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13章
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久しぶりの食事に盛り上がる店内をそっと抜け出して私達は外に向かった。
作った料理のレシピと書き置きをロフティさん宛に書いて、料理を少し貰うとあとは残していった。
【あんなにあるのにもったいない……】
シルバは食べ足りなかったのか残念そうに何度も振り返る。
【シルバ何杯もおかわりしてたじゃん】
シンクがまだ食べるのかと呆れている。
【何杯食べたの?】
【五杯だけだ……まだその倍は食えた!】
【また作ってあげるから】
私は苦笑してシルバの頭を撫でた。
シルバは絶対だぞ!と何度も念を押してきた。
【シルバ、執拗いよ。ベイカーさんみたい】
私が笑ってそう言うとみんなが黙ってしまった。
【あっごめん】
みんなの事を口に出さないようにしていたのに先程思い出したからかつい言ってしまった。
【あんなのと一緒にされるなんて心外だ!】
【ベイカーがいたらヨダレを垂らして喜んだろうね】
【絶対だな】
【ふふ、だよね。ベイカーさんにも食べさせてあげたかったな】
私がそう言うとシルバが立ち止まって後ろを振り向いた。
【食べさせてあげりゃいい、また会った時に】
【会える……かな?】
【会えるだろ、俺なら会いに行く。だからあいつも来るだろ】
【嘘!ここに来るの?】
【俺なら行く。そしてあいつもそうだ】
なんかシルバが言うとベイカーさんが言ってるかのように感じた。
【でも……】
あんな事を手紙で書いてしまった手前もうみんなの前に姿を出せないと考えていた。
【あんなのでベイカーが信じるかよ】
【だよねー僕も信じない】
【私もだ】
【ミヅキーぼくもミヅキしんじてる】
【きっとベイカーならミヅキの本当の気持ちに気がつくと思うよ】
シンクに優しくそう言われて涙が滲んできた。
【ううん、やっぱり来ないよ……でも、ベイカーさん達に害が及ばないようになったら会いに行く!それで謝る!】
【まぁミヅキがそういうならそれでいいけどな】
シルバは好きにしろと言うようにまた歩き出した。
その後はみんなでベイカーさんの思い出話で盛り上がっているとビャクさんが何も無いところで足を止めた。
そして周りをうかがうと何かを呟く。
私達は黙ってその様子をうかがっていると目前に突然大きな洞窟が現れた。
「え!?」
突然の事に驚いているとビャクさんがその中へと入っていった。
中は当然雪は降っておらず少し暖かい。
みんなが中へと入るとビャクさんはまた何かを呟くと私達が入った入り口がなくなってしまった!
「あっー!」
【貴様!騙したのか!】
出口がなくなりシルバがグルルとビャクさんに向かって唸り声をあげる。
「すみません、こうしないとあいつに気づかれる」
ビャクさんはフードを脱いで私達に頭を下げた。
私は薄暗い中で魔法で明かりをつけた。
フードを脱いだビャクさんの首筋には鱗のような痕がついていた。
「すみません……気持ち悪いでしょう」
ビャクさんはサッと首元を隠した。
「そんなことないですけどどうしたんですか?それにあいつに気づかれるってどういう事?」
私はビャクさんには事情がある気がしてならなかった。
ビャクさんは私達の監視役という立場なのに何かするわけでもなく見守りながら私達の気持ちを試していたような気がしていた。
「それで誰に会えばいいの?」
私の言葉にビャクさんは奥を見つめた。
先は何も見えないほどに真っ暗だった。
作った料理のレシピと書き置きをロフティさん宛に書いて、料理を少し貰うとあとは残していった。
【あんなにあるのにもったいない……】
シルバは食べ足りなかったのか残念そうに何度も振り返る。
【シルバ何杯もおかわりしてたじゃん】
シンクがまだ食べるのかと呆れている。
【何杯食べたの?】
【五杯だけだ……まだその倍は食えた!】
【また作ってあげるから】
私は苦笑してシルバの頭を撫でた。
シルバは絶対だぞ!と何度も念を押してきた。
【シルバ、執拗いよ。ベイカーさんみたい】
私が笑ってそう言うとみんなが黙ってしまった。
【あっごめん】
みんなの事を口に出さないようにしていたのに先程思い出したからかつい言ってしまった。
【あんなのと一緒にされるなんて心外だ!】
【ベイカーがいたらヨダレを垂らして喜んだろうね】
【絶対だな】
【ふふ、だよね。ベイカーさんにも食べさせてあげたかったな】
私がそう言うとシルバが立ち止まって後ろを振り向いた。
【食べさせてあげりゃいい、また会った時に】
【会える……かな?】
【会えるだろ、俺なら会いに行く。だからあいつも来るだろ】
【嘘!ここに来るの?】
【俺なら行く。そしてあいつもそうだ】
なんかシルバが言うとベイカーさんが言ってるかのように感じた。
【でも……】
あんな事を手紙で書いてしまった手前もうみんなの前に姿を出せないと考えていた。
【あんなのでベイカーが信じるかよ】
【だよねー僕も信じない】
【私もだ】
【ミヅキーぼくもミヅキしんじてる】
【きっとベイカーならミヅキの本当の気持ちに気がつくと思うよ】
シンクに優しくそう言われて涙が滲んできた。
【ううん、やっぱり来ないよ……でも、ベイカーさん達に害が及ばないようになったら会いに行く!それで謝る!】
【まぁミヅキがそういうならそれでいいけどな】
シルバは好きにしろと言うようにまた歩き出した。
その後はみんなでベイカーさんの思い出話で盛り上がっているとビャクさんが何も無いところで足を止めた。
そして周りをうかがうと何かを呟く。
私達は黙ってその様子をうかがっていると目前に突然大きな洞窟が現れた。
「え!?」
突然の事に驚いているとビャクさんがその中へと入っていった。
中は当然雪は降っておらず少し暖かい。
みんなが中へと入るとビャクさんはまた何かを呟くと私達が入った入り口がなくなってしまった!
「あっー!」
【貴様!騙したのか!】
出口がなくなりシルバがグルルとビャクさんに向かって唸り声をあげる。
「すみません、こうしないとあいつに気づかれる」
ビャクさんはフードを脱いで私達に頭を下げた。
私は薄暗い中で魔法で明かりをつけた。
フードを脱いだビャクさんの首筋には鱗のような痕がついていた。
「すみません……気持ち悪いでしょう」
ビャクさんはサッと首元を隠した。
「そんなことないですけどどうしたんですか?それにあいつに気づかれるってどういう事?」
私はビャクさんには事情がある気がしてならなかった。
ビャクさんは私達の監視役という立場なのに何かするわけでもなく見守りながら私達の気持ちを試していたような気がしていた。
「それで誰に会えばいいの?」
私の言葉にビャクさんは奥を見つめた。
先は何も見えないほどに真っ暗だった。
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