナは大きな目をこれでもかと開きながら私に近づいてきた。
私は椅子から立ち上がり距離を取ろうとするが、カリーナはあっという間に間合いを詰めて来て手を伸ばすと私の髪を掴んだ。
「きゃっ!」
私は髪を引っ張られてカリーナの前で転んでしまう。
「何処に行く気?」
いつものように倒れた私を冷たい目で見下ろしてきた。
「カ、カリーナやめてこんな事をしたらまた罪が重くなるだけよ!」
私が反抗するとカリーナは信じられないと言った顔を向けてくる。
「あんなに大人しかったお、お、お、おねえさまが私に口答え? あの男のせいね、そうだ!おねえさまか居なくなれば全部元に戻るんじゃない?」
「何を言ってるの?」
カリーナは空に向かって一人事を言っている。
そんな事をしたって何も元に戻るわけない。
「うるさいうるさいうるさい!」
カリーナは髪を掻きむしりながら叫んだ。
すると奥から兵士の姿をした人がやってきた!
助かった!
私は彼に助けを求めようと声をかける。
「助けてください!」
しかしその人はフラフラとしていて私達の事に気がついて無いように見えた。
「あはは、おねえさま本当に男が好きね。誰もが自分を助けてくれるとでも思ってるの?」
カリーナを見るとゾッとするような顔で私を見て笑っている。
そしてその兵士に声をかけた。
「ねぇあなたこっち来て」
すると私の声には反応しなかった兵士はカリーナの声に従うように歩き出した。
「おねえさま、そんなに男が好きならこの人あげますよ~」
ニタニタと笑い私を見る姿にゾクッとする。
この人をあげる?
何を言っているのか意味がわからなかった。
「ねぇあなた、私のお願いきいてくれる?」
カリーナは兵士の胸に寄りかかりながら甘えた声を出した。
「あっ……あ」
兵士が何か言おうとするがそれは声になっていなかった。
「あそこに寝ている女を襲って、見るも無惨な他の男の元にはいけないようにしてあげて」
兵士の耳元でそう囁くと兵士は私の方に目を向けた。
「い、嫌……」
私は立ち上がり逃げようとするが足が震えて上手く走れなかった。
すぐに兵士に捕まり押し倒される。
後ろではカリーナが楽しそうに笑っている声が聞こえた。
「おねえさま、その男に抱かれてもあの公爵はおねえさまを妻に迎えるかしら? 誰の子かわからない子供が生まれるかもねー」
カリーナはそう言うと私が座っていた椅子に腰掛ける。
「ほら、早くやりなさい」
兵士はカリーナの声に私の着ていた服を掴み破ったのだった。
「オニキス様、何があったのですか!」
ルカリオは王宮から借りた馬に跨り走りながら問いかけてくる。
「フィオナのあの妹が逃げ出した!」
「え?カリーナですか?」
ルカリオが信じられないと聞き返す。
それもそうだろう、いくら魔力が高い令嬢とはいえ王宮の牢屋から脱獄するなど普通ありえない。
「あの女、魅了魔法が使えたようだ」
「魅了魔法? 話をしてる時にはそんな感じありませんでしたが……」
一度あの女に会っているルカリオには信じられないようだ。それは私も同じだ、フィオナの事で精神にダメージを受けて魔法が開花したのかもしれない。
「フィオナをかなり憎んでいる様子だったから心配だ」
「確かに……」
ルカリオも同意するように頷く。
「飛ばすぞ!」
私は話を終わりにして馬を走らせることに集中した。
◆
私はオニキス様を乗せた馬車が見えなくなるまで見送った。
オニキス様が窓際にいたので顔が何となく見える、表情までは分からないので何を見ているのかわからないが、私はそれでも見ていたかった。
「フィオナ様、屋敷に入りましょう」
ジーナが声をかけてくれるがせっかく外に出た事だし、少し火照った顔を冷やすためにも庭を歩きたい気分だった。
「少し散歩してもいいかしら?」
ジーナに確認するともちろんですといい、従者に何か話をしてから一緒に歩き出す。
広い庭には色んな花が咲いていて、綺麗に整えられていた。
結構歩いたがまだまだ庭は広い、少し行くと休憩できるスペースがありパーゴラには綺麗に蔦が絡まり日陰を作っている。その下にはテーブルと椅子が置いてあった。
「フィオナ様、あちらで少しお茶にしませんか?」
