ほっといて下さい 従魔とチートライフ楽しみたい!

三園 七詩

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1巻

1-3

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《 名前 》ミヅキ
《 職業 》テイマー
《 レベル 》1
《 体力 》50
《 魔力 》10000
《 スキル 》回復魔法 水魔法 火魔法 土魔法 風魔法
《 従魔 》シルバ(フェンリル)
《 備考 》いとし子 転生者 鑑定 ??? ???


 おお! なんか出た!
 なんか色々気になることがあるが……とりあえず魔力がある。魔法が使えそうだ!

「すてーたすでた! まりょくあるからまほーできる?」

 首を傾げて聞くと、ベイカーさんはヘラッと笑った後に、ギョッとした顔になる。表情が忙しいなぁ……

「なっ、なんて言った? ステータスが出た?」

 なんか慌てている。うんと頷くと、彼は今度は頭を抱えだした。

「あのなぁ……普通ステータスは自分では見えん。神官が鑑定をして確認するものなんだ」
「かんてーある」

 ステータスに書いてあったもん。

「そ、そうか……じゃちょっと俺を鑑定してみろ」

 ベイカーさんを見ながら(鑑定)と強く念じる。


《 名前 》ベイカー
《 職業 》A級冒険者 剣士
《 レベル 》89
《 体力 》3682
《 魔力 》2539
《 スキル 》火魔法 風魔法 剣技
 ――これより表示できません――


「ベイカーさん、えーきゅーぼうけんしゃってでてます。れべる89! すごいです」

 でも、スキルの後が表示できないと出ている。

「なんか、すきるまでしかみれません」

 見た通り伝えるとベイカーさんが目元を手のひらで覆い、天井をあおぐ。

「あ…………うん。本当に鑑定があるんだな。表示されないところは隠匿いんとくしてあるんだ。見られるとまずい項目なんかは隠す奴が多いぞ、ミヅキも隠匿いんとくしたほうがよさそうだな」

 この様子だと備考の部分は全部見せたらまずそうだ。
 転生者って書いてあるし……その前に愛し子なんてのもある。
 そんなのバレたら……面倒くさそう、どうせなら私のことは、ほっといてほしいなぁ……

