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11章
665.怒り
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「す、すまん…止めたんだが…どうにも出来なくて…」
ロバートさんが申し訳なさそうに頭を下げた。
「なんの事ですか?ベイカーさんたちと関係あるの?」
急に謝りだしたロバートさんに訝しんで聞くと
「それは…」
目を逸らして言いにくそうに言葉を濁す。
「ロバートさん……案内して」
「えっと…」
「ベイカーさん達のところに案内して下さい!!」
「は、はい!」
私が腰に手を当てて少し強めに言うとロバートさんは慌てた様子で案内しだした。
みんなでゾロゾロとロバートさんのあとをついて行くと…
「これは…」
「あのバカ共…」
ロブさんとディムロスじいちゃんが頭を抱えため息をついた。
そこにはでっかい大皿に乗っていたであろう料理をたいらげ満腹で横になっているベイカーとアランとシルバがいた…
「なにしてんの?」
寝ている三人の元に行き頭の上から見下ろすと思いの外冷たい声が出た。
「え…ミ、ミヅキ!それにみんなも…」
「いや!こ、これは…なんて言うか…」
【ミヅキ!ち、違うんだ!】
シルバが慌てて起き上がってきた。
「おすわり!」
私の声にシルバがビシッとおすわりをするとベイカーさんとアランさんもその隣に慌てて正座する。
「あれ?私肉を炒めておいてね…って頼んだよね?肉を食べてって頼んだっけ?」
自分が頼んだ事を思い出してみるが、絶対そんな事は言ってない。
「いや!ちゃんと炒めてたんだよ…炒めてたんだがな…あまりに美味そうな匂いについ手が…」
アランさんが言い訳して目を逸らした…これは確信犯だね!
「お、俺は…アランさんにそそのかされて…でも食ったのは事実だ…すまん!」
ベイカーさんがガバッと頭を下げた。
謝り方は潔いけど…今回は頭にきた!
じろりとベイカーさんを黙って見下ろしていると…
【ミヅキ…お、俺も…我慢しようとしたんだがな…】
その横ではシルバが耳をペタンとつけて地面に伏せてこちらを見上げている…その姿には聖獣の威厳は微塵もなかった。
か、可愛い…けど今回は駄目!
私はぷいっと可愛い仕草のシルバから目を逸らして横を向いた。
「今回は三人とも酷すぎるよ!こんなに食べちゃってみんなの分がちょっとしかないじゃん!!」
「面目ない…」
三人が頭を下げていると…
「ま、まぁまぁ…ミヅキこの肉はベイカーさん達が狩った物だろ?俺達は別に構わない…なんなら本来はミヅキ達が食べるものだしな」
ロバートさんが仲裁に入って来た。
「ロバート…お前…」
「なんて良い奴だ!」
【あいつはこの国が滅びても助けてやろう!】
三人が救世主とばかりにロバートを見つめて顔をあげた。
キッ!
私は「調子にのらない!」と三人を睨みつけた!
「ロバートさんがこう言ってても許さないよ!だって他の獣人やギルドのみんなだってお肉切ってくれたりしてるからね!手伝ってくれたお礼はしないとでしょ!」
「「【はい…】」」
「三人は当分お肉抜き!これ破ったらもう口聞かないからね!」
ぷいっと後ろを向くと三人を置いて歩き出す!
もー!今回は怒った!反省するまでしばらく口聞かない!
ドンドンと足を踏み鳴らして歩いて行くと、獣人達が道を開けてくれた。
「す、すまんな…ベイカーさん達…じゃあ俺は…」
ロバートはベイカー達に声をかけてそそくさとミヅキのあとを追うと…
「あーあ、馬鹿だね君達…じゃあ私達もミヅキと行くからね」
アトラス様が苦笑すると獣人達を連れて戻っていく。
「悪いな兄さん、この残りの肉は持ってくな」
「早く謝った方がいいよ、なんならプレゼントでもあげてご機嫌とってあげな」
獣人のおばちゃんがポンと肩を叩いた。
「あれが元聖獣か…聖獣って意外と普通なんだな…」
「ね、ガッカリ…」
獣人達に哀れみの目を向けられて三人は動けずにいた…
【ミ、ミヅキ…】
シルバが声をかけると
【しばらくおしゃべり禁止!】
ミヅキからピシッと拒絶され話が出来なくなってしまった…
「クゥゥン…」
シルバは何よりミヅキに拒絶された事がショックで地面に穴を掘ってそこに丸くなった…
「はぁ…やっちまった」
ベイカーもガクッと肩を落として下を向くと
「しばらく肉なしか…死ぬ…」
アランはバタンと地面に仰向けに倒れ込んだ…
「どうする?しばらく大人しくしてた方がいいよな…」
アランがボソッとつぶやくと
「当たり前だろうが!」
ゴンッ!ゴンッ!ゴンッ!