ジーナの提案に私は顔を輝かせた。
「素敵、いいのかしら?」
喜ぶとジーナは「もちろんです。お茶を用意して来ます」と屋敷の中へと向かった。
私は椅子に腰掛けて風を感じながら目をつぶる。
耳をすませると草木の風に揺れる音や鳥のさえずりが聞こえ心を和ませてくれた。
こんな穏やかな気持ちでゆっくりできるのはオニキス様のおかげだろう。
やっぱりもっと何かお返しがしたい……
そんな風に思っていると庭の方から誰かが歩く音がする。
ジーナが戻ってきたと思い私は顔を上げた。
「おねえさま~見つけた~」
するとそこにはドレスがボロボロに汚れ、髪も化粧も乱れた様子のカリーナの姿があった。
「カ、カリーナ?」
その姿に私は自分の目を疑う。
「おねえさまひどいです!私がこんな目に合ってるのにあなたは綺麗なドレスを着て優雅に休んでるんですか?」
カリーナは大きな目をこれでもかと開きながら私に近づいてきた。
私は椅子から立ち上がり距離を取ろうとするが、カリーナはあっという間に間合いを詰めて来て手を伸ばすと私の髪を掴んだ。
「きゃっ!」
私は髪を引っ張られてカリーナの前で転んでしまう。
「何処に行く気?」
いつものように倒れた私を冷たい目で見下ろしてきた。
「カ、カリーナやめてこんな事をしたらまた罪が重くなるだけよ!」
私が反抗するとカリーナは信じられないと言った顔を向けてくる。
「あんなに大人しかったお、お、お、おねえさまが私に口答え? あの男のせいね、そうだ!おねえさまか居なくなれば全部元に戻るんじゃない?」
「何を言ってるの?」
カリーナは空に向かって一人事を言っている。
そんな事をしたって何も元に戻るわけない。
「うるさいうるさいうるさい!」
カリーナは髪を掻きむしりながら叫んだ。
すると奥から兵士の姿をした人がやってきた!
助かった!
私は彼に助けを求めようと声をかける。
「助けてください!」
しかしその人はフラフラとしていて私達の事に気がついて無いように見えた。
「あはは、おねえさま本当に男が好きね。誰もが自分を助けてくれるとでも思ってるの?」
カリーナを見るとゾッとするような顔で私を見て笑っている。
そしてその兵士に声をかけた。
「ねぇあなたこっち来て」
すると私の声には反応しなかった兵士はカリーナの声に従うように歩き出した。
「おねえさま、そんなに男が好きならこの人あげますよ~」
ニタニタと笑い私を見る姿にゾクッとする。
この人をあげる?
何を言っているのか意味がわからなかった。
「ねぇあなた、私のお願いきいてくれる?」
カリーナは兵士の胸に寄りかかりながら甘えた声を出した。
「あっ……あ」
兵士が何か言おうとするがそれは声になっていなかった。
「あそこに寝ている女を襲って、見るも無惨な他の男の元にはいけないようにしてあげて」
兵士の耳元でそう囁くと兵士は私の方に目を向けた。
「い、嫌……」
私は立ち上がり逃げようとするが足が震えて上手く走れなかった。
すぐに兵士に捕まり押し倒される。
後ろではカリーナが楽しそうに笑っている声が聞こえた。
「おねえさま、その男に抱かれてもあの公爵はおねえさまを妻に迎えるかしら? 誰の子かわからない子供が生まれるかもねー」
カリーナはそう言うと私が座っていた椅子に腰掛ける。
「ほら、早くやりなさい」
兵士はカリーナの声に私の着ていた服を掴み破ったのだった。
160
あなたにおすすめの小説
妖精隠し
棗
恋愛
誰からも愛される美しい姉のアリエッタと地味で両親からの関心がない妹のアーシェ。
4歳の頃から、屋敷の離れで忘れられた様に過ごすアーシェの側には人間離れした美しさを持つ男性フローが常にいる。
彼が何者で、何処から来ているのかアーシェは知らない。
王宮メイドは今日も夫を「観察」する
kujinoji
恋愛
「はぁぁ〜!今日も働くヴィクター様が尊すぎる……!」
王宮メイドのミネリは、今日も愛しの夫ヴィクターを「観察」していた。
ヴィクターが好きすぎるあまり、あますところなく彼を見つめていたいミネリ。内緒で王宮メイドになり、文官である夫のもとに通うことに。
だけどある日、ヴィクターとある女性の、とんでもない場面を目撃してしまって……?