「まぁ、魔法やら鑑定のことはとりあえず明日ゆっくり聞く。今日はもう疲れただろうから休め」

 そのまま奥の部屋に連れて行かれる。奥は寝室になっているようで、ベッドが一つと小さい棚が置いてあるシンプルな部屋だ。

「少し汚いが我慢してくれ」

 野宿するつもりでいたからベッドで寝られるだけ全然ましだ。しかしベッドが一つしかないとなると、ベイカーさんの寝るところが気になる。

「ベイカーさんは?」
「俺はあっちのソファーで寝るから大丈夫だ」

 そんな大きな体でソファーに……どう考えても小さい私がソファーで寝るべきだ。

「わたしがあっちでいいよ」

 ソファーを指差してベイカーさんを見上げたが、子供が遠慮するなと言われ、結局ベッドに寝かされる。大きな手で頭をでられると疲れていたのかまぶたが重くなる。

【シ……ルバ……】

 薄れる意識の中、手を伸ばしシルバを呼ぶと、シルバのふわふわの毛が触れた。その温もりに安心して、私はそのまま意識を手放してしまった。


   ◆


 俺がギルドマスターに呼ばれてギルドに行くと、数人の顔見知りの冒険者が集まっていた。
 なにやら町から数キロ先の森が、広範囲にわたってえぐられ破壊されたらしい。数人のグループを作り調査して欲しいとのことだった。
 A級と一番位の高い俺がリーダーとなり調査に向かう。
 現場に着くと酷い有様ありさまだった。
 高度な風魔法による攻撃の跡が数キロにわたり続いている。現場の確認を終え、町に戻りながら周囲を警戒していると、仲間の一人から大きな黒い獣に捕まっている子供を発見したと報告を受けた。
 陣形を整え対象に近づき……その姿を確認する。
 あれはまずい。フェンリルだ。どうしてあんな伝説級の魔獣がこんなところに。
 黒い獣と聞いたからグレートウルフあたりかと思ったが……クソッ! このメンバーだと皆殺しもあり得る。
 どうにか子供だけ助けて撤退できないかと様子をうかがっていると、フェンリルがこちらに気付き威嚇いかくしてきた。
 とりあえず子供の無事を確認するため声をかける。子供はフェンリルの隣に立ち、フェンリルが自分の従魔だと言う。
 こんな子供が従魔を従えているのにも驚きだが、その容姿にも驚かされた。
 ここでは珍しい黒い髪。少しやせ細っているが白い肌は美しく透明感がある。大きな瞳も同じ黒色で、小さな赤い唇と絶妙なバランスを取っている。間違いなく将来は美人になるだろう。
 あどけなく、とても可愛らしい。
 にっこり笑いかけられ、冒険者の何人かがあまりの愛らしさにもだえそうになっている。舌っ足らずなしゃべり方がまたその可愛さを引き立てていた。
 とりあえず話を聞かなければと近づいていいか尋ねると、危害を加えなければ大丈夫だと言う。
 あの子がしゃべるたびに後ろの冒険者達がざわつく。もだえるのを止めろ! 皆、可愛い可愛いとうるさい。
 こちらがザワザワしているので不安になったのか、子供が目に涙を溜めて不安そうにしている。するとフェンリルが不機嫌そうにうなる。
 流石さすがに皆、ピタリと黙った。
 子供は「ありがとー」とフェンリルをでながら微笑んでいる。フェンリルの様子をうかがいつつ近づくと、子供はじっと上目遣いでこちらを見ている。近くで見るとますます可愛らしい。
 黒い瞳は宝石のようにきらめいていて、黒い髪もふわふわと柔らかそうだ。つい顔の締まりが緩くなり、ヘラッと笑ってしまう。
 ……まずい。可愛い‼
 思わず口元を押さえる。さっきもだえていた連中の気持ちがよく分かった。
 年齢を聞くが、分からないと下を向いてしまった。声にも力がなくなってしまったので、慌ててなぐさめる。
 四、五才くらいに見えるが、受け答えと言葉の理解度からもう少し上かもしれない。子供はここまで来た経緯を説明しながら、フェンリルのことを本当に信頼しているのか、柔らかい笑みを浮かべながら仲良しだと言う。
 俺はその笑顔と言葉を信じてみることにした。
 親とはぐれたのかと尋ねると、気が付いたら森にいたと返ってきた。
 その前の記憶がないらしく捨て子の可能性もある。こんな可愛い子を捨てるなど考えられないが、育てきれなくなった子を森に捨てることはよくあることだった。
 とにかく怪我もなく生きていてくれてよかった。ここからは俺が面倒を見てもいいと思い、町に来ないかと聞いてみる。
 すると後ろの奴らがザワついた。ずるいやら俺が代わりになどほざくが、ゆずる気はない!
 そして少しの話し合いの結果、見事俺が保護者権を勝ち取った。
 まぁ、ランク的にも俺に逆らえないしな!
 名前を聞いた後、不安そうな様子について尋ねたら、ついて行くことを申し訳なく思っているという。
 こんな小さな子がなにを遠慮するのか……そうせざるを得ない環境にいたのかと思い、幸せにしてあげたいと決意していると、ふいに上目遣いに顔を覗かれる。
 あまりの愛らしさに叫びそうになるのを、口を押さえて必死に耐えた。
 他の奴らも同じようだ。その様子にミヅキは迷惑をかけていると勘違いしてしまった。これはいかん! いい加減、もだえるのを止めなければ!
 これからは大人を頼っていいんだと伝えると、嬉しそうにお礼を言った。
 思わず手が出て頭をでる。サラサラでふわふわの髪の毛が心地よい。いつまでもでていたいが、周りから殺気を感じるし、従魔のフェンリルが間に入り引き離そうとしてくる。どんだけミヅキが好きなんだ……