三人の頭の上に拳骨が落ちてくる。
「グッボッ…」
顔から地面にめり込んだアランが慌てて顔を上げると…
「い、いってぇ…」
頭を押さえて蹲る。
「ふん!強化して殴ってやったわい!ミヅキを悲しませるなんて親失格だな!」
「す、すみません…」
同じく頭を押さえたベイカーが頭を下げると…
【クッ…俺まで…】
シルバも今回ばかりは大人しく拳骨をくらった。
「お前達はしばらくここで反省していろ!ミヅキはお前達を一番に信頼してるんだぞ、それを飯ごときで…全く情けない…」
ディムロスが三人を睨みつけると…
「こんなんならミヅキはやっぱりこの獣人の国に残って貰った方が幸せかもしれんな…」
ロブさんがディムロスに勝ち誇ったように言うと
ディムロスはぐっと唇を噛んで反論出来ずにいた。
「お、おい!その話はなんだ!?獣人の国に住む?聞いてないぞ」
ベイカーが二人を見ると
「アトラス様や獣人達がミヅキを気に入ってな、どうせならこの国に移り住んでみないかと誘われたんだ」
「「えっ!」」
ベイカーとアランが驚いた顔を見せる。
「ミヅキはもちろん断ったんだよな!だってミヅキは俺とウエスト国に住んでるんだから…」
ベイカーが伺うように聞くと
「あの時は断っていたが…今はわからんな。こんな頼りない保護者達じゃ安心して暮らせんだろ」
「そ、そんな…」
ベイカーは先程のミヅキに嫌われた様子にサッーっと顔色を青くした。
ロバートさんが申し訳なさそうに頭を下げた。
「なんの事ですか?ベイカーさんたちと関係あるの?」
急に謝りだしたロバートさんに訝しんで聞くと
「それは…」
目を逸らして言いにくそうに言葉を濁す。
「ロバートさん……案内して」
「えっと…」
「ベイカーさん達のところに案内して下さい!!」
「は、はい!」
私が腰に手を当てて少し強めに言うとロバートさんは慌てた様子で案内しだした。
みんなでゾロゾロとロバートさんのあとをついて行くと…
「これは…」
「あのバカ共…」
ロブさんとディムロスじいちゃんが頭を抱えため息をついた。
そこにはでっかい大皿に乗っていたであろう料理をたいらげ満腹で横になっているベイカーとアランとシルバがいた…
「なにしてんの?」
寝ている三人の元に行き頭の上から見下ろすと思いの外冷たい声が出た。
「え…ミ、ミヅキ!それにみんなも…」
「いや!こ、これは…なんて言うか…」
【ミヅキ!ち、違うんだ!】
シルバが慌てて起き上がってきた。
「おすわり!」
私の声にシルバがビシッとおすわりをするとベイカーさんとアランさんもその隣に慌てて正座する。
「あれ?私肉を炒めておいてね…って頼んだよね?肉を食べてって頼んだっけ?」
自分が頼んだ事を思い出してみるが、絶対そんな事は言ってない。
「いや!ちゃんと炒めてたんだよ…炒めてたんだがな…あまりに美味そうな匂いについ手が…」
アランさんが言い訳して目を逸らした…これは確信犯だね!
「お、俺は…アランさんにそそのかされて…でも食ったのは事実だ…すまん!」
ベイカーさんがガバッと頭を下げた。
謝り方は潔いけど…今回は頭にきた!
じろりとベイカーさんを黙って見下ろしていると…
【ミヅキ…お、俺も…我慢しようとしたんだがな…】
その横ではシルバが耳をペタンとつけて地面に伏せてこちらを見上げている…その姿には聖獣の威厳は微塵もなかった。
か、可愛い…けど今回は駄目!
