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第弐幕 宿祢
第五話
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「これか…」
啼々家の敷地、屋敷の裏に、冬が言っていた『幽霊のお姉さんの大事な祠』があった。
姫巫女として一歩踏み出すと決めた冬が、日課である祠の掃除を秋に託したのだ。
「特に変わった様子はないけれど…」
この祠に触れているのは冬だけ。
幽霊のお姉さんが見えるのも冬だけ。
その事を考えると、この祠に何かヒントがあるのではないかと秋は考えた。
「天景はどう?何か感じる?」
「…あのなぁ」
秋の問いかけに、天景は目を瞑ったままため息をついた。
「『冬が心配だから千里眼で様子を見ていて』って言ったのは、どこのどいつだよ」
「僕だね」
「そう、お前だ。制限かけている状態で千里眼と祠の気配の探知なんて、同時進行できるわけないだろ」
「神鬼なのに…」
「そうきたか」
「それで、冬は今どんな状態?」
「霊嘩山に入ってる。迦楼羅丸も一緒だ」
「そこなら危ない事はないかな。こっちに集中してくれる?」
「はいよ」
そういうと天景は千里眼の術を解き、目を開く。
「はぁ…千里眼なんて長時間使うもんじゃねぇな。肩は凝るし、腹は減るし、妖力は残り二十パーセントだし」
「あ、包丁あるよ」
「いらねぇよ!なんで祠の掃除なのに包丁持ってるんだよ!つーか、何に使うつもりだよ!」
「うーん…。あ、軽く手首切ろうか?血があれば妖力回復するよね」
「そこまでして回復したくないから!それより祠だろ、祠」
「あ、そうだった」
真顔で言う秋に、天景は慌てて話題を代える。
いくら天景が他者の体液を吸収して妖力に変えるとはいえ、一歩間違えれば大惨事になりかねない行為を許すわけにはいかない。
残り少ない妖力を極力使用しないように、天景は祠を調べ始めた。
「これといった残留思念はないが…」
「そうなんだよね。特別な気配は何もない。向こうにある愉比拿蛇を封印している祠の方が力が強いんだけど…」
「何かが封印されていた気配は残ってるけどな」
「封印?」
「といっても、最近のものじゃない。何百年も前のものだ」
「…調べてみるしかないか」
「だな」
「ありがとう。もう休憩時間も終わるし、さっさと掃除して戻らないと」
「それじゃあ俺は…」
「引き続き、千里眼よろしくね」
「……え?」
にこりと笑う秋だが、その笑みは断る事を許さなかった。
啼々家の敷地、屋敷の裏に、冬が言っていた『幽霊のお姉さんの大事な祠』があった。
姫巫女として一歩踏み出すと決めた冬が、日課である祠の掃除を秋に託したのだ。
「特に変わった様子はないけれど…」
この祠に触れているのは冬だけ。
幽霊のお姉さんが見えるのも冬だけ。
その事を考えると、この祠に何かヒントがあるのではないかと秋は考えた。
「天景はどう?何か感じる?」
「…あのなぁ」
秋の問いかけに、天景は目を瞑ったままため息をついた。
「『冬が心配だから千里眼で様子を見ていて』って言ったのは、どこのどいつだよ」
「僕だね」
「そう、お前だ。制限かけている状態で千里眼と祠の気配の探知なんて、同時進行できるわけないだろ」
「神鬼なのに…」
「そうきたか」
「それで、冬は今どんな状態?」
「霊嘩山に入ってる。迦楼羅丸も一緒だ」
「そこなら危ない事はないかな。こっちに集中してくれる?」
「はいよ」
そういうと天景は千里眼の術を解き、目を開く。
「はぁ…千里眼なんて長時間使うもんじゃねぇな。肩は凝るし、腹は減るし、妖力は残り二十パーセントだし」
「あ、包丁あるよ」
「いらねぇよ!なんで祠の掃除なのに包丁持ってるんだよ!つーか、何に使うつもりだよ!」
「うーん…。あ、軽く手首切ろうか?血があれば妖力回復するよね」
「そこまでして回復したくないから!それより祠だろ、祠」
「あ、そうだった」
真顔で言う秋に、天景は慌てて話題を代える。
いくら天景が他者の体液を吸収して妖力に変えるとはいえ、一歩間違えれば大惨事になりかねない行為を許すわけにはいかない。
残り少ない妖力を極力使用しないように、天景は祠を調べ始めた。
「これといった残留思念はないが…」
「そうなんだよね。特別な気配は何もない。向こうにある愉比拿蛇を封印している祠の方が力が強いんだけど…」
「何かが封印されていた気配は残ってるけどな」
「封印?」
「といっても、最近のものじゃない。何百年も前のものだ」
「…調べてみるしかないか」
「だな」
「ありがとう。もう休憩時間も終わるし、さっさと掃除して戻らないと」
「それじゃあ俺は…」
「引き続き、千里眼よろしくね」
「……え?」
にこりと笑う秋だが、その笑みは断る事を許さなかった。
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