 ミヅキが焼きもちをやいたフェンリルに軽く注意をすると、フェンリルは目に見えて落ち込む。どうやら本当にミヅキが主人らしい。これなら町に行っても、ミヅキになにかまずいことが起きない限り暴れることはないだろう。
 しかし、こんな子供がフェンリルを従魔にできるとは凄い才能だ。あんまり目立つと悪い人間に利用されかねない、そこも注意してやらなければ。
 他の奴らを先に町に帰し、ギルドに報告するように伝える。ついでに門番にも言付けを頼んでおく。ミヅキにはこれから町に向かいギルドで冒険者として登録することを伝えると、少し不安げな顔になる。
 そこで無理に冒険者としてやっていく必要はないことを伝えると、少し表情をやわらげた。
 町に向かう道中、子供の足では大変だろうからと抱っこしてやろうと言う。
 決してしたい訳じゃない! 大変だろうからだ! ちょっとは抱っこしてみたいとは……思っているが……
 しかし見事にフェンリルに邪魔をされる。
 まぁしょうがない……全然、残念じゃないから……くっ。
 町の門に到着し、門番には事情が伝わっているらしくそのまま通される。流石さすがにフェンリルには少しビビっていたが。
 町の中を進みギルドが見えて来たところで、ミヅキにここまでの道順を覚えたか聞くと焦った顔をした。
 そんなすぐに道を覚えられるわけないので大丈夫だとなだめようとすると、フェンリルが覚えたと言う。まさかフェンリルと話せるのか聞くと、従魔の契約をしてるからしゃべれると笑顔を見せる。
 ……そんなわけあるか!
 確か、通常より相手の気持ちが分かる程度のはずだ。まず普通、魔物はしゃべれない。
 伝説級やドラゴンなど知能の高い者はしゃべれるようだが、つまりフェンリルが伝説級の魔獣だというのが改めて証明されたわけだ……まぁミヅキにぞっこんみたいだから大丈夫……だよな。
 ギルドに到着し、受付嬢のフレイシアのところに行く。ミヅキが注目を浴びてしまっているのでサッサと済ませて早く休ませてやろう。
 ミヅキを呼び、台が高いので抱きかかえてやる。リベンジ成功! 幸せだ。周りが五月蝿うるさいが無視を決め込む。
 フレイシアに、ミヅキの名前、年齢、職業を伝えて従魔のフェンリルを登録してもらう。
 フレイシアが一旦奥に行き、カードを作って戻ってくると次は血の登録だ。これをしないと本人確認ができないし、偽装防止にもなるので重要だ。
 ミヅキは血をどうやって出すのか分からないようでこっちを見てくる。ナイフなどで指先に刺し血を垂らすことを伝えると、ずいっと指を差し出してきた。
 えっ、俺がやるの? いやその可愛い手に傷をつけるのは流石さすがに嫌だ!
 だが目をうるうるさせ、お願いと言われると……どうしよう。チラッとフェンリルを見ると、顔を逸らされた。
 おい! お前従魔だよな! ご主人様の指をちょっとかじってって……無理か。
 今度はフレイシアを見る。だが、なにも言ってないのに嫌だと言われてしまう。
 ミヅキは俺に的を絞ったのか、上目遣いにお願いしますと指を差し出す。渋々ナイフを取り出しミヅキの手を取る。とても小さい手だ。
 子供の手とはこんなにふわふわで柔らかいのか……この可愛らしい手に傷痕きずあとでも残ったら……
 周りからも上手くやれよと念が送られてくる。ならお前らがやれよ!
 回復薬の確認をして覚悟を決め、最小限の力でナイフの先を指にかすめる。
 よし! 上手くできた。
 すぐさまフレイシアにミヅキの手を渡す。フレイシアはミヅキの指先を軽く押して血をカードに垂らすと、傷口に優しく回復薬をかけた。
 素早く傷痕きずあとを確認するが、綺麗に治っているようだ。
 ミヅキは平気そうにしていたが、フェンリルが指先をめていた。消毒のつもりだろうか?
 登録したカードを貰いギルドを出ようとすると、従魔の装身具をつけるように言われた。
 ミヅキは赤い首輪を選んだ(フェンリルがつけたらもはや腕輪だが)。プライドの高いフェンリルがつけられるのかと思ったものの、ミヅキに装着させてもらい満足そうだ。
 ギルドでの用事を済ませると、ミヅキも疲れているだろうからと家に向かうことにした。
 家に着いて中に入り、ライトの魔法で明かりをつける。ミヅキがなぜか興奮している。
 どうやら魔法が珍しいようだ。誰でも使える生活魔法なのに……
 自分も使いたいと言ってくるので、魔力があればできると答える。ステータスを確認しないと魔力があるか分からないからな。
 ステータスを見たことはあるかと聞くと、ステータスが出て魔力があると喜んでいる。
 喜んでいる姿が可愛いなぁ……はっ? ステータスが出たってなんだ? ステータスは神官にならないと見られないはずなのに。
 どうやらミヅキは鑑定のスキルを持っているらしい。ものは試しと俺を鑑定してもらう。見事に的中。本当に見えているようだ。
 なんでこう色々やらかすんだ……ちょっと俺にも考える時間が欲しい……
 一先ず今日は休めと、奥の部屋のベッドを使うように言うと俺がどこで寝るのか聞いてくる。
 心配しなくても一緒に寝ねえよと思っていたが、どうやら自分が俺のベッドを取ってしまうことを心配しているようだ。
 なんていい子だ。気にするなとベッドに寝かせて頭をでてやると、だんだんとまぶたが閉じていく。そして、フェンリルを抱きしめたと思ったら、パタッと寝てしまった。
 フェンリルも愛おしそうにミヅキを眺めている。小さい体に毛布をかけてやり、おやすみと囁いて部屋を出た。
 ソファーに寝転び目を閉じる。明日から色々忙しくなりそうだが、ちっとも嫌な気分ではない。むしろ久々に気持ちよく寝られそうだ。



