ブラック+ブラック=ホワイト

邪外道

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翌日、俺はいつもより早く目が覚めた。時計を見ると、まだ6時前だった。二度寝しようかと思ったが、目が冴えてしまってそれどころではない。仕方ないので、朝食の準備をすることにした。といっても大したものは作れないが……。とりあえずトーストとスクランブルエッグでいいか。あとはコーヒーでも淹れようかなと思っていると、スマホが鳴った。画面を見ると結瑠からの着信だった。
「もしもし」
電話に出ると、結瑠が眠そうな声で話しかけてきた。
「ふぁ~……おはよ」
「おはよう。どうした?こんな時間に」
俺が尋ねると、結瑠は欠伸をしながら答えた。
「いや、もう起きないと遅刻すると思って……」
確かに普段ならそろそろ出る必要がある時間だ。しかし、今はまだ7時半過ぎである。全然余裕じゃないかと思ったけれど、口には出さなかった。それよりも重大なことに気が付いたからだ。それは、結瑠が一人で登校しようとしているということだ。
「お前、今どこにいるんだ?」
俺が尋ねると、結瑠は平然と答えた。
「え?家だけど」
マジか……。こいつ本当に俺に頼ってやがるぞ。これは由々しき事態だ。早く起こしてやらないと。
「とりあえず待ってろ!すぐ行くから!」
俺は電話を切ると、着替えもそこそこに家を飛び出したのだった
******
「おい、起きろ!遅刻するぞ!」
俺が結瑠の部屋のドアを開けると、彼女はベッドの上で気持ちよさそうに寝息を立てていた。……というか、布団にくるまってモゾモゾ動いているだけだが。
「結瑠、朝だぞ」
俺が声をかけると、彼女はゆっくりと起き上がった。まだ寝ぼけているらしく、ボーッとしている。だが俺には時間がないんだ。早く準備をさせないと。「早く着替えろ」
俺が促すと、結瑠は面倒くさそうに返事をした。
「え~、あと5分だけ……」
「駄目だ!」
5分で済むわけがないだろ!遅刻するぞ!というか、もうすでにギリギリの時間だ。俺は無理やり結瑠をベッドから引きずり出し、洗面所へ連れて行った。顔を洗わせ、歯磨きをさせ、髪をとかさせる。その間に俺はトーストとスクランブルエッグを準備した。あっという間に身支度を整えると、俺たちは家を飛び出した。
なんとか間に合ったが、ギリギリだったためか先生は遅刻扱いにしようとしていた。俺は急いで職員室へ向かい、事情を説明したおかげで事なきを得たのだった。
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