味方なんて誰もいない世界で

るんぱっぱ

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魔王と神様

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 交通事故で死んだ。これは異世界転生ルートか!と思ったら、本当に異世界に転生してしまった。


 視界が真っ白になって目を開けると、全身黒くて禍々しいオーラを放つ男と、全身真っ白で神々しいオーラを放つ男が俺に頭を下げていた。


 え、ナニコレ。どうゆう状況?


 とりあえず、頭を上げてもらって、状況を説明して欲しいと頼む。


「あぁ、すまない。先走ってしまった。俺は魔界を統べる魔王だ」

「私は天界を統べる神様です」


魔王+神様って、何それ。


「あの、どうして2人そろって、俺に頭を下げる事態になっているんですかね。異世界転生ということは分かりました。何かお願いがあるんでしょう?」


「あぁ。話が早くて助かる。実は人を探して欲しいのだ」

「人探しですか?世界を救うとか、そっち系じゃなくて??」

「まぁ、ある意味、魔界と天界を救って欲しいのです」

「探して欲しいのは二人。魔界からは吸血鬼の長の息子を」

「天界からは、大天使の息子を探して欲しいのです」


吸血鬼の息子と大天使の息子…。どういう組み合わせだ。


「なぜ、その二人を?」


俺がそう問うと、魔王と神様は言いにくそうに、「実は…」と話しを続けた。


「吸血鬼と天使が夜逃げ!?」


話を聞くと、吸血鬼の長の息子と大天使の息子が恋に落ちて、反対してたら二人で人間界に降りてしまったらしい。


長と大天使は息子を溺愛しいて、自分も人間界に降りて、探す!と暴れているが、人間界に降りることはご法度で、当然許されない。そのことに、長と大天使は怒り狂っているらしい。


吸血鬼の一族と大天使の派閥が手を組んだら、魔界と天界が滅んでしまうため、俺にその二人を探してきて欲しいとのことだった。


「二人が見つかったらどうするんですか?」

「魔界に連れ戻す」「天界に連れ戻します」


魔王と神様は、口を揃えてそういった。

なるほど、2人の恋を許すつもりはない。ということね。


「……いいですよ。俺が二人を探してきます」


「本当か!」「本当ですか!?」


「はい。ただし条件があります」


「ええ、もちろん急なお願いを聞いてくださった貴方の願いは聞き入れたいと思っています」


「ありがとうございます。まずは金銭面。お金がないと困るので、裕福な家庭に転生させてください」


「あぁ、分かった。2人も長寿とはいえまだ若く、見た目は人間の若者と変わらぬからな。貴族の息子として転生させよう」


「次は力。自分を守るための力を俺に下さい」


「分かりました。こちらの世界の人間は主に魔力を使います。あなたには誰よりも強い魔力を授けます」


「そして、最後に、これが一番重要です。俺の元居た世界ではプライべートが重視されます。2人を探す際に色々手を尽くしているとは思いますが、絶対に俺を監視しないでください。月に一度報告しに行くので、それ以外は、俺に関与しないこと」


魔王と神様は考え悩むように黙り込んでしまった。さすがに、厳しいか。でも、一番これが重要だ。


「見つけ次第必ず報告しに行きます。俺なら見つけ出せる。そう思ったから、のでしょう?」

「あぁ、その通りだ」

「虚偽の報告だと分かれば、あなたには相応の罰を与えることになりますが、それでもよろしいですか?」

「えぇ、それで大丈夫です。お二人は吸血鬼様と大天使様を宥めて、魔界と天界をお守りください」


 三人で頷き合い、俺は真っ白な光に包まれていく。


「では、頼んだぞ暁斗アキト
「お願いします暁斗アキトさん」


魔王と神様には悪いけど、俺の元居た世界では、人の恋路を邪魔する奴は馬に蹴られて死んじまうんで。

味方なんて誰もいない世界で、俺だけは二人の恋を応援しようと思います。





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