   四 魔力


 朝起きると知らない天井が目に入った。ここどこだ?
 起き上がり周りを見ると、シルバが尻尾を振りながら私が起きるのを待っていた。

【シルバ、おはよう】
【おはよう。よく眠れたか?】
【うん。夢も見ないでぐっすりだったよ。起きてこれが夢かと思ったくらい】
【それは困る。これが夢なんて耐えられない】

 シルバは確認するようにペロペロと顔をめてくる。シルバにめられて意識が更にはっきりすると、ベッドを降りて部屋の扉を開く。隣の部屋では、ベイカーさんがすでに起きていた。

「ベイカーさん、おはよーごじゃいます」
「ミヅキ、おはよう。よく眠れたか?」

 そっとベイカーさんに挨拶あいさつをすると、笑顔で近づいてきた。
 この世界の人達は皆優しいなぁ。私は「うん」と笑顔で頷いた。

「さぁ腹減ったろ。飯にしよう!」

 ベイカーさんがキッチンというには質素な台に向かった。シンクのような場所に立ち、

「ウォーター」

 と言って水を出し手を洗う。凄い! あれも魔法だよね?

「ベイカーさん、みずのまほー?」

 キラキラと目をかがやかせながら尋ねると、口元を緩ませたベイカーさんがかがんで私の手を取り、洗ってくれる。

「ミヅキも魔力があるならできるはずさ。とりあえず飯を食ってからな」

 そう言ってニカッと笑う。わぁ……その笑顔は眼福。
 見た目はやっぱりカッコイイなぁなんて思っている傍で、ベイカーさんは、パンを取り出しナイフで切り分けていく。パンをお皿にどかっと置くと、かまどに向かって「ファイヤー」と言って火をつけた。
 次いで、なにもないところからフライパンや肉を出して焼きはじめる。
 おお! いちいち魔法に反応してしまう。

「ベイカーさん、どっからものだしてるの?」

 先程から、空中から色々なものが出ているように見える。

「あぁ、これは収納魔法で、亜空間にものをしまっているんだ。時間経過もほとんどないし便利だぞ」

 おお! 異世界の定番魔法だね! 超便利そう。是非ともこれも覚えたいなぁ~。っていうか、朝からお肉を食べるのかなぁ……
 重そうだと思っていると、ベイカーさんは焼いただけの肉を、さっきの切っただけのパンの横に置いた。
 いや人様のお宅だし、出された料理に文句を言える立場じゃないけど……これはなくない? なくなくない? それとも異世界ではこれが普通の朝食なのかなぁ?

「いただきましゅ」

 と言って手を合わせるとパンを手に取る。

「シルバにもあげていいですか?」
「あぁ、フェンリルにはこっちがいいだろう」

 そう言って肉の山盛りを出してくれた。男前なベイカーさんの株がドンドン上がる。シルバが美味おいしそうに肉にかぶりついているのを横目に、私も肉を口に入れた。
 お、結構美味おいしい! なんかいい肉なのかな? でも塩、コショウすればもっと美味おいしいのになぁ……

「どうした? 口に合わなかったか?」

 ベイカーさんが心配そうに聞いてくる。

「おいしいよ。でも、おしおとこしょうがあるともっとおいしいのにとおもって……」
「そうなのか? 塩ならあるぞ、出すか? 他に欲しいものがあれば言えよ」
「たまご、ちーずとかはありましゅか?」

