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神様は試練を私にお与えなさったようで。

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 『人間界に行って見聞を広めてこい。』

 それはとても唐突だった。
 正直いやだ。 が……
 強い眼差しを感じる。
 行かなきゃいけない。
 上位神の命令を断ったら下位の神は最悪クビ……
 行かなきゃ。
 もし断ったら俺の生活が、ひいては今まで積み上げてきた全てが壊れる。
 ああ! この世に神はおらぬのか! あ、ここあの世だし神は目の前にいるこの人だった。
 ついでに俺も神だった。
 神歴2年だけど。
 
 そんなこんなで下界に行くことになった俺、バルガルは下界の日本というところで見聞を広めることになった。
 正直行きたくない。
 上から見てて分かったけどこの国労働大国なんだよね。
 働きたくないでござる! 働きたくないでござる!
 だが下界で暮らすには、金なるものが必要らしい。
 今まで下界のことは好きな車しか見てなかったからよく知らなかったが金は働かないと、仕事をしないと手に入らない。
 あんな紙切れが金なのか。
 しかも硬貨なる金よりも高いだと!?
 ありえん。
 洗脳じゃないか。
 まあ長くなりそうだからそれは置いといて。

 好きなことを仕事にしたいなー。
 でもそんな都合のいい仕事があるとは限らないし、あるとしたら車関係だけど……
 そう思い車関係の仕事一覧に目を通す。
 プロドライバー、カーデザイナー、カーエンジニア、タクシー運転手。
 どれもなんかこう……難しそう。
 一番簡単で楽に稼げそうなのは……タクシー運転手かな?
 送り届けるだけ。
 簡単そう。
 これにするか。
 じゃあ次は偽名を考えないとな。
 適当に合いそうな名前……あっ、そうだ! 適当な男の子の名前を借りよう。
 じゃあこの子で。

 久留里 瑛人
 
 へー。
 いい名前じゃん。
 ありがとう! 見知らぬ男の子ー!
 さて、じゃあ下界に行こうか。
 適当に服を見繕って、神の力を封印して。
 さあ行こう! 下界の国、日本へ!



 
 
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