私はぷいっと可愛い仕草のシルバから目を逸らして横を向いた。
「今回は三人とも酷すぎるよ!こんなに食べちゃってみんなの分がちょっとしかないじゃん!!」
「面目ない…」
三人が頭を下げていると…
「ま、まぁまぁ…ミヅキこの肉はベイカーさん達が狩った物だろ?俺達は別に構わない…なんなら本来はミヅキ達が食べるものだしな」
ロバートさんが仲裁に入って来た。
「ロバート…お前…」
「なんて良い奴だ!」
【あいつはこの国が滅びても助けてやろう!】
三人が救世主とばかりにロバートを見つめて顔をあげた。
キッ!
私は「調子にのらない!」と三人を睨みつけた!
「ロバートさんがこう言ってても許さないよ!だって他の獣人やギルドのみんなだってお肉切ってくれたりしてるからね!手伝ってくれたお礼はしないとでしょ!」
「「【はい…】」」
「三人は当分お肉抜き!これ破ったらもう口聞かないからね!」
ぷいっと後ろを向くと三人を置いて歩き出す!
もー!今回は怒った!反省するまでしばらく口聞かない!
ドンドンと足を踏み鳴らして歩いて行くと、獣人達が道を開けてくれた。
「す、すまんな…ベイカーさん達…じゃあ俺は…」
ロバートはベイカー達に声をかけてそそくさとミヅキのあとを追うと…
「あーあ、馬鹿だね君達…じゃあ私達もミヅキと行くからね」
アトラス様が苦笑すると獣人達を連れて戻っていく。
「悪いな兄さん、この残りの肉は持ってくな」
「早く謝った方がいいよ、なんならプレゼントでもあげてご機嫌とってあげな」
獣人のおばちゃんがポンと肩を叩いた。
「あれが元聖獣か…聖獣って意外と普通なんだな…」
「ね、ガッカリ…」
獣人達に哀れみの目を向けられて三人は動けずにいた…
【ミ、ミヅキ…】
シルバが声をかけると
【しばらくおしゃべり禁止!】
ミヅキからピシッと拒絶され話が出来なくなってしまった…
「クゥゥン…」
シルバは何よりミヅキに拒絶された事がショックで地面に穴を掘ってそこに丸くなった…
「はぁ…やっちまった」
ベイカーもガクッと肩を落として下を向くと
「しばらく肉なしか…死ぬ…」
アランはバタンと地面に仰向けに倒れ込んだ…
「どうする?しばらく大人しくしてた方がいいよな…」
アランがボソッとつぶやくと
「当たり前だろうが!」
ゴンッ!ゴンッ!ゴンッ!
三人の頭の上に拳骨が落ちてくる。
「グッボッ…」
顔から地面にめり込んだアランが慌てて顔を上げると…
「い、いってぇ…」
頭を押さえて蹲る。
「ふん!強化して殴ってやったわい!ミヅキを悲しませるなんて親失格だな!」
「す、すみません…」
同じく頭を押さえたベイカーが頭を下げると…
【クッ…俺まで…】
シルバも今回ばかりは大人しく拳骨をくらった。
「お前達はしばらくここで反省していろ!ミヅキはお前達を一番に信頼してるんだぞ、それを飯ごときで…全く情けない…」
ディムロスが三人を睨みつけると…
「こんなんならミヅキはやっぱりこの獣人の国に残って貰った方が幸せかもしれんな…」
ロブさんがディムロスに勝ち誇ったように言うと
ディムロスはぐっと唇を噛んで反論出来ずにいた。
「お、おい!その話はなんだ!?獣人の国に住む?聞いてないぞ」
ベイカーが二人を見ると
「アトラス様や獣人達がミヅキを気に入ってな、どうせならこの国に移り住んでみないかと誘われたんだ」
「「えっ!」」
ベイカーとアランが驚いた顔を見せる。
「ミヅキはもちろん断ったんだよな!だってミヅキは俺とウエスト国に住んでるんだから…」
ベイカーが伺うように聞くと
「あの時は断っていたが…今はわからんな。こんな頼りない保護者達じゃ安心して暮らせんだろ」
「そ、そんな…」
ベイカーは先程のミヅキに嫌われた様子にサッーっと顔色を青くした。
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