 えっあるの? ならなんで使わないんだ……と不思議に思いつつ、図々しく聞いてみる。

「卵とチーズだな、ちょっと待ってろ! フェンリル、ちょっと出てくるからミヅキを頼むぞ」

 ベイカーさんは嫌な顔も見せずにがたっと席を立つと、シルバに声をかけて凄い勢いで出ていってしまった。苦笑いをしてシルバを見る。

【行っちゃったね】
【言われなくても、ミヅキは守るに決まってるだろうが。あと、フェンリルと呼ばれるのは不愉快だ! 俺にはミヅキに貰ったシルバという名があるのに】

 シルバがブツブツと文句を言っているので頭を優しくでておく。しばらくして、ベイカーさんが「待たせたっ」と急いで戻ってきた。

「卵とチーズを買ってきたぞ! これなら食べられるのか?」

 わざわざ買ってきてくれたんだ。
 ベイカーさんの厚意に感動すると、なにか作ってあげようかなと思い、キッチンに立っていいか聞いてみる。危なくないかと心配してくるので大丈夫だと言い、フライパンを出してもらった。

「ふぁいやーおねがいします」

 かまどに火をつけてもらい、目玉焼きを作っていく。目玉焼きを皿に取り、今度はパンをフライパンに並べ上からチーズをかけ、木のふたを載せる。

「ひをよわくできましゅか?」

 ベイカーさんはすかさず火加減を弱くしてくれた。

「チーズをパンに載せてどうするんだ?」
「ちーずがとけてとろとろになるよ」

 ベイカーさんが不思議そうに見ているので、ふふんっと胸を張りながら答えた。
 パンに溶けたチーズは最高だよね! ベイカーさんも感心してくれる。
 そろそろいいかなとふたを取ると、美味おいしそうにチーズが溶けていた。パンを取り出すと丁度よく焦げ目がついている。うん美味おいしそう!
 パンを皿に取り、目玉焼きを添えて出す。

「こうしてパンにめだまやきのせてーしおをぱらぱら~」

 そして、パクンとかぶりつく!

「ん~おいしいっ」

 美味おいしいご飯! 幸せだ!

「ベイカーさんどうぞ」

 同じようにパンに目玉焼きを載せて塩を振り、ベイカーさんに差し出す。ベイカーさんは大きい口でガブッとかぶりつくと……カッ! と目を見開き無言でバクバクと食べている。

【シルバも食べる?】

 さっきから見つめているシルバにも聞くとブンブンと頷く。

【そういえばシルバは狼なの? 食べられないものとかある?】
【狼とは少し違う。その上位種だ。それに俺に消化できないものなんてないから大丈夫だ。ミヅキの作ってくれたものは残すわけがない】

 そう言うのでシルバにもどうぞと皿に載せてやる。

【これは美味うまい! ミヅキは料理が上手だな!】

 こんなの料理のうちに入らないが、二人が喜んでくれているみたいでよかった。ニコニコと笑いながら自分の残りの分を食べる。
 お皿のご飯が全部なくなると、ベイカーさんがお腹を押さえフーッと息をつく。

「いやー美味うまかった! ミヅキは料理が得意なんだな! 店で食べるような料理だったぞ!」

 ベイカーさんにも言われ苦笑いをする。あんな簡単なものでこんなに喜ばれるとは……
 どうもベイカーさんは料理が苦手なようだ。毎日料理をしてあげれば恩返しになるかな。

「よし、じゃあ今日はまたギルドに行って、ギルドマスターに状況を説明しに行くか!」

 食器を片付けて一息ついた後、ベイカーさんが扉に向かおうとする。私はモジモジしながら彼のそですそを軽く引っ張った。

「あの……まほーやってみてもいいですか?」
「あぁ!」

 ベイカーさんの魔法を見てから、ずっとやりたくて我慢していたんだよね……
 私のお願いに、彼はハッとした顔になり座り直した。

「じゃまず魔力を感じることからな。自分の中に流れている魔力を集めて、使いたい魔法を想像する。火ならファイヤー! ってな感じだ」

 ベイカーさんの手のひらにポッと炎のかたまりが浮かび、瞬時に消えた。

「ミヅキは火はまだ危ないから、ライトかウォーターからかな。でもまずは魔力を感じることからだ。毎日やったら、一ヶ月くらいで少し照らすくらいできるようになるだろう」

 魔力を感じるか……魔力ってなんだろ? 体の中を流れるって言うから血液みたいに循環してるのかな?


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