※同じものを他サイトにて、別名義で公開しています。
取り巻き令嬢Aは覚醒いたしましたので
モンドール
恋愛
揶揄うような微笑みで少女を見つめる貴公子。それに向き合うのは、可憐さの中に少々気の強さを秘めた美少女。
貴公子の周りに集う取り巻きの令嬢たち。
──まるでロマンス小説のワンシーンのようだわ。
……え、もしかして、わたくしはかませ犬にもなれない取り巻き!?
公爵令嬢アリシアは、初恋の人の取り巻きA卒業を決意した。
(『小説家になろう』にも同一名義で投稿しています。)
7歳の侯爵夫人
凛江
恋愛
ある日7歳の公爵令嬢コンスタンスが目覚めると、世界は全く変わっていたー。
自分は現在19歳の侯爵夫人で、23歳の夫がいるというのだ。
どうやら彼女は事故に遭って12年分の記憶を失っているらしい。
目覚める前日、たしかに自分は王太子と婚約したはずだった。
王太子妃になるはずだった自分が何故侯爵夫人になっているのかー?
見知らぬ夫に戸惑う妻(中身は幼女)と、突然幼女になってしまった妻に戸惑う夫。
23歳の夫と7歳の妻の奇妙な関係が始まるー。
一緒に召喚された私のお母さんは異世界で「女」になりました。
白滝春菊
恋愛
少女が異世界に母親同伴で召喚されて聖女になった。
聖女にされた少女は異世界の騎士に片思いをしたが、彼に母親の守りを頼んで浄化の旅を終えると母親と騎士の仲は進展していて……
母親視点でその後の話を追加しました。
ボロボロになるまで働いたのに見た目が不快だと追放された聖女は隣国の皇子に溺愛される。……ちょっと待って、皇子が三つ子だなんて聞いてません!
沙寺絃
恋愛
ルイン王国の神殿で働く聖女アリーシャは、早朝から深夜まで一人で激務をこなしていた。
それなのに聖女の力を理解しない王太子コリンから理不尽に追放を言い渡されてしまう。
失意のアリーシャを迎えに来たのは、隣国アストラ帝国からの使者だった。
アリーシャはポーション作りの才能を買われ、アストラ帝国に招かれて病に臥せった皇帝を助ける。
帝国の皇子は感謝して、アリーシャに深い愛情と敬意を示すようになる。
そして帝国の皇子は十年前にアリーシャと出会った事のある初恋の男の子だった。
再会に胸を弾ませるアリーシャ。しかし、衝撃の事実が発覚する。
なんと、皇子は三つ子だった!
アリーシャの幼馴染の男の子も、三人の皇子が入れ替わって接していたと判明。
しかも病から復活した皇帝は、アリーシャを皇子の妃に迎えると言い出す。アリーシャと結婚した皇子に、次の皇帝の座を譲ると宣言した。
アリーシャは個性的な三つ子の皇子に愛されながら、誰と結婚するか決める事になってしまう。
一方、アリーシャを追放したルイン王国では暗雲が立ち込め始めていた……。
骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方
ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。
注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。
【完】ある日、俺様公爵令息からの婚約破棄を受け入れたら、私にだけ冷たかった皇太子殿下が激甘に!? 今更復縁要請&好きだと言ってももう遅い!
黒塔真実
恋愛
【2月18日(夕方から)〜なろうに転載する間(「なろう版」一部違い有り)5話以降をいったん公開中止にします。転載完了後、また再公開いたします】伯爵令嬢エリスは憂鬱な日々を過ごしていた。いつも「婚約破棄」を盾に自分の言うことを聞かせようとする婚約者の俺様公爵令息。その親友のなぜか彼女にだけ異様に冷たい態度の皇太子殿下。二人の男性の存在に悩まされていたのだ。
そうして帝立学院で最終学年を迎え、卒業&結婚を意識してきた秋のある日。エリスはとうとう我慢の限界を迎え、婚約者に反抗。勢いで婚約破棄を受け入れてしまう。すると、皇太子殿下が言葉だけでは駄目だと正式な手続きを進めだす。そして無事に婚約破棄が成立したあと、急に手の平返ししてエリスに接近してきて……。※完結後に感想欄を解放しました。※
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる